From:ダン・ケネディ
仕事中に積み重なるストレスやイライラ、私たちを疲れさせ不機嫌にさせ、頻繁に起こる頭痛などの大部分の原因はどこから来るのでしょうか?
その大部分は、一日中起こりうる小さな対立や衝突から始まります。これらの多くは、顧客サービス交渉術のスキルで解消することができます。
肯定的なフィードバックをもらうと気分が良いということは間違いありません。交流分析(訳注:心理療法の1つ)では、プラスのストロークという言葉がよく使われています。毛布にくるまれたような温かい気持ちと呼ばれることもあります。冷淡なトゲのような気持ちの対義語です。
プラスのストロークは、精神的なハグのようなものにもなります。顧客サービスの仕事をしている人は誰でも、このような好ましく、気持ちのよい、肯定的なフィードバックを促すことができるという素晴らしいチャンスがあります。そのようなチャンスを得るのは簡単です。与えればよいのです。自分が与えたものは何倍にもなって返ってくるということは、普遍的な法則です。
このようなプラスのストロークを与えることは簡単です。基本的な例をいくつか挙げます:
-またお会いできてうれしいです。
-あなたとお話しできて本当に楽しかったです。
-感謝します。
-センスの良いジャケット(またはネクタイや服装)ですね。
-素晴らしい選択をなさいましたね。
このようなちょっとしたプラスのストロークをいくつ人に与えるか、1日の目標数を設定します。そうすることで、仕事の本質的な部分が劇的に変わるでしょう。すぐに、あるいは遅くとも数日中には間違いなく、その結果が出るでしょう。
肯定的なフィードバックの習慣を身につける方法の1つは、エドワード・クレイマー博士によって生み出されました。クレイマー博士は電報のような小さな黄色いメモ帳を作り、サンキューグラムと名付けました。当初は、自分の家族用に作成したものでした。彼と妻と子どもたちが、毎晩数分間、日中にあった良い出来事を振り返って感謝を表わす時間をとることができるようにと考えたからです。
毎日、家族がそれぞれのサンキューグラムを書き、送りました。リーダーズ・ダイジェスト(訳注:家庭向けの総合雑誌)がクレイマー一家のサンキューグラムという珍しい習慣について記事を書いてまもなく、多くのハリウッドスターや経営者、その他著名人がサンキューグラムをクレイマー博士から購入し、その習慣を取り入れました。
この習慣の背景には、良いアイデアがあります。私たちは、その日の不快な出来事に目を向け、良いことは忘れてしまいがちです。ですから、毎晩数分間の時間をとって、ノートや名刺の裏、あるいは感謝の言葉が書かれたポストカードなどにちょっとしたお礼の言葉を書き、その日に気持ちよく関わった顧客に宛てて送るとよいでしょう。
とてもシンプルなことでかまいません。「あなたが来店してくれたので良い日になりました。ありがとうございます。」「お待ちいただき、ありがとうございました。」この習慣によって、その日に経験した良いことを積み重ねるようにあなたの思考はプログラムされるでしょう。あなたの考え方の傾向は変わることでしょう。
もちろん、仕事で腹が立ったり不愉快になったりすることは誰でもあります。上司、同僚、または顧客が理不尽だったり、さまざまな問題が起こったりすることもあります。しかし、その日に起こったことに対してあなたがどう反応するかということに比べたら、その出来事自体はそれほど重要ではありません。
不愉快な出来事によってあなたの態度や感情が左右され、その日を台無しにしてしまったら、誰が得をするのでしょうか?
あなた自身も、会社も、顧客も得をすることはありません。アール・ナイチンゲールは、彼の代表的なスピーチ “The Strangest Secret”(訳注:最も奇妙な秘密という意味)で、成功または失敗する鍵、そして幸福または不幸になる鍵について話をしています。それは、人は自分が最も思い浮かべるような人間になるということを覚えておくことだと言いました。不愉快な出来事ばかりに目を向け、その状況に不満を言い、そのようなことについて話し、くどくどと考えていたら、不幸で不愉快な人間になり、不幸で不愉快なことをさらに引きつけてしまうのです。
不愉快な出来事の影響を受けないように自分を律してそのような出来事を振り払い、その日に気持ちよく関わった人たちに目を向けたら、前向きで気持ちのよい人間になります。
ある1つの個性がその他の個性よりもキャリアの成功を導くことがあるのでしょうか?
間違いなくあります。昇進に関連性が深い要素は何か、という問いに対する統計や研究が行なわれたことがあります。経営者や管理職向けの格式あるハーバード・ビジネス・レビューへ引用されたこともあります。その統計や研究によると、その答えのわずか15%がスキルまたは才能に関する要素でした。残りの85%は、物事に対する姿勢が関係しているという答えでした。優れた顧客サービス交渉術者になろうと努力することで、さらに肯定的で生産的な姿勢になるように自動的に自分自身を開発していることになるのです。
ダン・ケネディ
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