From:北岡秀紀
From:北岡秀紀
ウチの近所に和食の店があります。カウンターだけのカジュアルな店です。 結構美味しくて流行っている店ですが、席数も少ないので利益には限界があります。 しかも、週3回くらいしか営業していません。
あるとき、この店のオーナー兼料理長が取っている給料を聞いて、驚きました。席数と回転数から私が想定していた給料の倍を取っていたからです。(個人事業主ですから、給料=利益と考えてください。)
理由が知りたくて根掘り葉掘り聞いたところ、その理由がわかりました。
実は、店を営業していない日に日本酒教室や料理教室をしていたのです。普段の営業日のように規律正しく座らせる必要もなく、倉庫から椅子を出し席数を増やすことができています。しかも、食事と違って原価がかかりませんから、非常に粗利率が高いです。 その結果、このお店の限界を超えた利益、給料を得ることができているのです。
この話を聞いていかがでしょうか。
もしあなたが飲食店をしていたとすれば、「じゃ、私も日本酒教室、料理教室をしよう」と考えたかもしれません。もしあなたが飲食店を経営していなければ「いや、飲食店じゃないから関係ないな」と考えたかもしれません。 もしそう考えたとしたら・・・ 両耳の間にあるものが、かなりスカスカになっているようです。
それをやる理由
このオーナー兼料理長に「なぜ日本酒教室、料理教室をやっているのか?」と聞いたところ、「日本酒の楽しさを伝えたい」という答えでした。
ワインは価格も安くなって多くの人が飲むようになった。しかも、オシャレなイメージもある。そして、多くの人に受け入れられて今では和食の店にもワインが置いていたりする。
一方、日本酒もワインに負けないくらい美味しいのに、まだハードルが高い。自宅で楽しんだりしている人もワインと比べれば非常に少ないし、イタリアンやフレンチで日本酒が置いていたりすることはない。だから日本酒の楽しさや良さをもっと伝えることで、気軽に飲んでもらえるようにしたい、ということです。 (日本酒がイタリアンやフレンチに合うのか?という素朴な疑問を感じたのですが、彼曰く実はかなり合うそうです。私はお酒が飲めないので検証はできませんが。。。)
はじまりは・・・?
ここで気付いていただきたいのは、彼が和食の店をやっているのも、日本酒教室、料理教室をしているのも全て「日本酒の楽しさを伝えたい」というところから始まっています。 和食の店が、教室をやっているのとは違う、ということです。 彼の日本酒教室、和食教室に参加してみると、日本酒が中心。 楽しそうに日本酒やそれに合う料理について語っています。 ホントに好きで仕方がないんだな、ということが伝わってきます。
おそらく和食店が売上を増やすために教室をやったとしても、あんな楽しそうになりません。
実際、ある料理屋さんで料理教室をしようとしたら「オレは料理を作る人間で教える人間じゃないっ!」と怒られたという、オーナーの話を聞いたことがあります。
セルフイメージがすべてを変える
この違いは、セルフイメージに起因します。 自己啓発では一般的な概念ですが、ビジネスにもセルフイメージがあります。
自分のことを和食の料理人と思うのか、日本酒の楽しさを伝える人と思うのか。 その違いによって、やれること、やれる範囲が大きく違うことが分かります。
前者であれば、料理を作るだけ。 後者であれば、料理も作るし、教室もできる。まだまだやれることがあることが分かります。しかも、楽しく仕事ができます。
あなたのビジネスは何ですか? お客さんに○○を売るビジネス? それとも、お客さんに何か素敵なものを手に入れてもらうビジネスでしょうか?
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