From:北岡秀紀
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「今回のメールは何を書こうか」とヒントを探すため、今までに書いたブログを読み返していると…前々回の内容に対するコメントが賛否両論で面白いと思ったので、今回はそれについてお話しします。
そこでは「お客『様』という認識を改めて、つきあいたくないお客は切ろう」という旨をお伝えしました。(詳細は、ぜひ読んでみてください。)
半分近くがネガティブなコメントだったのですが、その趣旨は2つに分類できると思います。
・お客を切る行為、「お客様」と呼ばない(クライアント)行為が顧客軽視ではないか?
・相手を切るよりも自分(自社)が変わることの方が重要なのではないか?
この点にお答えしたいと思います。
本当に顧客軽視?
まずひとつめ。お客を切る行為、「お客様」と呼ばない(クライアントと呼ぶ)行為が顧客軽視ではないか?という点について。中には、「営利至上主義」とまでおっしゃっている方もいました。
果たしてそうでしょうか?
マーケティングを勉強したことがあれば、ターゲティングという言葉は一度は聞いたことがあると思います。これは要するに、自社が付き合うべき相手を絞り込みましょうということです。
自社が付き合う相手を絞り込むということは、逆から見れば、それ以外のお客を切りましょうということ。絞り込む側に焦点を当てれば「ターゲティング」ですし、絞り込んだ残りに焦点を当てれば「客を切る」です。単に、見る角度が違っているに過ぎません。
しかし、ターゲットを絞るというのは常識として知っていますが、そうすると対象顧客のボリュームが減って売上が下がるんじゃないか?という不安でなかなか実行できない、ということが起こります。
ターゲティングは分かっているのに実行できない
通常、ターゲットを絞れば売上は増えるのですが、頭で分かってもなかなか実行できません。そこで力を発揮するのが、「誰を残すのか?」ではなく「誰を切るのか?」という観点でお客を絞り込む方法です。つきあいたくないお客を決めることで、結果的に付き合う客を決めるというわけです。
その際に、日本人にとって意味が薄い「クライアント」という言葉で言い換えることで、誰がつきあいたくないお客なのか?を明確にするきっかけにしましょう、ということに過ぎません。しかも、「クライアント」という言葉には「専門家に助言を求める依頼人」という意味も含まれ、単なる買い手ではなく、あなたが教え導くべき相手と暗に示すことができます。これは「私にとってどれがいいの?」「私はどうすればいいの?」を教える専門家になりましょう、という話を参照してください。
お客を教え導きましょう、というのが顧客軽視でしょうか?その人に合っているかどうかを判断せずに、誰にも彼にも商品を売る方がよほど顧客軽視だと私には思えます。だからこそ、教え導くことができるお客だけを絞り込む必要がある(=お客を切る必要がある)というわけです。
じゃあ、ウチが変わるか…
2つめ。相手を切るよりも自分(自社)が変わることの方が重要なのではないか?という点について。
理不尽なクレームを言ってきたり、あきらかに報酬をもらわないと採算が合わないようなサポートを要求してきたり、ありえない値下げを要求してきたり…そんな買い手が現れるのは、何か自社に問題があるはずだ。だから、自分のあり方を変えるのが重要なのではないか?ということですね。
「経営者は郵便ポストが赤いのも自分の責任と思え!」と誰かが言っていましたが、全てを自分の責任と捉えろ、というそのマインドは私も正しいと思います。
その観点から言えば、そんなお客にも徹底的に付き合うという責任の取り方もあれば、大切にしたいお客さんに集中するという責任の取り方もあります。
クレームを言って来た人を全て排除しろなんて言うつもりはありません。(クレームを必要以上にありがたがるように言うヤツも信じられませんが。)こちらの責に負うものであれば、徹底的に向き合うべきでしょう。
しかし、理不尽なクレームにまで、過剰なサポートや値引き要求にまで、自分の責任と考えて取り合っていれば、身体はいくらあっても足りません。そんなお客に時間を取られて本来のお客に時間を割けないほうが、よほど顧客軽視です。
本当に重要なこと
切るか切らないか?どちらを選択するかは、結局は社長の価値観です。
コンサルティングの現場でも、「クライアント」と呼ぶことも「お客を切る」ことも、オススメはしても強制はしません。そのことによって、私がそのクライアントを切ることはありますが(笑)。
しんどいお客にも徹底的に向き合いサービスを磨き上げるということも価値観。そんなお客に利益率を下げられるのはウザい、大切なお客を徹底的に大切にしたい、というのも価値観です。
大切なのはどっちがエラいとか正しいではなく、あなたがどちらを選ぶことを選択するか?です。そして、その選択をブレずに自社の行動に反映させられるか?ということです。
【邪魔の入らない週末こそ!社長のためのアクションプラン】
あなたはウザい客にも徹底的に向き合いますか?それとも切りますか?どちらを選ぶでしょうか?
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