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売れる文章の書き方 世界一シンプルな方程式

2017.8.5 | ,
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From:マイケル・マスターソン

私の収入のほぼ全ては文章を書くことから入ってきます。そして、それは私にとても豊かな人生をもたらしてくれました。豊かという言葉のあらゆる意味においてです。そして、それはあなたにも実現可能なことなのですよ。

私は労働時間の半分を、より上手い文章の書きかたを教えることに費やしています。残りの時間はクライアント宛にメモを書いたりしていますね。

私のメモは説得力のあるものばかりですよ。ビジネスやマーケティングにおいて利益をもたらす決断をしっかり下せるように、クライアントに促すことが目的ですからね。もし彼らを説得できなければ、私のアイディアが試されることはありませんし、試されることがなければ、私には彼らがお金を儲ける手助けをすることはできません。そして、お金を儲ける手助けができなければ、彼らは私に支払うのをやめてしまいますよね。今日まで、私は1人たりともクライアントを失ったことはありませんけどね(これからもこの幸運が続きますように)。この記録は私のメモの説得力に起因すると思っていますよ。

この仕事を30年余りやってきた中で、私は何が良い文章なのかという複雑な諸説を作り上げてきました。しかし、今はたったひとつの、非常に短く単刀直入な定義にたどり着き、他の全てのことは忘れてしまいました。

この定義は、私が思いつく限りのどのようなノン・フィクションの文章にも当てはめることができますよ。本、雑誌の記事、ダイレクトメールのセールスレター、ビジネスにおける文書、テレマーケティングの原稿、スピーチなどにもです。

その定義とは、

「良い文章とは説得力のある考えを明確に表現するスキルのこと」

以上です。

私がライターたちにこれを言うと、懐疑的な目で見られるんです。「どうすればそんなにシンプルにできるんだ? 」と言う彼らの頭の中の声が聞こえてきます。

なので説明します。再度説明します。すると最終的に何人かはわかってくれるのです。そして、1度理解すれば彼らの文章は断然良くなるんですよ。彼らの収入だって良くなります。

では、この定義の詳細を見ていきましょう。これは2つのパートに分けられます。

説得力のある考えと明確な表現

説得力のある考えとは、読者が「これは面白いぞ!」とか「こんな風に考えたことはない!」とか「これは覚えておこう!」と思うようなアイディアのことです。

良い文章とは、それゆえ正確さとは関係がありません。あなたの述べている考えがよく理由づけされているとか、事実に基づいているなんてことはどうでもいいのです。大切なのはあなたの文章が読み手に知的、感情的に訴えかけ、あなたが望む行いや考えに至るように働きかけることなのです。

ここで私が、感情的であると同時に知的にと言ったことにお気付きですか?この言葉を付け加えることができたのは、広告ビジネスの生きる伝説ドン・ホープマンのおかげです。

300人ものライターを前にスピーチを行った際、私は「人々は感情的な理由から商品を購入する」という言い回しを繰り返し使っていたのですが、それには賛同できかねるという手紙を彼からもらいました。

「それは真実ではないし、人間が持つ感情や不合理さを利用する悪人によって、我々は操られているだけなのだと主張する、広告や資本主義を批判する左派グループを勢いづけるだけなのです。ですから、私たちが『全ては感情なのだ』という間違った考えを広めるほど、自分たちの首を締めることになるのですよ。あなただってそんなことは助長したくないでしょう」

「ところで、『自分の発言を編集するかのように、会話のような文章を書きなさい 』という、あなたの要点を違う角度から伝えている古い格言をご存知ですか。そして、ダイレクトマーケティング代理店のお偉いさんである、エミリー・ソエルもこのようなことを言っていましたよ。『まずは単刀直入に書き始め、あとからスタイルを付け加えていきましょう』と。この助言は私のキャリアにおいて、とても役立つものになりました」

ドンのいうことは全くもって正しいのです。この議論に知性を取り入れないことは間違っている上に、害を及ぼす可能性まであります。これは、読者に媚びへつらうのが上手いライターを責めるように広告批判者へ呼びかけているようなものであり、また迎合すれば良い文章が書けるのだというメッセージもライターに送ってしまいます。

