From:寺本隆裕
From:寺本隆裕
学生の頃、女の子の部屋に呼ばれた時の話。
彼女は同じ大学の一つ上の先輩で、
バイト仲間でもあった。
見た目はAKB48の板野友美をちょっとムチッとさせたような感じ。
雰囲気がかわいくて、
バイト仲間の男からもそこそこ人気があった。
バイト中、そんな彼女から突然の誘い。
「今夜ごはん作るから、食べにこない?」
彼女のことを特に意識をしていたわけじゃなかったけど、
人気の女の子から誘われて気を悪くする男はいない。
しかも彼女は関東出身なので、大阪では珍しい標準語。
ちょっとドキッとしてしまう。
「うん、じゃぁバイト終わったら一緒に帰ろうか」
タイムカードを押して彼女と一緒にマンションに向かう。
バイト先から20分くらいのところだ。
ドキドキしていることを悟られないように他愛もない話をし、
マンションに到着。
エレベーターを上がり、部屋の前につき彼女がドアに手をかける。
しかし、ドアが開いた瞬間、
そんなにドキドキする必要がなかったことにすぐ気がついた。
「ただいまー」
鍵が開いている。
中に人がいるのだ。
「おかえりー」
待っていたのは同じバイト仲間の女の子。
「今日はね、わたしたちでちょっと料理作ってみるから食べてみてくれる?」
「あ、うん、了解」
そっか。そういうことやったんか。
彼女は、僕が卵かけご飯と納豆が主食の、
不健康な一人暮らしの学生だということを知っていた。
だから今日は彼女たちが料理をふるまってくれる、
ということのようだ。
ちょっとがっかりしたが、
貧乏学生にとって1食分でも食費が浮くのはありがたい。
それに、1対1ではないとはいえ、、、
女の子が二人がかりで僕に料理を作ってくれる。
悪い気はしない。
ほんのり期待していたドキドキはなくなったが、
逆にちょっとした優越感があった。
「何作るん?」
「ないしょ―」
と言いながら、彼女たちは料理をはじめた。
彼女のベッドに寝転び、
しばらく彼女たちの後ろ姿とテレビを交互に眺め、
優越感にひたっていた僕だったが、、、
少しずつ、嫌な予感がしてきた。
(そういえばこの子たち、料理できないって言ってなかったっけ、、、)
そう、浮かれてて忘れてたけど、
彼女はいつも、全然料理をしたことがないと言っていたのだ。
毎食、コンビニか弁当屋のお弁当。
もしくはバイト先の社員にたかって、
夕食をおごってもらっていた。
・・・これは、ヤバイかもしれない。。。
僕はきっと、実験台だ。
部屋を見回してみると、
ゴミ箱の横にはコンビニ弁当のガラが大量に積み上げられていて、
次のゴミの日を待っている。
キッチンもまるで活躍している様子がない。
調理器具らしいものといえば、
今まさに湯気をあげている炊飯器と、
あーでもないこーでもないと言いながら、
今、2人がかりで悪戦苦闘しているフライパンくらいのもの。
何をしているのかを少しのぞいてみると、
コンロの上でフライパンの中にある何やら白い物体を、割り箸でかき混ぜている。
・・・不安が高まってくる。
冗談抜きでこの子らは、
かまぼこが海の中でそのまま板についた状態で泳いでる、
と思ってるくらい、料理について知識がないのだ。
もしかすると今湯気を上げているご飯も、
先にいた友達の子が、洗剤で洗ったものかもしれない、、、
(そういえばこの前、
「炊飯器を1ヶ月ぶりに開けたら中のご飯が緑色になってた」って言ってたような…
これ、その炊飯器ちゃうんか!?)
