From:北岡秀紀
FROM:北岡秀紀
「北岡さんは1日4時間しか働いていない、とのこと。私は仕事が大好きなんで、たくさん働いていたいと思っています。そういう考えはダメなんですか?」という質問を、とあるセミナーの懇親会でメルマガの読者さんから頂きました。
最近、いろいろなところで、「午前中の4時間しか働いていない」と言っているせいで、北岡は「働かないヤツがエラい」という主張をしている、と思われているようです。しっかりと読んでいただければわかりますが、私は働く時間が短い社長の方が上だ、という価値観は一切持ち合わせていません。
むしろ起業当初はめちゃくちゃ働くべきですし、私自身、今でも1週間、ご飯と睡眠と仕事だけ、という時が3ヶ月に1度ほどあります。
私が問題にしているのは、「社長が働かない」という選択肢を持ち合わせているかどうか、なのです。
働くのが好き?単なる仕事中毒?
「働くのが大好き」という社長は相当多いです。でも、そう言っている社長の会社の9割は、社長が動かないと売上があがらないという状態にあります。つまり、社長が倒れたら会社が終わりという状態にあります。
そりゃそんな状態なら、当然、社長は1日10何時間も働くに決まっています。その言い訳として「仕事が好きだから」と言いはじめます。そして、繰り返し「仕事が好きだから」と言い訳するうちに、「仕事が好きだから」という自己催眠にかかっているというのが現実です。それは好きだから働いているのでは、ありません。
「オレはアル中じゃねぇ!好きだから飲んでるんだ!!」というアルコール中毒患者と全く同じ構造であることがわかります。
本当に仕事が好きな人というのは、仕事をしなくてもいい状態になったとしても、仕事をやりたい、と思える人のことです。やらざるを得ないからやっている人とは、根本的に全く違うのです。
アルコール中毒は客観的(=医学的)に判定が可能です。しかし、仕事中毒か単なる仕事好きかということを判断するのは、相当困難です。何か血液中の数値が変わったりするというものではないからです。
唯一、判定する方法は、自分がいなくても売上があがる仕組みが完成するなど、仕事をしなくていい状態にまで持って行くことです。
そんな状態になっても働きたいと思うなら、それは仕事好きです。それで、やっぱり働きたくないと思うなら、単なる仕事中毒だったということになります。
こんな恐怖はないですか?
仕事中毒はアルコール中毒とは違うのだから、別にいいんじゃないか?という意見もあると思います。確かに、仕事中毒の状態が良いと思うのであれば、それはそれでいいと思います。それは価値観ですから、私がどうこういう権利はありません。
でも、社長が抜けたらビジネスが終わる、という状態はビジネスとしては不健全だと私は思います。
特に人はいつ何が起こるか分かりません。それは社長も例外ではありません。社長が病気になって動けなくなる。おかげで会社もダメになって経済的にもボロボロになる・・・そんな可能性はゼロではありません。
少なくとも人は必ず病気になって死ぬ存在ですから、非常に高い可能性で動けなくなるということ、はまず間違いありません。そんな時にビジネスもボロボロになってしまうというのは、私にとって大きな恐怖です。あなたはどうでしょうか?
いや、オレが倒れるのは死ぬときだから別にいい、というのも価値観です。それはそれでいいと思います。
なんで起業したの?
ただし、ひとつ付け加えるなら、起業家の多くが自由を求めて、のはずです。経済的な自由はもちろんのこと、通勤電車に乗らないという自由、朝起きる時間を自分で決める自由、上司に指図されない自由・・・などなど。
自分が働かないと会社が回らないという状態は、自分の意志で会社を休むという自由がない、という状態です。それはつまり、自分で働くと決めているつもりで、外部環境によって働かされているのです。自由とは真逆の状態であり、単に上司が外部環境にとって変わっただけにすぎません。
それは違うんじゃないか、というのが経営者としてのあるべき価値観だと思うのですが。。。あなたはどう考えるでしょうか?
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