From:北岡秀紀
From:北岡秀紀
沖縄でマスターマインドに参加してきました。このマスターマインドに参加して色々感じるところはあるのですが、特に今回感じたのは「お金を稼ぐことは簡単である」ということです。
もちろん金額には差はあれど、数千万円、数億円程度ならちょっとやれば稼げてしまいます。
それくらい「稼げる話」はゴロゴロ転がっています。
今回でも、聞いていて、「うわ〜これは稼げるなぁ」と思うような話が5つか6つありました。
儲かっていない社長からすれば信じられないかもしれませんが、一定以上の人が集まれば、まァ、普通の話です。
本当に「儲け話」に乗るのか
ただ、重要なのはここからです。
確かにやれば稼げるのは、まず間違いないでしょう。
それができるリソースも揃っています。
でも、本当にその「稼げる話」をやるのが正しいのか、ということです。
私を含め社長は新しいもの好きが多いです。
「稼げる話」があればとても魅力的に感じます。
どうしてもそのような誘惑に駆られてしまいます。
実際、私も乗っかりたいと思った話もありました。
しかし、グッとそれを飲み込みました。
なぜなら、その「稼げる話」には乗るべきではないということを理解しているからです。
そのひとつめの理由は、小さな会社のリソースは限られている、ということです。
お金や人材が限りなくある、という会社はありません。
当然、どこかに振り向けると、それ以外の配分が薄くなることは説明するまでもありません。
ということは小さくてお金や人材が限られている会社ほど、1つのところに集中しなければ勝てる戦いも勝てません。
こういう「儲かる話」を聞いたときは、かかる手間の見積もりを甘くみがちです。これくらいならかじってみても大丈夫だろう、と。
しかし、初めてのことに取り組むわけですから、まず間違いなく思った通り進むことはありません。
どんどん本業のリソースを削られることになってしまいます。
特にリソースで最も重要なのが社長の時間。複数のビジネスを抱えることによって、あちこちに社長の集中力が分散します。マルチタスクが最悪なのは、脳科学でも実証されているところです。
本当の意味での差別化とは
ふたつめの理由が、集中することが本当の意味での差別化の源泉に他ならないから、です。
マーケティングにおいて、差別化の重要性が必ず語られます。USP、ウリを作ること、もしくはポジショニングと言葉は変わりますが、私も含め、全てのマーケッター、コンサルタントがその重要性を語ります。
しかし、マーケティングのテクニックとして作った差別化なんて、カンタンに誰かに真似をされてしまいます。
テクニックでちょいちょいと考えて作ったものであるわけですから、理屈上、競合も真似するのは難しくないことは、少し考えればわかります。
ですから、簡単にコピーできない差別化ポイントを必死に考えるわけですが、それらは長く継続し続けていることそのものが非常に重要な要素となります。
つまり、長くひとつのポジションで継続し、改善し続けることで、商品・サービスや社内オペレーションやお客さんとの関係性がどんどん磨き上げられていくわけです。
時間の積み重ねは容易なことではひっくり返りません。
やらないことを決める
戦略の本質とは、「やらないことを決める」ことに他なりません。
つまり、新しいことをはじめようとするのではなく、どんどんやめていくことです。
そして、重要なことにどんどん社長の時間をはじめとしたリソースを集中していくことことです。
前述した通り、社長は基本的に、どんどん拡張していくクセがあります。
意識して、やらないことを決め切っていかなければ、「あれもやりたいこれもやりたい」でひとつもプロジェクトが終わらないということになります。
結局、稼ぎ続けたいなら今のポジションをどんどん磨き上げ、絞っていくことしかない、という社長にとっては面白くも何ともない結論に至ります。
「面白く働く」と「儲け続ける」
この矛盾をどう両立させるのか?
社長にとっては、これが一番難しい課題なのかもしれませんね。
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