From:北岡秀紀
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先日、開催したセミナーでのこと。スタッフから遅れて30分ほどして会場に到着したところ、会場の前に椅子を置いて座って待っている受講生の方がいました。開催時間まで1時間以上あるにも関わらず、です。
彼はスタッフが入るよりも先に会場の前で待っていたとのこと。準備があるので、さすがに中に入れることはできません。なので、近所のカフェを案内したりしても「待っている」と言ったので、椅子を出した、とことでした。
セミナーが終わったあと、別の受講生から聞いたところによると、彼は「せっかく早く行ったのに中に入れてくれなかった…」と不満を言っていたそうです。
いろいろ調べてみると、あるセミナー講師が「講師と仲良くなる方法」みたいなことを語っているらしく…その中身がまさにスタッフよりも早く会場に行く、という方法。そうすれば、スタッフも同情してくれて中に入れてくれる、そして、講師とも仲良くなれる、と言っていたそうなのです。実際、彼はそれで業界の大物の方とセミナーをできるようになったらしいのです。
彼はそれを真似したのでした。
しかし、それは夜討ち朝駆けを繰り返して大物の社長を落とした!と語る証券会社の営業マンと同じ話で、そこに再現性はありません。たまたまうまくいっただけなのに、伝説のように語り継がれます。語る側もアドレナリンが出て気持ちいいものです。
そして、いつの間にか夜討ち朝駆けをやることが成功のノウハウだと語られるようになるわけです。
再現性はあるのか?
つまり、ノウハウではなく武勇伝では違う、ということです。武勇伝とは一部のネジが抜けた人がたまたまうまくいった方法論であり、再現性はありません。
はっきり言って、セミナーの運営者側からすれば、そんなに早く並ばれても迷惑なだけです。かなりタイトなスケジュールの中、準備していることが多く、そこに加えて並んでいる人のことも見ておく必要があるわけですから。
夜討ち朝駆けされる社長だって、同じように迷惑です。
「迷惑だ」という当たり前の感覚も持てない人間と取引したいと思う人間ってどんな人なんでしょうか?普通はいないはずです。
それでも取引できているのは、迷惑以上の人間的魅力を持っている、いわゆる天才です。
にわかコンサルタントが増えてきて、個人的な武勇伝をノウハウとして語る人が増えています。でも、武勇伝とノウハウは違います。
学ぶときはぜひ気をつけてください。
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