最も成功しているマーケターやセールスライターは、良い文章とは読み手の感情と知性の両方に同時に訴えかけるものだということを知っています。詩人のエズラ・パウンドも詩的描写をすることについては同様の説を唱え、彼はそれを「瞬間的な感情と知性の複合体」と呼びました。

「アハ体験」を作り出す

読み手が瞬時に理解することができるように明確で、簡潔に表現されている、感情と知性に訴えかけるアイディアこそが私の言う説得力のある考えです。これが「アハ体験*1」を生み出します。(*1:アハ体験:人は何かに気づいた際、ひらめいた際に脳が活性化するといわれる。そのような瞬間、体験のことをアハ体験という。「アハ」とは英語圏で何かを理解した時に発せられる「a-ha」から)

マルコム・グラッドウェルはそれについてのエキスパートですね。そして、彼が難解で学術的なテーマについての本を書き、億万長者になった理由でもあります。批評家は、彼のいくつかのアイディアには間違いがあると主張し、単純に彼を酷評しています。しかし、私が以前にも指摘しましたが、アイディアの正確さは良い文章を書くこととは無関係なのです。良い文章とは読み手の知性と心に訴えかけることができるものですからね。

もしあなたが裕福なマーケター、セールスライター、あるいはビジネスパーソンになりたいのならば、説得力のある考えを見つけ出さなければなりません。感情と知性に訴えかけるようなアイディア、読み手を引きつけ、盛り上げ、「いいね!こんな風に考えたことはなかったよ!」と思わせるようなアイディアを見極める必要があります。

どのようにして知的、そして感情的に人の心を掴む考えを見つけることができるのでしょうか。

私が長年、その質問に答えるためにもがいていたとき、たった1つの答えにたどり着きました。それは、読むことです。

成功するライターとは貪欲な読者なのです。彼らのアイディアは、完成された形でその辺から湧き出てくるわけではありません。手元にある題材を縦横無尽に何時間もかけて読み漁ることから得られるのです。彼らは、「アハ体験」をさせてくれる何かに出会うまでは読んで読んで、読みまくるのです。

もっと簡単な方法もお教えしましょう。著名なセールスライティングの指導者の中には、現在あるいは過去の優れたセールスレターのサンプル集であるスワイプ・ファイルから良いアイディアを盗みだせと教える 人もいます。

しかし、これはバカらしいうえに、あまりにもわかりやすくてシンプルですよね。盗んだアイディアは高級車のようなものなんですよ。つまり、ショールームから出された瞬間にその価値の40%を失ってしまうのです。

私の1番のクライアントが情報出版業界を独占する出版社である理由は、まさに彼らの抱える100人以上のライターたちが良い文章の定義を頭に叩き込んでいるからです。彼らは人の心を掴むアイディアなしには、大ヒットをするようなプロモーションを書き続けることはできないとわかっているのです。そして、そのようなアイディアを見つける方法も知っています。

どのようにして素晴らしいアイディアを思いついているのかを、彼らの中の誰に聞いてもこう答えるでしょう。「見つけるまで読みまくるんだよ」と。

説得力のある考えをどこで使うか?

説得力のある考えは1番先に使わなければいけません。3ページ目とか33ページ目らへんをウロウロしていてはいけないのです。読むのに飽きてポイッとされてしまう前に、先頭で読み手の目にとまり「アハ!」な瞬間を提供しなければいけません。

これはエッセイやメモを書く際にも共通することです。読み手(見込み客、クライアントなど)がワクワクするように、説得力のあるアイディアを最初の方に登場させるのです。彼らがワクワクしてくれたのなら、その先も強い興味を持ちながら読み進めてくれるでしょう。そうでなければ、あなたは直ぐに彼らという読者を失うことになるのですよ。

もし、あなたが幸運にも複数の説得力があるアイディアを見つけることができたのならば、1番良いものを最初に置き、残りもできるだけだけ早くに続けると良いでしょう。「いいものを1番最後に」なんていう間違いを犯してはいけませんよ。あなたにそんな自由はないのですからね。手持ちカードの1番良いものをとにかく早くに思い切り出して、広告やエッセイ、またはメモの中で主張を裏付けていくのですよ。

