From:北岡秀紀
過去コンサルティングした中で、こんな施策で売上が上がるの!?という事例をいくつも見てきました。今回は、そのひとつを紹介したいと思います。
ある焼肉チェーンにある有名なコンサルタントが入って接客接遇の研修をしました。研修後、私から見ても明らかに接客のレベルはあがりました。挨拶の声も大きくなり、お客さんとの接しかたも丁寧、常連からも「雰囲気変わったね」と言われるくらい。
でも、売上があがったのか?
結論から言うと、NOでした。
そこで何でなのか?という会議になぜか私が参加させられたのですが…
ふと思い立った私は、次のような質問をしました。
「何をもって、接客のレベルがあがったというのですか?」
役員、店長、全員が揃って
「お客さんが笑顔で喜んで帰ってくれる」
「店が明るい雰囲気になる」
というような答えでした。
全て定性的で全く計測できません。そこで私が提案したのは、お客の満足度を数値として計測することでした。
やり方はシンプル。
「あなたが次にこの店に来る可能性は何%ですか?」
というアンケートをとるようにしたのです。
これを実際にやってみると、非常に面白いことがわかりました。次に来る可能性を85%以上と答えた人は7割くらいの再来店率でした。逆に85%を切った途端、再来店率がガクっと落ちるのです。
それがわかれば簡単。次に来る可能性を85%以上にするには何をすればいいのか?というアイデアを考えるだけです。
・お客さんに名前を聞きその名前を呼ぶ
・次回の再来店カードを渡す
・2回目以降の人しか食べられないメニューを用意する
などなど店長やスタッフから様々なアイデアが出ました。
そして、ひとつひとつ実行していったところ、最も高い確率で85%を超える施策を発見しました。
それがなんと!
「私に会いに次、来てくれますよね?」
と言うだったわけです。
これって施策じゃなくて、単なるコミュニケーションじゃないの?という感じですが数字で出ているものですから否定しようがありません。もちろん他の施策が必要ないというわけではないですが、この一見しょーもない一言を入れることが85%を超えるために最も重要だったわけです。
そして、この一言を入れることを全店で義務付けるようになると、リピート率は2倍以上になりました。
さて、いかがでしょうか?
ここで重要なことは、どのような施策でリピート率があがったか、ではありません。接客のレベルを「あなたが次にこの店に来る可能性は何%ですか?」というアンケートを使って数値化したことです。
そのおかげで85%を超えるとリピート率が上がることが発見できたわけです。そして、そのためにいくつものアイデアが出てきました。そればかりでなく、そのアイデアの中でどれが効果があるのか?ということを発見することができました。(しかも、普通ならくだらないと切って捨てられそうなアイデアを、です。)
「接客のレベルをあげる」
と言ってもどのようにあげるのか明確ではありません。いくら印象で「良くなった」と感じられても、それ以上には改善のしようがありません。
計測できないものでも無理やりでも計測できる数字に直す。それをするからこそ、改善ができる。だから、売上、利益があがるわけです。
あなたが何かに取り組むなら…
必ず数値で計測しましょう。
追伸
もちろんどの数値を指標にするかは、考える必要があります。全く売上や利益や客数やリピート率など欲しい結果と因果関係がない場合もありますから。
でも、間違っている数値を指標にしても大丈夫。実際に運用してみて、「この数値は関係ないんだな」と判断しできた段階で新たな指標を探せばいいだけです。
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