From:北岡秀紀
FROM:北岡秀紀
先日、私の発行しているメルマガの読者さんからメールが届きました。
その内容はというと…
「『ザ・レスポンス』の小川忠洋さん記事を読んだのだが、以前、北岡が言っていたことと真逆のことを言っている。どっちが正しいのか?というものでした。」
その小川さんの記事というのが1月28日の「少しの違い」という記事。
(ぜひ読んでください。)
一方、私が以前、言っていたことというのは、
60点を80点にするのと、80点を100点にするのでは、圧倒的に前者が楽。
だから、前者に取り組もう、という話。
(記事が残ってなかったのですが、確かにこういう話をしたことは覚えていますし、今もアチコチで言っています。)
確かに、真逆のこと言ってますね(笑)
じゃあ、どちらかが正しくて、どちらかが間違っているのでしょうか?
答えは、どちらも正しいし、どちらも間違っている、です。
なぜなら、自分の仕事の全てについて、80点から100点を目指すなんていうことはできません。
それができるなら、もちろんそれが一番いいです。
しかし、そんなことは時間的にも物理的にもできません。
じゃあ、全部80点でいいのか、というと、そりゃダメです。
どれでもソツなく出来るというだけで、他と同じ、ですから。
つまり、普段の業務、ルーティンワークは60点70点80点でいい。
しかし、自分の強みや専門分野、自社にとってのウリの部分、大きく成果が変わる部分は、神経質なくらいパーフェクトを目指していきましょう、ということです。
(パーフェクトは存在しないことが前提です、当然ですが。あくまで、「目指して」努力することが重要です。)
実際、小川さんも特定分野に絞ることを前提にしています。
それはこの記事の最後の方を見ればわかることですよね。
矛盾する理屈
ビジネスの勉強をしていると、一見すると矛盾する話がたくさん出てきます。
人に任せろと言う人がいれば、人を雇うと利益が減るという人もいます。
お客さんに満足してもらえる商品・サービスを提供しろという人もいれば、60点くらいでいいからとりあえず商品・サービスを市場に出せという人もいます。
何よりダイレクトマーケティングが重要だという人もいれば、会計で数字をおさえる方が重要だという人もいます。
本当にマトモな人が言っている場合、どちらかが合っていて、どちらかが間違っている、ということはほとんどありません。
(マトモじゃない人がかなり多いから、話はややこしくなるんですが。。。(苦笑))
ここでキマジメな人はどちらが正しいのか???と答えを出そうとします。
でも、ほとんどの場合、前述した小川さんと私の話と同様、どちらも合っているし、間違っているのです。
○○が違うから起こる
では、なぜそんな矛盾が起こるのでしょうか?
それはほとんどの場合、前提が違うことから起こります。
例えば、会社は想いが最も重要だとか、言葉を発するたびに社会貢献とか言う超有名経営者がいます。
その人達は(本人ではないのでわかりませんが、おそらく)本気でそう思っていますし、それは正しいでしょう。
しかし、それは行き着くところまで行っちゃった人のセリフなんです。
小さな会社の経営者がそれを真に受けて、理念倒れで儲かっていないという会社なんて腐る程あります。
それよりも、モテたいとか大きな家に住みたいとか個人的な欲求をエンジンにした方がうまくいきます。
だから、私はいいから「稼ぐ事」に集中しろ、と言っています。
ある程度の収入(多くは月収200万円)を超えると、お金に執着がなくなり、「社会のために」みたいなことに目覚めていきますから。
理念が大切だという有名経営者も、はじめはもっとエゴイスティックな目的で会社を立ち上げたはずです。
でも、会社と自分がビジネスで成功する過程で、違うものに目覚めたはずなのです。
つまり、これは自分のいるステージと著者のいるステージ、という前提が違う、ということですね。
本やメルマガなどにおける意見や考え方やノウハウには、業種や規模や範囲など様々な前提があってこそ成り立つのです。
(ココ先週の私の記事と矛盾している話ですネ(笑))
その前提を無視して、「矛盾している」というあら探しをしても何の意味もありません。
矛盾との付き合い方
そもそも白か黒かハッキリを分かれるものなんて、世の中にはほとんどありません。
経済学の理屈通り経済が動かないのと同様、ビジネスにおいて竹を割ったようにスッパリと答えが出るなんていうことはあり得ません。
だから矛盾することは、たくさん存在するんだ、ということは、まず理解しておくべきです。
そして、矛盾で迷ったときは、その本質は何なのか?前提は何なのか?を考えましょう。
そして、「今、矛盾するどちらを採用するのか?」を決めましょう。
場合によっては、「矛盾した状態で両方を活用する」という選択をすることもあります。
神経質な人、真面目な人には耐えられないかもしれません。
でも、そういうもんだ、という割り切りも大事です。
ビジネスは人の営みですから。
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