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起業するアイディア。

2013.2.19 | ,
  •  

From:寺本隆裕

先日、東京でとある人と食事をしました。

彼とは以前、共通の知人を通じて知り合ったのですが、もうすぐ会社をやめて起業するというので、どんな風に売り出していけばいいか相談したい、というのです。

どうせ会うなら、、、ということで共通の知人2名(2人ともマーケティングコンサルタント)を誘い、合計4名の食事会です。

彼が持っていた起業のアイディアやネタはそこそこ「いいもの」だったし、彼自身もとても真面目で仕事熱心な人のため、僕もコンサルタントの友人達も、彼の起業成功を応援していました。しかし彼が売ろうとしている商品には、ダイレクトマーケティングの観点から見て重大な問題があったのです。その会で僕はその点を話しました。

「その商品、そのままだと売りにくいと思いますよ」

そうです。その商品は「いいもの」であることには違いないのですが、競合が強すぎるという問題があったのです。ライバルは何十年もその分野で世界的なトップに君臨しており、しかもその1つ以外にも超強いライバルがいくつもあるのです。

これは大変です。

直接戦って勝てる見込みはありませんし、たとえ売れたとしても、広告費が莫大にかかるかあるいは利益がとても少なくなるか、どっちかだということが容易に想像できたのです。

こんなときはどうすればいいか?

ここで提案したアイディアは2つ。

・ひとつめ
新しい別のジャンルを作って、そこでナンバーワンのポジションを取る事

・ふたつめ
(その「売りたい」商品にこだわらず)参入できるニッチマーケットを探し、彼らが欲しがっている別の売り易い商品を開発(or 調達)する事。その商品を売って顧客との関係を築く事。そしてもし、その延長線上に元々の「売りたい」商品がバックエンドになり得るのであれば、それを売ること。

彼の場合、商品の販売権を持ってはいるもののまだほとんど動き出してはいないので、今ならある程度自由に動けるはず。なので、上記アイディアの後者の方を掘り下げていく事に。つまり「この商品をどうやって売ろうか」という視点から「どのマーケットに参入するか」という、根本的な部分に発想を一旦変える事にしました。

「○○さんって、今****というお仕事をされてますよね?」
「はい。」
「だったら****のマーケットを狙うのが簡単じゃないですか?」
「なるほど。私の経験も活かせますしね。」
「彼らは****という問題抱えているじゃないですか?しかもかなりの痛みを伴っていますよ。」
「そうですよね。私自身もそうですもん。」
「ですよね。だからそれを解決するようなビジネスをやれば成功しやすいんじゃないですか?」
「確かに!」
「実はこのアイディア僕も以前やろうと思ってマーケットのリサーチまでやったんですが、時間とリソースがなくてできなかったんです。」

彼を含め、その場にいた誰もがそのアイディアに興奮。

実際、リサーチ結果からしてみても、そこそこ勝算はありそうなビジネスです。しかも彼のキャリアは僕よりもそのマーケットに近く、より向いていました。

「つながったーーー!!」

しかも、その新しいビジネスのバックエンドに、彼の今持っている商品がピッタリはまるような案(ポジション)も見つかり、彼の起業プランはかなりいいものになりました。さらにラッキーな事に、「フロントエンド」になりうる商品も、その会の参加者から提供してもらえることになったのです。つまり、、、

・ターゲットとするニッチ・マーケットも決まった。
・強いパッションと痛みもある。
・競合も弱い。
・まずどんな商品を売ってリストを集めるのかも決まった。
・その商品の調達先も見つかった。
・集まったリストに何を得るのかもある程度決まった。
・そのためにやるべき具体的なアクションも洗い出せる。

そして何より、、、

・彼にはそれを実行できるだけのスキルも経験も環境もそろっている。
(彼は相当な勉強家でもあるため、ダイレクトマーケティング等に関する知識も十分にあるのです)

いやー、よかったー。
そこにいる人たちの協力もあり、彼のプランはかなり成功率の高そうなものが出来上がりました。

しかし後日、
一通のメールが届く。。。

彼からもらったメールには、こんなことが書かれていました。

============================================================
「あれからちょっと考えたのですが、
***という部分がまだあまりしっくり来ないのです。

