From:山田光彦
「書くことがないんです」
これは少し前、ある社内の新人セールスライターをレビューしていた時に言われたこと。
というのも、このセールスライターは、ある講座を売るためのセールスレターを書いていたんです。そのために、商品もしっかり調べていて、顧客にも直接会って話をしたり、しっかりとリサーチをやっていました。
でも、そのセールスレターに書いてあったのは、2つのこと。
1つ目は、同じような講座を売っているセールスレターで読んだことがあるようなもの、をいくつか組み合わせた感じのもの。
2つ目は、商品の中身を要約した内容ような内容になっていました。なので、僕はこんな感じでレビューをしたんです。
僕「講座の中身を要約して、公開しすぎたら、買う理由がなくなるんじゃない?」
ライター「やっぱり、そうですよね。。。」
僕「『やっぱり』ってことは、気づいていたような感じだけど、どうしてこうなったの?」
ライター「商品をよく調べれば、調べるほど、商品内容ばかり書いてしまうようになって。具体的に書くのが大事という話もあったので。具体的に書こうと思うと、商品のこと以外、書くことがなくなって、、、」
僕「なるほど。あと、このセールスレターって、別のセールスレターで似たようなこと書いてなかった?」
ライター「そうですね。○○(今回売ろうとしている講座と同じジャンルの商品)のセールスレターを元にして書きました」
要約すると、こんな感じの話になりました。
あなたは、このやり取りどう思いますか?
あなたなら、この新人ライターにどうレビューしますか?
まず最初に、同じジャンルの商品のセールスレターと似たようなことが書いてあったところについて、こんな感じでレビューしました。
僕「もし、営業マンが同じジャンルの商品Aと商品Bを売るときに、ほとんど同じセールストークをしてきたら、どう思う?」
ライター「『ほとんど同じ商品なのかな?』とか、『どっちがいいの?』とか」
僕「そう思うよね。もっと言うと、ほとんど同じ商品なのに『2つ買ったほうがいいよ』と営業マンが、言ってきたとしたら『なんで同じような商品2つも買わなあかんねん』って、思うよね」
ライター「思いますねw」
僕「そうなると、お客さんは商品Aか商品Bのどっちかを買ったら、もう1つの商品は買わないよね。ということは、似たようなセールスレターを使うと、お客さんを商品Aと商品Bで奪い合っているような感じになるんじゃないかな?2つのセールスレターがお客さんを巡って共食いしているような。
それに、最悪のケースを考えると『どっち買ったらいいかわからないから、迷っているうちに買うのを忘れてた』みたいなことも考えられるよね」
ライター「確かにそうかもしれないです。でも、じゃあ何を書いたらいいか、、、」
僕「ちなみに、お客さんはなんで、この商品を買っているの?同じジャンルの他の商品を持っているにも、かかわらず」
ライター「Xさんは、○○という理由で買ったと思います」
僕「じゃあ、○○という理由で買ったXさんが、商品を買う前にどんなことで困っていて、それがどんなふうに解決したか、わかる?」
ライター「ああ。それならわかります」
僕「それをそのまま書けばいいんじゃない?ストーリーにして。Xさんと同じ理由で買う人多そうだし、この商品ならではの理由だし」
ライター「確かにそうですね!それで書いてみます」
ざっくりいうとこんな感じのレビューをしました。もちろん、実際は、こんなにスムーズに話は進んでいないですがw
この同じジャンルの広告やセールスレターをみんながパクって、同じような広告・セールスレターばかりになることを、ダン・ケネディは「マーケティングの近親相姦」と言って、批判しています。これを続けると業界全体がダメになるという理由です。
なぜなら、お客さんの立場になって考えると、どの商品・サービスを選んだらいいかわからなくなります。そうなると、お客さんは一番わかりやすいところを見て判断するしかなくなります。要するに、価格。一番安いところが選ばれるようになります。
そして、売り手側は利益が出なくなったとしても、お客さんを集めるために、もっと安くするしかなくなる、という血みどろの価格競争に突入していきます。
それを避ける方法。それが、その商品特有の買う理由を見つけること。そして、それをお客さんに伝える方法を見つけることです。
これをセールスライター向けに言い換えると、リサーチということになります。
マーケティングの用語でいうと、USPを見つけるみたいなニュアンスです。
「お客さんはどんな理由で買っているのか?」「その理由をどんな風に伝えれば買ってくれるのか?」を調べて見つけることがリサーチの目的。そして、そのリサーチ結果を1通のセールスレターに仕上げるのが、セールスライターの仕事です。
そして、今回のケースでいうと、以前に商品を買ったXさんが商品を買う前に困っていた状況。その状況と同じようなことに困っている人が、セールスレターを読んで「僕もこれで困っているから、この商品は今の自分にピッタリだ」と思ってくれれば、買ってくれる確率高いでしょう。
講座というのは、形が見えないものなので、それを買ったらどういうメリットがあるのか、どういう問題が解決するのか、というのがわかりにくいことが多いので、自分が抱えている問題にピッタリかどうか、というのは重要なポイントになることが多いんです。それに、Xさんと同じような状況の人がたくさんいれば、買ってくれる人の数が増えるので、セールスレターがヒットする確率も高まります。
なので、もし、あなたがセールスライターなら、リサーチをする時には「お客さんが商品を買う理由」「その理由をどう伝えれば、買ってくれるか?」ということを頭に置いておきながら、リサーチしてみてください。そうすれば、売れるセールスレターが書ける確率も高くなりますし、何を書いたらいいかわからない、ということもなくなって、短い時間でセールスレターが書けるようになるはずです。
ー山田光彦
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