From:北岡秀紀
FROM:北岡秀紀
「走りながら考えろ」起業前の人やアーリーステージの起業家に向けて、よく言われるアドバイスです。
・・・が、この言葉を間に受けて、走りながら考えたら確実にダメになります。なぜなら走りながら考えるなんて不可能だからです。
「『忙しい』という字は『心を亡くす』と書く」と言う方がいますが、実際、毎日、忙しく働いているときに、新しいアイデアを思いつく、なんてことはないはずです。アイデアが出てくるのは、ほっと一息した瞬間、シャワーを浴びているとき、など気が張っていないときだと思います。だから、改めて考えれば、走りながら考えるなんて、ありえないことがわかると思います。
でも、「走りながら考える」という美徳に洗脳されている人たちは、それをやってしまっています。そして、面白いことにうまくいかない人というのは、「走りながら考える」ことをやっています。
たとえば、コピーが書けない人。コピーのアイデアを考えながら、コピーの構成を考えながら、「この言い回しで間違ってないかな?」と考えながら、コピーを書こうとします。だから、結局、書けていません。
たとえば、毎日忙しい人。今日やること、大事なこと、プロジェクトのこと・・・色々考えながら、毎日のタスクをこなしています。
考える、というスキルを磨く
確かに行動は重要です。行動がなければ、結果は出ません。しかし、間違えた方向で行動してしまったら、その時間はムダになります
行動の前に、何をやるのか、それは目的にかなっているのか考えることが重要です。
もちろん考えても、間違った行動をとってしまうことがあります。それはOKです。なぜなら考えるというプロセスを経ていますから、間違った理由を自然と考えることになり、「考える」というスキルが磨かれることになるからです。考える精度が高まり間違いが減ることになります。
ずっと脊髄反射で行動していたら、脊髄反射がだけが強くなって、人間ではなく動物になることが確定です。
勘がものすごく働く人は確かにいます。それは、常人には計り知れない天才。もしくは考えて成功する、逆に失敗するというプロセスを何度も経て、考えるという行動を瞬間でできるようにやれるようになっている人です。
「考える」をタスクにする
そんなことはわかっているのに、どうしても「走りながら考える」ことをやってしまうのはなぜでしょうか?
これが起こる理由は、「『考える』ときに手を動かしていない」からです。考えるときに手を動かしてないので、何かやっている感が薄くなります。その結果、どうしても何か別のことをやってしまのです。で、どちらも中途半端になる、と。
その処方箋はシンプルで、「考える」というのもひとつのタスクとするだけです。例えば、コピーを書くなら、ビッグアイデアを考える、構成を考える、というのをタスクにします。例えば、毎日毎日忙しいなら、どの仕事を捨てるか考える、どの仕事を人に任せるか考える、というタスクを作ります。
そして、通常のタスクと同様、やるべき時間になったら、「考える」というタスクに集中します。手にペンを持って、紙に思った事を何でも書きます。(ちなみに、私の場合、ホワイトボードでやります。書ける面積が広くなり、しかも、立ちながらになることで、アイデアがより出てくる感じがするからです。)これだけで「考える」が行動になります。
たったこれだけで脊髄反射の動物を卒業して、人間になることができます。間違った方向に進むことが減り、無駄な仕事に煩わされることがなくなり、アイデア体質になってくるはずです。
追伸
ちなみに。。。そもそも「走りながら考えろ」というのは、グズグズ悩んでいても仕方ないから、とりあえず動いたら?というのが本来の意図です。
つまり、ここでの「考える」は「悩む」ことと同義です走れば悩むことなんてできないから走れ、という意味です。
それがいつの間にか文字通り「考える」の意味で解釈され、人間じゃない経営者を増やしています。言葉を使ってビジネスをしている者として、言葉は出来る限り正確に使わないと、と思います。
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