From:ダン・ケネディ
給与小切手に署名をするのは誰かと聞かれたら、簡単に答えられると思っているでしょう?
ところが従業員や企業家でも、この質問に対して、正確に答えられる人はほとんどいないのですよ。
従業員は、社長かビジネスオーナーが署名をすると思っていますよね。もちろん、この考えが間違っていることは、あなたならすぐにわかるはずです。そして従業員に対し、実際に自分たちの賃金を支払うのは顧客なのだと教えるのではないでしょうか。しかし、その考えさえも単純すぎます。従業員に支払う賃金だけではなく、あなたの給料、配当金、利益、役得などのお金が銀行口座に振り込まれてくるわけですが、その入金額は、複雑に絡み合ったビジネスの収入源と顧客層に左右されるのです。
例えば出版業界では、多くの作家が出版社や編集者からひどい扱いを受けています。(私の出版社は2つありますが、そのうちの1社だけがこれに当てはまりますね。)彼らは、作家のことを何でも命令していい奴隷で、商品を生産するために仕方なく持っているお荷物的存在だと思っているのですよ。これはハリウッドも同様で、脚本家は最低の扱いを受けており、俳優だってほとんど似たようなものです。
出版社が作家に原稿料を支払っていることは事実ですが、両者の関係にはそれ以上のものがあります。出版社は、本を流通させることは出来ても、販売することは出来ないので、作家が本を売込めるかどうかにかかっています。作家が怠けて何もしなければ、出版社は売れ残りの本を大量に抱えることになりますからね。ですから出版者にとって作家というものは、確実に見返りが得られる大切な顧客であり、そのように扱われるべきなのですよ。
私のウェルス・グループを、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのサファリツアーに連れて行った時、私たちはカバについてあることを学びましたよ。カバは自分で歯をきれいにすることが出来ませんよね。カバの周りには、ある種の小さな魚がたくさん泳いでいるのですが、カバは口を開けたままにして、それらの魚が口の中を自由に泳げるようにしています。その魚たちは、カバの歯の間に挟まる食べかすを餌として生きているのですね。つまり、カバにとってはその魚たちがデンタルフロスで、魚たちにとっては餌を与えてくれる存在なのです。これを「共生関係」と言います。
あなたの給与小切手の支払いに充てられる資金も、何百とは行かないまでも、おそらく数々の異なる共生関係から生み出されています。それは顧客だけではなく、卸売、販売、小売などの仲介業者や、自社の営業チーム、フロントデスクの従業員など、顧客と直接関わったり、紹介してくれる人もすべて含みます。ベンダーとサプライヤー、メディア、ジョイントベンチャーのパートナーなども同様ですね。
このような人々を軽視し、粗末に扱ってはいけませんよ。彼らは全員が大切な存在なのです。彼らとしっかりコミュニケーションを取り、褒めたり、励ましたり、やる気にさせたりして、上手に管理していかなければなりません。一方通行のコミュニケーションではだめなのです。すべての人が自分の役割を知り、相手に感謝し、また相互理解が深まるような共生関係を丁寧に築きあげましょう。
自分の給与小切手に署名をしてくれる、すべての人の名前を書き出し、表を作って見直してみるのもいいですね。そして、あなたは彼らをしっかり満足させることが出来ているのか、考えてみてください。なんだか、一夫多妻制の夫みたいですがね。
-ダン・ケネディ
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