From:ダン・ケネディ
From:ダン・ケネディ
前回、顧客とのコンタクトについて、5つの簡単なサクセス・ガイドラインをお教えしました。今回は、カスタマー・サービス・ディプロマットとして、なぜ、「もうひとがんばり」の努力が必要なのか、そして、どのように「もうひとがんばり」すれば良いのかを、もう少し詳しく説明します。
そうするにあたって、一人の人物を紹介させて下さい。大ベストセラー「思考は現実化する」の著者である、ナポレオン・ヒル博士です。
「思考は現実化する」は、20年間に及ぶ研究を経て、1937年に最初に出版されました。それ以来、70年以上を経た今日まで、何度もベストセラーの上位に上がっています。このことからだけでも、この本がいかに重要な本であるかが分かります。
この本の中で、ヒル博士は、何百人もの歴史上、最も偉大な成功者らが共有し、活用していた実績のある「成功哲学」を示してくれています。この「成功哲学」の一つが、「もうひとがんばり」の努力をするという考え方なのです。
ヒル博士が、雨の日に家具店に入って来た小柄な老婦人について、秀逸な話をしたことがありました。店内にいた販売員はほぼ全員、その老婦人は、雨を避けるために店に入っただけで、買う気は無いと判断しました。
ところがただ一人、あまり頭の良くない未熟な新人販売員だけが、その老婦人に近付いて、礼儀正しく、「いらっしゃいませ。お役に立つことがあれば、おっしゃって下さい」と声をかけたのです。もちろん、彼は何も売りつけることができず、ベテランの販売員らのからかいの的になったのです。
ところが、それから間も無く、アンドリュー・カーネギーがその店に連絡してきて、その販売員を名指しで、スコットランドに寄越すように言ってきたのです。カーネギー家が所有する城の内装を、彼に注文したいからと。例の老婦人はカーネギーの母親だったのです。
「もうひとがんばり」して、たとえ客ではない人にも、心からのカスタマー・サービス・ディプロマシーを示すことで、この販売員は一夜にしてスーパースターになったのです。
「もうひとがんばり」のアイデアとは?
もちろん、あなたの職場では、このような奇跡は起こりそうもないかもしれません。それでも、「もうひとがんばり」の努力をすることで、何らかの成果がもたらされることの方が、そうでないことよりも多いのです。
このことは、おなじみの「己の欲するところを人に施せ」などといった普遍的な成功法則、成功の概念にしっかりと根ざすものです。
立場を変えて、私たちが顧客になった時も、当然のことながら、自分たちのために、「もうひとがんばり」してくれる人を好ましいと思うでしょう。ですから、同じような親切さを持って、他の人に接することが理にかなっていることも当然です。
カスタマー・サービス・ディプロマットが、「もうひとがんばり」の努力をするには、どうすれば良いでしょうか?アイデアは何百もあるでしょうが、そのうち、いくつかをあげてみます。
いかがですか?きっとあなたにも、できることばかりだと思います。是非、実践してください。
「もうひとがんばり」のアイデアの例。
それでは、アイデアの一例として、私の旅行中の経験を話したいと思います。
二つの都市で、別のレンタカー会社のカウンターに行きました。一つのレンタカー・カウンターでは、担当者は明らかに私用の電話をかけていて、それが終わるまで私は待たされました。契約書に記入するのに必要なことだけ質問し、私が道をたずねると地図を渡されました。
もう一つのレンタカー・カウンターでは、私が近付くのを立ち上がって出迎えてくれました。必要な質問をして、私が、どっちに行けば良いかたずねると、地図を使って目的地までの道順を教えてくれて、さらには、地図の裏側に道順をメモしてくれたのです。その上、地元の美味しいレストランを2件ほど教えてくれて、当社をご利用いただきありがとうございますと、お礼の言葉もかけてくれたのです。
今度、レンタカーを利用する時には、絶対、2番目のレンタカー会社を利用するでしょう。なぜでしょうか?
車が良かったとか、料金が安かったとかではありません。私をどのように扱ってくれたかが問題なのです。カスタマー・サービス・ディプロマシーが、差別化につながるのです。そして、これこそが、先に述べた5つのサクセス・ガイドラインの要点です。
このガイドラインは、あなたを差別化してくれるのです。そして、あなたによって、あなたの会社が成功するか、失敗するかが違ってくるのです。あなたが顧客を獲得するのか、それとも顧客を失うのかで、あなたの会社が成功するか、失敗するかが大きく変わるのです。
もし、あなたが今、自営業者だとしても、きっと、これまでのキャリアの中で誰かに雇われたことがあったでしょう。少しの間、考えてみて下さい。なぜ、あなたが雇われ、今のポジションに配属されたのか。何よりも、秘書として、あるいは受付係として、それなりのスキルを持っているからだと考えるかもしれません。あるいは、事務やセールスの仕事に、それなりの経験を持っているからだと。
そういったことも重要かもしれません。しかし、確信を持って言えますが、そういったことよりも、あなたが雇われ、今のポジションに配属された大きな理由は、あなたが何らかのパーソナリティー(人柄、性格)を示し、それが一般の人々に対して、あなたの会社を肯定的に提示し、代表するのに有益だろうと判断されたからなのです。
他の点においては、あなたの仕事を有能にこなす人もたくさんいたかもしれません。しかし、その人たちは、顧客を引き付け、満足させ、維持するための、「もうひとがんばり」の努力をできなかったし、また、しなかったのです。
ダン・ケネディ
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