***に似た△△△△だったらまだましかな?と思ったりしますがどう思われますか?

また、実際にこの商品を売るにあたり、
事前にどんなことをしておいた方がいいでしょうか。

私が知っている****や△△△△のうち、どれをやっておけばいいですか?
もしくは複数やっておいたほうがいいでしょうか?」
============================================================

おーーっと。ガッカリ、、、

オーバーシンキング状態です。

アイディアは何となく決まった。でもそのアイディアの一部にグレーな部分がある。だから、前に進めない、、、という状態です。

しかしこれは、結構勉強している人や頭のいい人。長年企業に勤めていた人によくあるパターンです。よく言われる例えが、「目的地までの信号が全部青になるまで家から出られない」というもの。やる前に心配事を全部つぶしておかないと一歩目が踏み出せないのです。確かに実際の仕事の中にはそのようなことが求められるものもあるでしょう。例えば外科手術などで、「とりあえず切ってみましょう」みたいなのはきっとないでしょうから。

ですが、「ビジネス」「起業」においてこの考え方は間違っています。

かくいう僕も以前はこの志向パターンを持っていた人間なので、気持ちはよーーーくわかります。だから僕は人知れず、かなり訓練して(ダンケネディのマインドセットを勉強しまくるなど)自分の志向パターンを変えてきました。そして志向パターンを変えた僕は、この彼(以前の僕の志向パターンの持ち主)に、一言、アドバイスのメールを返しました。

「いいから黙って、さっさと売れ!!」

企画がヒットするかどうか。コピーが売れるかどうか。そのビジネスが成功するかどうか。その商品で売上を上げることができるかどうか。。。。そんなものは、やってみる前に100%の確証を得る事は不可能です。もちろん、基本的なポイントを外していれば失敗の可能性は高いかもしれません。しかし、それはあくまで「確率」にしか過ぎないのです。

教材を買ったり経験者に相談する事で、その確率を「高める」事はできます。僕らが販売している商品やセミナーなども、その「確率アップ」につながるようなものなのです。しかし、、、

やってみなければ、成功確率は0%。

長い時間考えたからといってヒットする確率が上がるわけでもなければ、思いつきのアイディアだからといって確実に失敗するわけでもありません。(特に今回は、僕を含めてその分野の経験者3人の直感が「やってみれば?」のGOサインなのであれば、「確率」は比較的高い方です)

それに、、、もし失敗したとしても、たくさんの収穫があるはずです。

「その分野の成功についての最も大切な事は、
実際にやってみるまでは絶対にわからない」

というのは、あるスーパー起業家のアドバイス。実際に行動して、小さな階段を一歩でものぼる事ができれば、見える視点が高くなり、景色が広がり、今まで見えなかった色んなものが見えるようになるのです。それなら、モヤモヤと悩んでいる時間がもったいない。

早く失敗経験をする方が、ノウハウを集めたり相談しまくって「成功の保証」を探すより、よっぽど次の成功確率を上げるのに役に立つのです。

このメールを受け取った彼は、吹っ切れた様子の返信を送ってくれました。「とてもスッキリしました。売ります^^」とのこと。彼はきっと、これからマーケットに大きなインパクトを与えてくれるに違いないでしょう。

「いいから黙って、さっさと売れ!!」

起業家精神あふれる、僕の大好きなコピーライターの言葉です。

PS

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寺本 隆裕

ダイレクト出版取締役。セールスライター兼マーケター。クライアントのためにセールスライティングを請け負う場合、プロジェクト1件で、一流企業のエリートサラリーマンの年収を軽く超える額をチャージ。さらにそこから売上からのロイヤリティがかかる。これほど日本で最高クラスの料金設定にもかかわらず「書いてください」という人が後を絶たない。著書には『ウェブセールスライティング習得ハンドブック』『ダン・ケネディから学ぶ「稼ぐ社長」の作り方』(集英社)がある。

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