あなたの説得力のある考えを披露した後は、それを後押しする主張や裏付けを使いながらそれぞれの考えに根拠があることを証明していきましょう。

あなたの読み手は元来懐疑的ですから、こういったことが必要なのです。読者の知性は頭に入ってきたアドバイスや情報のほとんどを取り除くように求めてきます。そうしていかなければ、私たちは物事を何1つ終わらせることができないのです。全てを受け入れてしまえば、私たちは1つの考えから別の考えへと飛び移るだけで、永遠に結論を出すことはできないでしょう。私たちの脳は生まれつき懐疑的になるように作られており、それは説得力のある考えに関しても同じことです。読み手は無意識のうちに「君は知的、そして感情的に人を惹きつける考えに誘惑されているのだ。行動を起こす前に、筋が通っているかどうか確かめろ」と自分に言い聞かせているのです。

ですから、優秀なライターは説得力のある証明を使い、説得力のある考えを練っていきます。彼らは証拠を使って、アイディアが「真実」であると合理的に後押ししなければならないと知っているのです。

もちろん、真実とは様々な形や大きさでやってくるものです。それは証明にも言えることですね。

証明に関する3つの事実

ここでは事実に基づく証明、事例に基づく証明、そして社会的証明が挙げられます。

・事実に基づく証明は、もしあなたが自分のアイディアをよく研究していれば見つけることは簡単です。インターネットを使えて、オンラインリサーチの仕方を知っていれば、誰もがほとんどのトピックについて事実に基づく証明を見つけることができます。

・事例に基づく証明とは、あなたのアイディアを「伝える」かわりに、事実に基づく、あるいは架空のストーリーを「見せる」ことによって立証していきます。事例に基づく証明は即座に感情に訴えかけるため、非常に力強いものとなるのです。ストーリーを読んでいるときに人々は批判的にはなりません。彼らの目的は楽しむことだからです。このことは、あなたにライターとしての強い優位性を与えてくれます。

・社会的証明は、私たちの意見や行動が及ぼす影響や反響を引き合いに出します。ライターとして、自分のアイディアを社会的証明を使って立証する良い方法は、顧客体験や専門家の推薦などを利用することです。

以上があなたの文章に「良い考え」を組み込む方法です。

次は、良い文章の定義の2つ目である表現の明確さについてお話しましょう。

### 表現の明確さ

表現の明確さとは読み手があなたの説得力のある考えと、それに続く証明を容易に「理解する」ことです。これは、この定義の最も大切な部分でもあります。説得力のある考えと同じくらいに大切なことですね。

次の文章は覚えておいてください。

「理解するのが簡単なほど、あなたの読者はあなたの書いたことを真実だと思う」

この主張を支持する、認知的流暢性という新しい科学があります。それはとりわけ、シンプルな言葉が読み手に与える影響を調べているものです。研究者によると、同じ内容でもよりシンプルな主張の方が、複雑なものよりも信頼度が高いことがわかったそうです。科学者たちも私たちの脳は元来、よりシンプルな(そしてより馴染みのある)ものを信じるようになっていると言っていますよ。

新人ライターはこれを理解していません。彼らは、良い文章とは飾られている、もしくは感銘を与えるものであるという説にのっとって仕事をしています。自分のコピーを知的、そして感情的に感銘を与えるものにしよう、また威圧的にさえしようと努力をしているのです。複雑であることが良い考えの証であると、彼らは間違って教えられているからですね。ですから、複雑な文章と難解な言い回しを使って自分の書いたものを非常にわかりにくくしてしまうのです。

これは大きな間違いですし、立ち止まってちゃんと考えてみれば明らかに馬鹿げているとわかりますよね。あなたがせっかくすばらしいアイディアを考えつくために努力をしたのに、なぜ理解できない言葉や言い回しを使ってそれを隠す必要があるのでしょうか?

