From:ダン・ケネディ
前回まで、成功を収めた人々が実践している事について説明してきました。今回は、彼らの成功における大変重要な2つのキー要素をお伝えしたいと思います。
はじめに、私の好きなキー要素からお話しましょう。
1つ目のキー要素
それは、「コントロールする」ということです。
大きな成功を収めている人というのは、新しいテクノロジーを融合し、それをコントロールできる状況に置くことによって、より良い仕事をしています。
しかし、今日、多くのビジネス、多くの人々がテクノロジーという罠にはまり、テクノロジーによって支配されてしまっています。
このような状態を好まないので、私達は、アンチコンピューター(反コンピューター)論者などと、よく言われてしまうわけです。
私がコンピューターを嫌う本当の理由
しかし、私がコンピューターを嫌う本当の理由は、実はコンピューターに対し「感情を支配する」ということができないからなのです。
例えばですが、私が社員や家族を脅かそうと思えば、数分もあれば彼らを完全に脅かすことができるでしょう。
しかし、機械というのは、ただそこに居座って点滅しているだけで、私がどんなに脅かそうとしても何の反応も示しません。だから、私はどうも好きになれないのです。
それにしても、私達は、テクノロジーが私達を支配しているのか、あるいは私達がテクノロジーを支配しているのかということに、慎重かつ敏感になっています。
最近気づいたことなのですが、人はコンピューターを購入すると、当初の目的以上に使うようになっています。購入してみると期待していた以上にいろいろ使えることが分かったからでしょう。
一方、私はと言えば、ゼロックスの社員が私のオフィスに来て、「あなたは、この製品の機能を使いこなしてはいないようですね。」と度々言うので、「分かっています、分かっています。でも、まだその機能を使いこなすだけの準備ができてなくてね。」と答えています。
機能を全て使いこなそうとすると、何が起こっているのかさえコントロールできなくなってしまうのです。機能そのものに依存してしまい、何がなんだか分からなくなってしまうのです。
テクノロジーを使いこなさなければならない理由
しかし、成功者は「テクノロジーを使いこなさなければならない」という事実に真剣に取り組んでいます。
フェデラル・エクスプレスについてあなたにお話しましたが、あのシステムというのは高度なテクノロジーなくしては存在しなかったでしょう。
彼らの成功の一因には、貨物を追跡管理するテクノロジーがあります。このテクノロジーにより、
彼ら独自のシステムを駆使して、膨大な数の荷物から特定の荷物がどこにあるのかを短時間で探し出すことができるのです。
私はあまりコンピューターの知識がなく、以前は全くのコンピューター音痴でした。きっと読者のみなさんの中にも、コンピューターが得意ではなかったり、テクノロジー音痴である方もいることでしょう。
しかし、それを言い訳にしてコンピューターに関わらずに済む時代はもう終わりました。
あなたは、流れに乗り遅れないために、これらを使いこなさなければなりません。しかも、コントロールされるのではなく、コントロールする側でなければなりません。
成功した人々や成功した会社というのは、それらを駆使することができているのです。
2つ目のキー要素
続いて、2つ目の要素についてお話ししましょう。それは、成功者は「常に組織力を高めている」ということです。労働者、時間、お金、エネルギーの優れた管理者なのです。
今日では、組織力がより重要な位置を占めています。以下にその理由を挙げていきましょう。
まず、今日ビジネスを行うには、コストが掛かります。コストは、従来に比べかなりかさむようになっており、これからも上昇していくでしょう。手紙の郵送費用、セールスのための電話の費用、パンフレットを作る費用、人件費など、どれも高くなっています。
管理職に携わる人や私達のような起業家は、自分の会社を作り運営していくために、人を雇い、使いこなしていかなくてはいけないのです。
成功者が組織力を高めている理由
ドミノ・ピザをご存知ですね。その創業者トム・モナハンが、かつて私に言ったことがあります。「3,000店舗どころか、9,000店舗を持つことも可能なのですが、それを妨げている唯一の問題は、ピザを配達してくれる人がいないということです。」そのため、ある地域ではピザを配達してくれる人に報奨金まで支払うことになりました。
市場でビジネスを展開するのに必要な経費を見てみてください。資源、労働者、時間、お金を組織的に運用することが、過去に比べてどれだけ大切になってきているかが、分かっていただけるでしょう。
もう、無駄遣いはできないのです。また、スランプに陥る暇もありません。無駄を出せば生き残っていけないのです。利益率などはもうなくなってきているのです。
これが1つ目の理由です。
成功者が組織力を高めているもうひとつの理由
もうひとつ、理由があります。それは、高い組織力が人々をやる気にさせるという役割を担っているということです。
自分自身や周囲の人をやる気にさせる、あるいは、重要でない仕事をする人から、重要な部署を任されている従業員まで、組織のあらゆる人たちをやる気にさせるということが、かつてなく難しくなってきています。これはなぜでしょうか?
それは、見せかけだけであたかもやっているかのようにごまかすことが、いとも簡単にできる世の中だからです。
今世紀の偉大な産業、ビジネス社会が作られた初期の頃の人々の心理と比較してみましょう。その頃に働いていた人々の心理とはどういうものだったでしょう?
その頃の人々には、何が何でも私は良い仕事をするのだといった倫理観が存在していました。仕事を失うということは弱者や性格の乏しさにつながるという罪悪感が存在していました。1つの仕事に留まる、あるいは1つの仕事を同じ会社で一生続けていくということが当然だといった心理が働いていました。これが当時のアメリカに存在する労働観でした。
しかし、今日の市場ではそのような心理は存在していません。
成功者には管理能力が要求される
これらの理由から、時間を有効に使わなければならないことが分かってくるでしょう。
リーダーシップを必要とされる地位に昇格する場合は、時間の使い方に対する要求はさらに高くなります。あなたは、成功したければ自分の時間をより有効に使わなくてはならないのです。
デスクの上が、まるでごみ箱のように汚く散らかっていて注意される方もいるでしょう。「きれいに片付いた机ときれいなオフィスは病気の前兆だ」と面白がって言われ、きれいに片づける風潮は笑われたりします。
しかし、大成功しているビジネス・リーダーたちに、管理ができない人はほとんどいません。
なぜかというと、時間の使い方に対する要求が高いので、無駄を省くことが必要不可欠だからです。それが管理に対する意識を研ぎ澄ますことに繋がるのです。
次回は、成功するために必要な重要な要素について説明したいと思います。
ダン・ケネディ
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