From:昌子幹
この10月から【ザ・レスポンス】を離れ、別の部門に異動になりました。
よくよく考えたら、レスポンス以外の商品に携わるのは久しぶりのことです。2年半ぶりくらいでしょうか。今度の部門で扱っている商品はマーケティングやセールスライティングとはまったく違う分野のもので、もちろんお客さんの層も違います。さて、どうするか?
商品やお客さんが違うだけで、マーケターとして、セールスライターとしてやることは基本的に何も変わりません。
まず最初に、そのビジネスのマーケティング・プロセスを把握し、それぞれの数字を把握します。そして、どこがボトルネックになっているのか?どこを改善すればそのビジネスに一番大きなインパクトを与えることができるのか?その優先順位を他のメンバーと一緒に考えます。
優先順位が決まったら、それを改善する方法を考えます。ダイレクト・レスポンス・マーケティングでは新しいセールスレターを作ることが改善策になる場合が多いのですが、今回もそうです。というわけで、セールスレターを書くためのリサーチに入ります。
リサーチには大きく分けて、顧客、商品、マーケットの3つがありますが、何しろ商品のことを全くと言っていいほど知らないので、まずは商品リサーチから始めることにしました。
商品の特徴や周辺情報を洗いざらい書き出し、それをとりあえずベネフィットに転換していきます。ま、王道ですね。すると、その商品が解決できる問題がいくつかリストアップされてきました。これがいわゆる訴求ポイントにつながっていくわけですが、どれを中心の訴求にするか?
「なんとなく、これかなー」とあたりはつけますが、本当にそれでいいのか?その仮説の精度を上げるにはもちろん、顧客リサーチをしなければなりません。特に今回は初めての商品。同じ商品を長くやっていると、お客さんのリサーチも蓄積されているので、なんとなく分かる場合もありますが、今回はそうはいきません。
顧客リサーチは、大きく分けて2段階。まずは、年齢、性別、職業などといった基本的な属性を把握します。これは、アンケートなどで収集したデータなどで過去の購入者プロフィールを調べれば大体出てきます。そして、最も多い購入者層に共通するプロフィールが浮き上がってきます。
属性を把握したら、次に、もう少し踏み込んで、心理的な側面をリサーチします。どんな問題や悩みを抱えているのか?何に関心があるのか?どんな欲求があるのか?どんな信念を持っているのか?などについて過去のアンケートを見たり、ヒアリングをしたりして把握していきます。ただし、ヒアリングをするときに注意点があります。
初めて会うような人にヒアリングをすると、当然のことですが、なかなか本音を見せてくれません。それどころか、「いいこと言ってあげなきゃ」と妙なサービス精神さえ発揮してくれたりします。
そこで、僕がよくやるのは、見込客の属性に近い友達、その商品に関心のありそうな友達にヒアリングをすることです。彼らは僕に対して遠慮というものを知らないので、本音や率直な意見を聞き出せることが多いのです。
さらに、その部門に長くいる他のメンバーにもヒアリングしていきます。彼らは今までにたくさんのお客さんと接しているので、お客さんがどういった悩みを抱えているか、どんな欲求を持っているかを肌で分かっているからです。
それは、さておき、、、
これらのリサーチ結果をもとに、次に企画を考えていきます。簡単に言うと、商品のベネフィットと見込客の抱える問題をマッチングして、セールスメッセージの中心となる訴求を決めていきます。
この2つが重なる部分、それも大きく深く重なれば重なるほど、その訴求が当たる確率は高まります。その部分を探していくと、商品リサーチの時にあたりをつけていた訴求が合っているのか?あるいは、やっぱり別の訴求でいった方がいいんじゃないか?ということがわかってきます。
その結果をもとに、訴求を2つから3つくらいに絞っていき、ヘッドラインを数十個作成。他のメンバーに見てもらい、気になるものにチェックを入れてもらい、チェックの数が多いヘッドラインを残していきます。
その結果、今回は、商品リサーチの時にあたりをつけていた訴求とはまったく別の訴求でいくことにしました。
ざくっと言うと、こんな感じで、今、新しいセールスレターを書いているわけですが、、、さて、あなたは僕が何を重視してセールスレターを作成したか分かったでしょうか?そうです、、、
ということです。事実をもとに仮説を作り、検証をしていくのがダイレクト・レスポンス・マーケティングであり、セールスライティングです。当たり前のように思えますが、長く同じビジネスや同じ商品に関わっていると、なんとなく憶測で作業を進めてしまうことが少なくありません。
「お客さんはきっとこう考えているだろう」、「この商品ならこの訴求が当たりそう」といった憶測が増えれば増えるほど失敗する確率は高くなることは言うまでもありませんよね?
もちろん、今回のセールスレターの訴求が当たるかどうかは分かりません。なぜなら、これもまた仮説でしかないからです。実際にその訴求が当たるかどうかは、そのセールスレターを出してお客さんの反応を見るしかありません。ただし、この仮説があるかどうかで、その後の展開は大きく違ってきます。なぜなら、仮説がなければ検証も対策もしようがないからです。
仮説があれば、それが間違っていた時、すぐに検証し、新たに別の仮説を生み出すことができます。今回の例で言えば、企画の時に考えた別の訴求を試してみるか、あるいはリサーチ自体をやり直すといったことが考えられるでしょう。すぐに次の手を打つことができます。
でも仮説がなければ、いったいどこがどう間違っていたのか、あてどなくさまようことになります。精度も上がらないし、成果に結びつくまでに無駄な時間がかかります。たとえうまくいっても、なぜうまくいったのかよくわからないので、次に活かすこともできません。
とかく、セールスコピーとかセールスライティングというと、クリエイティブな印象を持つ人が少なくありませんが、実際はまったく逆です。事実をできるだけ多く拾い上げ、それをもとに何を言うかを判断し、文章を組み立てていく作業です。
そもそも、ダイレクト・レスポンス・マーケティングは本来、テストと改善を繰り返す科学的な手法です。結果に一喜一憂することなく、その結果を見て改善を繰り返していけば、成果は確実に上がっていくはずなのです。そして、そのためには、事実をもとにした仮説と検証は欠かせないプロセスなのです。
、、、ということが、今回異動することで再認識できました。さて、あなたは事実をもとに判断していますか?憶測だけで判断していませんか?今一度、振り返って見るといいかもしれませんね。
昌子幹
【ザ・レスポンス】の最新記事をお届けします