ここで、今まで話してきたことの例を見てみましょう。

ご紹介するのはベテラン金融ライターが書いた文章です。私は、彼が次のエッセイで使う予定の「大きなアイディア」の短い要約をお願いしました。以下は彼の送ってくれたものです。

「Simon Properties (サイモン・プロパティーズ)は、小魚たちを飲み込んでいくという約束をきちんと果たしています。この会社は、ショッピングセンターを経営するPrime Properties (プライム・プロパティーズ)を230億ドル(2兆3000億円)で買い上げてもなお、市場でのチャンスを利用するためにため込んできたキャッシュを使い尽くしていないのです。Simon Propertiesはキャッシュのある、巨大で景気のいい会社です。そして巨大な悪の企業がするべきことをやっていますよ…彼らの弟分である小さな会社を叩きのめし、1番おいしい話を奪い…さらに巨大になっていき…他の会社から市場のシェアを取り上げているのです」

私は、文章の行間を読めば彼の頭の中に良いアイディアがあることはわかると返信しました。しかし、彼はその軸となるものを明確にすることができず、エッセイのもととなる「大きなアイディア」に変えることに失敗したのです。

これは私が彼への返信メールの中で書いたことです。

「あなたは、Simon Propertiesが小さくて、キャッシュに飢えているビジネスを買収していることからお買い得だと言っていますね。これは正しい意見ですが、説得力のあるアイディアではありません。ただの主張です。感情に訴えかけるにはもっと普遍的で、それと同時にもっと独特なものでなければいけません。あなたのアイディアの後ろに隠れているアイディアを見つけましょう」

「つまり、あなたの読者がハッとして注意を払うようなものを見つけないといけないのです。それをディナー・パーティーで繰り返したとしても面白い議論が始まるような、1つのアイディア(できれば1フレーズ)を読者には与えないといけません」

「例えば、『儲かっているが弱小で狙いやすい会社を飲み込んでしまうことにより、市場で3倍もの業績を上げている、私がサメと呼んでいる会社があります』と書いたとしましょう」

「これは興味をそそるアイディアですよ。読者は即座に理解し、もっと知りたくなります」

「しかし、そのためには今の市場においてサメが良い投資になるということを、あなたは読者に納得させなければいけません。そうすることによって初めて、読者はあなたのSimon Properties に関する主張に興味を示すのです」

まとめ

説得力のあるアイディアをライターに理解してもらうために、私は彼らにそれぞれのアイディアをコピーの一番上に持ってくるように頼みます。そして、それに対する返信としてよく送られてくるのが、そのアイディアを説明する長いパラグラフです。コピーの上に書かれた長いパラグラフを見れば、もうそれを読まなくとも、このライターには説得力のあるアイディアが何なのかが見えていないことがわかります。そして、そのパラグラフが長いうえに複雑な文章を含んでいた場合は、このライターが見当はずれであることもわかるのです。

私は、「大きなアイディア」と「表現の明確さ」という、良い文章における2つの重要な要素を認識して以来、レビューのために送られてくるエッセイやプロモーションには必ずページの先頭に主要アイディアを説明した1文を書いてもらうようにしています。

もし、そのアイディアの1 文 に良い印象を持つことができなければ、私は残りを読むこともなく送り返します。レビューを頼まれたその文章が、内容も支離滅裂であるとわかってしまうからです。そして、平均的な中学1年生が簡単に理解できる程度の読みやすさを満たさない場合も却下するようにしています。

なぜなら、長年の経験から平均的な中学1年生が簡単に理解できないほどの読みにくいエッセイや広告には結果が伴わないと知っているからです。以前は、その文章が読んでもらえないからだと思っていました。もちろん、それも結果が伴わない理由の1つです。しかし、認知的流暢性というものを学んだ今、その文章が信じてもらえないからだという理解に至ったのです。

さあ、ここで定義のおさらいです。良い文章とは、説得力のある考えを明確に表現するスキルのことですね。そして、説得力のある考えを思いつくためには、「アハ体験」をするまで、あなたが読書を続けることです。そして、あなたの約束や主張を明確に、平均的な中学1年生が簡単に理解できる程度のシンプルな言葉で証明していきます。

この規則によって、私はかなりの時間を節約できましたし、私の指導のもとに学んだ全てのライターの学習曲線も上昇しました。あなたにもこれをお勧めしますよ。

-マイケル・マスターソン

マイケル・マスターソン

年商100億円以上の会社を2社、50億円以上の会社を2社、10億円以上の会社を10社以上保有、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの世界で屈指の実績を誇るスーパー起業家。その事業構築の手腕は多くの起業家、マーケッターから高く評価され、推薦分などを書くことがないジェイ・エブラハムが著書に序文を寄稿するほど。AWAIのファウンダーの一人であり、450,000人の会員を誇るメールマガジン「Early to Rise」のファウンダーでもある。

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