「賢い」と思っていた人が、実はそうではないと気が付きましたよ。彼らは、自分たちのビジネスや職業に対して何かが起きていたり、脅威になったり直接的な影響を受けたりする状況への対処法を熟知しているはずです。しかし実際は、何が起きているのかを把握していないか、現実から目をそらしているか、もしくは一連の起こりうる結果を熟考する能力がないかのどれかですね。

米国連邦最高裁判所は「特定の状況下で、私有地の所有権を強制的に他の私的団体へ移転することを許可する」と、土地収用法を改正しました。この決定を、不動産の投資家たちが知ったのは、その何週間もあとでしたよ。

出版社幹部たちも、カリフォルニア州最高裁判所による判決を知りませんでしたね。それは、B&N.com（米国の大手書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーブルのオンラインサイト）の商品価格が、Amazonに比べて9％も不利になるというものでした。

これから、ドゥー・ノット・メール・リスト（ダイレクトメールなどの郵便物を拒否する人の名簿）の法案が成立する可能性もありますよ。脅威と好機、どちらもが見落とされているんです。本当に知っているべき人々が知らないということを、私はとても心配しています。

あなたは何に注意を向け、読んだり見たりしているのか…何を知り、何を無視すべきかをきちんと選択しているでしょうか？疑わしいですね。私たちが以前、営業マンにさせていた「30日間の実験」をあなたも試してみれば、きっと視野が広がりますよ。1か月間すべてのテレビのプラグを抜いて、ガレージに押し込んでください*。

そしてテレビを見ていた時間を読書に充てるのです。そうですね、1週間で「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙、「インベスターズ・ビジネス・デイリー」誌、「ビジネス・ウィーク」誌、私のニュースレター、あなたの業界誌、さらに3冊（またはそれ以上）は読みましょうか。それから家族で、各自読んだ本について話し合いましょう。

芸能ニュースを読んだり、見たり、聴いたりするのはダメですよ。

私たちが行動を起こす時はいつでも、意図した結果だけではなく、予期してしない結果も想定するべきです。地政学的な例を見てみましょう。つい最近まで、中国で自動車を所有していたのは人口の4％以下でした。それが今や、彼らはみな自動車を運転し、石油を大量消費しています。そして、製造業で国際社会の中心となった現在は、より多くの原油も必要としています。中国を近代的な工業大国に変えようとした企み（意図的）が、原油価格の高騰を引き起こしてしまったのです（想定外）。

ビジネスにおいて「何か」を始める時、それによって起きるかもしれないことまで考える人はほとんどいませんね。彼らは直接の結果だけを見ているのですよ。自動車メーカーが最初に店頭表示価格をなくして割引や交渉、払い戻しを始めた時、それによって引き起こされる長期的な結果を考えていたとは到底思えません。

小規模グループの指導から、Strategic Coach（ストラテジック・コーチ、ビジネスコンサルティング会社）を真似て人数無制限のグループに切り替えたコンテンツ業界のマーケターは、間違いなく今後でてくる影響を考え抜いていないでしょうね（そして彼らは私が送ったコメントも無視していましたよ）。

私は起こりうる結果に対して、誰よりも大きくて幅広い、長期的な視野を持っています。今までの経験から得たものもあります。しかし大部分は、じっくりと時間をかけて点と点を遠くまでつなぎ合わせ、将来像を作り上げて考えると決めたからです。

-ダン・ケネディ

*誤解しないで下さいよ。私はテレビが好きだし、かなりの時間見ていますね。永遠にテレビを見ないように言っている訳ではありません。たった30日間です。