From:ダン・ケネディ
From:ダン・ケネディ
前回は、“私たちが知っていること”と、それがどれほどすばらしいかということについてお話ししました。
今回は、私の好きな言葉をご紹介します。
この言葉との出会いは、私がウェルス・コーチング・グループのメンバーと共に、アトランティックシティのトランププラザを舞台にした「アプレンティス」という実業家ドナルド・トランプの新番組を観ていた時のことです。(注:トランプの関連会社役員の椅子をかけて挑戦者たちが見習いとして働く番組。負けた挑戦者にはトランプが「お前はクビだ!」と告げるのがお約束)
私たちは、ドナルドがある男をクビにしたことに、「クビになって当然の男だ!」と全員が大賛成でした。
ドナルドがクビにしたのは、「能力を十分発揮させてくれなかった」ために「できない男に見えた」と愚痴をこぼしていた男でした。
翌日のミーティングで、コーチング・メンバーのひとり、マイク・ウォルターズは、「ある男を雇いたいと思っているんだ」と言いました。
その男とは、オフィス家具の販売・配達を仕事にする者で、マイクは彼を良い給料でトップ・プロジェクト・マネージャーにしたいと考えていました。
その家具屋がマイクの目に留まった理由とは何だと思いますか?
その男がある新しいオフィスへの商品の搬入を監督していた時に、他の商品の配達人やブース設置人、電話設置係、建設屋がめちゃくちゃやっているのを目にして、彼はオフィスの設置全体の指揮を自らかって出て、10時間以上そこに留まり、任務を完了させたからです。
彼は率先して仕事を進め、責任を担い、「自分の使命を遂行する」ということを行動で示したのです。
愚痴で自分を憐れむことに何の得が!
世の中には、責任を負って任務を遂行させる人よりも、すべきことを正確に指示されるのを待って、言われた以上のことは何もせずに愚痴をこぼす側の人間の方が多いものです。
マイケルが、目をつけた男に会社のポストを用意したことは正解でした。
トランプができそこないの男をすぐに解雇したことも正解でした。
残念ながら私たちのまわりには、仕事がよそに委託されたとか、仕事がなくなったとか、自分のことをかわいそうだと嘆く愚痴っぽい集団が、たくさんいます。
かつて鉄鋼の街として栄えたクリーブランドでは、未だに製鋼所工員が、海外に仕事を取られたと文句を言っています。彼らの時代は、10年前にすでに終わっていたというのに。
また、航空管制官は、未だに1981年のことを持ちだし、レーガンから解雇されたと愚痴をこぼしています。(注:1981年、レーガンは労働組合対策として職務復帰命令を無視した航空管制官を大量解雇したことがあります)
私はそんな愚痴っぽい人が大嫌いです。
一旦不吉な災いの前兆を感じたら、そこに留まりただ傍観しているだけでは何の得にもなりません。
人々には次のように伝える必要があります。
自分の人生に責任を持ちましょう。自分の考えを持ちましょう。一生安泰な場所はどこにもありません。私たちにはあらゆるものを「追い求める」ことができます。
キーワードは「追求」です。
今後あなたが部下を抱えることがあるなら、私からあなたにアドバイスがあります。
率先して仕事に取り組み、責任を負い、任務を遂行するタイプの部下にあなたが囲まれてサポートされるようになるその日まで、無能な相手には「お前はクビだ!」を可能な限り何回も、必要な限り即座にきっぱりと言い続けましょう。
優秀な部下とは、必要な任務を自ら判断して、その任務を率先して行う、賢明で主導権を持って動く人物のことをいいます。
私はその点で幸運でした。私のアシスタントは、すべきことや、そのやり方について、こちらが指示しなくても積極的にやってくれます。
経営不振に陥る、うまく行っていない企業とごく稀に仕事をすることがありますが、そんな時、その経営者のまわりにいる人をちらっと見れば、そこに問題があることが、はっきり分かります。
次回をお楽しみに。
−ダン・ケネディ
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