From:北岡秀紀
FROM:北岡秀紀
先日、セミナーの懇親会に出席しました。私はクライアント以外から普段アドバイスを求められても答えません。
でも、こういう懇親会でアドバイスを求められた場合は、全てお答えします。懇親会というのは、セミナーの場の延長と捉えているからです。むしろ公式の場とは違う、ざっくばらんなアドバイスができることもあり、どんどんお答えします。私だけでなく、ほとんどの講師がそうでしょう。ですから、セミナーだけ出て、懇親会に出ない人の気が知れません。
それはともかく、こういう場でアドバイスをしていると 「この人は成果が出るな」 「コイツは無理だな」 というのがほんのちょっとしたことで分かります。
例えば、一番分かり易いのが、話の聞き方です。「つまり~ということですね。」「要するに~ということですか?」と言う人はまず成果が出ません。
「つまり」 「要するに」 の何が問題なのか?と思うかもしれません。
確かに、コミュニケーションの本なんかを読むと、しっかりと聞いていますよということを示すため、正しく理解できているかを相手に確認するため、 「つまり」 「要するに」 でまとめて相手に確認することを推奨しています。
もちろん誰かから指示を受けた時や営業でこちらの理解が正しいかを確認するときに、 「つまり」 「要するに」 でまとめることは使えます。
しかし、何かを学ぶということに限った場合、「つまり」 「要するに」 と言っている時、学んでいるフリをしているだけで、学べていないと思うべきです。
なぜなら 「つまり」 「要するに」 でまとめるということは、あなた自身の言葉で言い換えている、それはつまり、教えてくれている人のありのままの言葉ではないからです。
「セールス」と「営業」は同じ意味?
例えば、辞書的に言えば、桜とcherryblossomというのは同じ意味です。でも、日本人が「桜」というと、満開の桜の下で花見をしてウキウキ、みたいな感情が伴います。一方で外国人が「cherryblossom」といっても、「あぁ、桜の花ね」というくらいのもののはずです。つまり、同じような言葉であっても、言外の意味というかニュアンスみたいなものをまとい、ちょっとした意味の差を生み出します。
先生がセミナー内でセールスという言葉を使っていたとしましょう。それをあなたが 「営業」 という言葉に言い直したら・・・確かに、一般的に言えば、セールスと営業というのは同じ意味ですから、間違いとは言えないでしょう。
しかし、先生は先生なのだから、セールスという言葉も、営業という言葉も知っています。そして、一般的には同じ意味であるということは分かっています。それでも敢えてセールスという言葉を使っているということは、何らかの意味があるはずです。
そこであなたがあなたの理解の範囲で 「営業」 と言い直す事で、先生がセールスと言っている意味を無視するということになります。
1%しか理解していない?
たったひとつの単語で意味の違いが生じるのですから、何分も何十分も、もしかすると何時間も言葉を尽くして話してくれたことだとどうでしょうか。もっともっと「誤訳」の余地が出てくることになります。
それを 「つまり」 「要するに」 という言葉でまとめてしまっているということは、それだけの長い内容を自分の理解の範囲だけで理解しようとしているということです。教える側が100言ったことを1%とか2%しか理解していなかったとしても、私は驚きません。実際、そういう人は非常に多いです。
そりゃ当然、結果は出ません。
理解しようとする姿勢が重要
もちろん、教える側も聞き手が理解できるように言葉を尽くします。そこらへんの素人先生ならともかく、本当のプロであれば間違いなく、それを意識して話をします。とはいえ、教える側と聞く側では違う人生を歩んでいるわけですから、100%理解してもらえることはあり得ません。
ですから、習ったことを成果につなげるには、教える側のスキルもそうですが、聞き手の理解しようとする態度も重要な要素になります。少なくとも 「つまり」 「要するに」 を使っているうちは、成果なんて出るわけないのです。
もし実感が湧かなければ・・・名著と一般的に呼ばれる本のアマゾンレビューを見てください。そこで低い得点をつけている人の文章を読んでみてください。「自分の理解の範囲でしか語らない」 人間がどれくらいアホなのかがよく分かるはずです。
人である限り、自分の理解の範囲で物事を理解しようとしてしまうことは仕方がありません。エラそうに言っている私だって、そういうところはあります。
しかし、出来る限り 「ありのまま」 理解しようとすることは、誰でもできるはずです。そして、そういう経営者が例外なくビジネスでも成功しています。
もし学びが成果につながっていないなら・・・ノウハウが悪いのではなく、行動しなかったからではなく、正しく聞けていないだけかもしれません。
自分の 「聞き方」。ぜひ振り返ってみてください。
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