From:北岡秀紀
FROM:北岡秀紀
先日、ある勉強会に呼ばれて講義をしてきました。アーリーステージの起業家が集まり、講師を招いて勉強したり、お互いのビジネスについてアドバイスし合ったりするという会です。
ひと通り講義が終わった後の食事会で、隣に座っていた方に「私が売上を伸ばすために一番、大切なことは何ですか?」と聞かれたので、
「ザコがいくら集まってもザコですから、こんな仲良しクラブから早く出ることですね。」
と言ったら、この勉強会から出入り禁止をくらいました(苦笑)
もともと出入りしていなかったし、出入りしたいとも思っていないので、全然いいのですが。
意味のないジョイントベンチャー
意識の高い人たちが集まることはビジネスの成功に非常に効果的です。
例えば、アライアンスを組んだりジョイントベンチャーするなどして業績アップも見込めます。
私を含め多くのコンサルタントが、誰かと組むことを薦めています。
でも、誰とでも組めばいいのかというとそんなことはなく、それぞれの長所を組み合わせることで相乗効果を発揮できる場合に限ります。
一番多いパターンが「良い商品があるけど売り先がないという会社」と「顧客リストやお客さんとの関係性などで売り先がある会社」というパターンです。
長所がかみ合う事で、うまくいきます。
しかし、それを無視して弱者連合を組んでしまうことが非常に多い。
とりあえず近くにいる人と組んで何かやろう、と考えてしまうのです。
この勉強会がまさにそうです。
アーリーステージで全員が売る力を持っていない。
商品力だけはある(と信じているに過ぎないのですが)。
商品力の会社と商品力の会社が組んでも何も生まれるはずがありません。
もっともっと素晴らしい商品ができる??
素晴らしい商品があっても、お客に知れなければ、存在していないのと同じことです。
だからこそ、
「ザコがいくら集まってもザコです。こんな仲良しクラブから早く出ることですね。」
と答えたわけです。
「意識が高い」という幻想
ジョイントベンチャーができないにしても、意識の高いメンバーが集まるのだから、そこで互いに刺激し合うことを良いことなんじゃないか?と思われたかもしれません。
実際、そういう反論もありました。
確かに本当に意識が高いメンバーが集まれば、現在の状態はどうあれプラスになります。
こういう仲間をマスターマインドという呼び方をして、それを推奨している人も非常に多いです。
でも、この手の定例の勉強会のメンバーというのは、マスターマインドというより、ほとんどが馴れ合いの会になりがちです。
例えば、よく自己啓発系のセミナーなんかに参加すると、「わざわざお金を払って、こういうセミナーに来る人は非常に意識が高い人ばかりで刺激をもらえます」と言い合う光景を見ます。
これって他の参加者を褒めているようですが、実は違います。
他人を褒める形式で、私はこんなセミナーに参加する意識の高い人間だと自画自賛しているだけです。
確かにお金を払ってセミナーに来る、勉強会に参加するというのは、非常に「意識」が高いことは間違いありません。
でも、その「意識」というのは「勉強する」という意識であったり、「勉強する意識の高い人の集まるところに行く」という意識です。
学ぶこと、参加することに意義を感じているに過ぎません。
業績をアップする、人生をより質の高いものにすることに意識が向いているわけではありません。
もちろんお題目は売上アップ、人生の質のアップなのですが、その本質は違うのです。
セミナーは遊園地
「自腹でセミナーに来て勉強する人は全体の5%だ。だからセミナーに参加している時点であなたは上位5%だ。」
みたいなことをセミナー講師は言います。
もちろん北岡も言います。
それはリップサービスだってことに気付くべきです。
もちろんセミナー内で話していることは成果の出る方法です。
しかし、それを生かす気がない人、勉強そのものや参加そのものに意識が向いている人にとっては、セミナーは「意識の高い人」が集まる楽しい遊園地に過ぎません。
自分がいる場所が遊園地であることに気付いて、実際にそこから出て、遊園地で学んだ知識を実行しようとした人間だけが業績をあげ、目標を達成していきます。
あなたの業績アップの邪魔をしている最大の理由は、「その遊園地(=「意識」の高い人のコミュニティ)に留まりたい」という自分の無意識である、ということに気付くべきです。
追伸
勉強会後・・・
「私もこのぬるま湯じゃダメだって思ってました。ようやく、ここを去る踏ん切りがつきました。」という声をいただきました。
1人でも、こういう人がいたので、正直に思った事を言って良かった、と思います。
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