さっきまであった食欲は、どこかに行ってしまった。
しばらくして、、、
女の子「できたよ~」
友達の子「うわ~おいしそ~」
折りたたみ式の小さなテーブルの上に、
彼女たちは白いスープ皿に盛りつけた「料理」を置いた。
見ると、ホカホカ炊きたてのご飯の上に、
ハルサメのような白っぽい透明っぽい麺が乗っている。
そして赤と茶色の四角い物体が、
その上に申し訳程度にかかっている。
推測するに、人参としいたけだ。
「ん?なにこれ??」
女の子「じゃーん!ビーフンご飯~!」
友達の子「おいしそ~」パチパチパチ(拍手)
・
・
・
ビーフンご飯…
ん、、、ビーフンって、
ご飯からできてるんちゃうかったっけ、、、
ってことは、、、
つまりこれは、
ご飯を麺状に伸ばしたものを、
麺状に伸ばしていないご飯の上に乗せたものちゃうんか!?
そこに油とごく微量の人参としいたけをふりかけただけのものちゃうんか!?
要するにこれ、、、
「ご飯ライス」やんけ~(TдT)
見た目もまずそうである。
99%白で、0.5%赤、0.5%茶色という、
何とも食欲をそそらない配色。
カレーの皿に盛られた白いご飯の上に、
2滴くらいカレールーがかかっているだけのようなカラーイメージだ。
しかし、彼女たちは始めての料理に自信満々。
2人はテーブルの僕の向かいに座り、
お腹すいたでしょ、お食べ、と、僕をじっと見つめる。
2対1の構図だ。
一口食べてみると、、、
薄い。
味が薄い。
明らかに調味料の分量を間違えている。
ほんのり油の味。そしてかすかにしいたけ。。。
しかも主役のはずのご飯は、芯が残っていて固い。
彼女たちは目をキラキラさせながら、
「どう?美味しい?」
「私たちのオリジナル創作料理だよ!」
と、僕を覗きこむ。。。
「う・・・うん、美味しいです」
「でっしょー!良かった~」
「ね、じゃぁ私たちも食べよっか」
と、とっても美味しそうなお惣菜の唐揚げとビールをコンビニの袋から取り出す。
おいっ!お前らはご飯ライス食べへんのかいっ!
とツッコむ精神的な余裕もなく、、、
僕はその味の薄い白い食べ物をひたすら口に運ぶことに。
彼女の家に、昨日の弁当に付いていたソースが残っていたのが救いだった。
ごはんライスを「ソースかけごはんライス(固め)」にしたことで、
何とかノルマを果たした。
僕の理想の女性のタイプに
「家庭的な人」
という一行が追加された瞬間であった。。。
「3つの袋」が重要というのはよく言ったものである。
しかしこの「ご飯ライス」。
料理だったら誰でも美味しくないとわかるが、
ことビジネスではご飯ライスを作ってしまっている人が少なくない。
カレーライスはご飯の上にルーが乗っているからこそ美味しいし、
牛丼はご飯の上に牛肉が乗っているからこそ美味しい。
にもかかわらず、
ご飯の上にご飯をひたすら乗せているのだ。
ひたすら勉強だけをしている人がそれに当たる。
成果を出すために、スキルを上げるために、
勉強することは必要不可欠なことである。
食事の基本となるご飯のようなものだ。
しかし、それだけでは美味しい料理を作ることは出来ない。
「実践」「体験」といったものと合わさってはじめて美味しい料理となる。
12週間コピーの生徒さんにも、
「もう10回は聞いてますよ」
「セールスレターを手書きで写しまくっていて、もうノート3冊目ですよ」
「オススメの本を片っ端から読んでますよ」
という人がいる。
つまり、ご飯の上にご飯を盛り付け続けている人だ。
もちろん、
ご飯がなければカレー「ライス」にはならないから、
それは大事なことだし必要なことでもある。
しかし、、、
成果を出す人は「勉強」だけでなく「実践」が多い。
ご飯だけじゃなくオカズも作ってるのだ。
コピーライターの丹郷さんは、
「12週間」のまだ3週目か4週目までしか進んでいないにもかかわらず、
クライアントをとってコピーを書き始めた。
オカズがたっぷりある、美味しい定食のようなバランスだ。
コピーライターになろうと決めて、すぐに大活躍できる秘訣がここにある。
あなたがもし、
コピーを真剣に学ぼうと決めて半年以上経過しているのに、
まだクライアントがいないとか、ビジネスで成果が出ていないというなら、
一度、確認してみよう。
自分は、ビーフンご飯を作っていやしないか、と。。。
fasdf
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