From:北岡秀紀
FROM:北岡秀紀
ここまでの記事を読んでいただければわかるかもしれませんが、私はマニュアル信奉者です。
そのマニュアルでも特に、誰もが誤解することなく同じ成果をあげることができるチェックリスト形式が最高だと思っています。
「マニュアル人間」というと、ファーストフードの機械的な対応などを例にあげて、ダメな仕事ぶりの典型とされます。
それは正しくありません。
なぜならマニュアル通りにしか動かないというのは、逆から見れば経営者から求められている最低限のやるべきことをやっている、ということに他なりません。
それはつまり、必要としているパフォーマンスをあげているということです。
もしマニュアル通りやっていて、「給与以上の働きをしていない」と感じているなら、それはマニュアルのほうが悪いのです。
お客の観点から見た場合も、これくらいのサービスが提供されるということが予測可能です。
だから、ファーストフード店は、国内どころか海外でも、それなりに安心して入ることができます。
さらなるサービスを求めマニュアル対応を批判する人も多いですが、それを批判する人はそもそもお客ではないのです。
そこそこの品質を求める人に、そこそこの商品を、そこそこの価格で売るのがファーストフードの使命ですから。
付加サービスを求めるお客を想定してマニュアルは作られていないのです。
では、マニュアルで高いサービスを求められるビジネスを運営するのはムリなのか?というと、そんなことはありません。
それに応じた、マニュアル(もしくはシステム)を作ればいいのです。
(小川忠洋さんの記事『リッツの秘密』を参照してください。)
もちろんその分、導入には相当の努力は必要になります。
なので、多くの中小企業にとってそんな努力をするヒマがあったら、そこそこのマニュアルを使って、成果の出る他のアクションをすべきですが。
マニュアルは非人間的なのか?
ここまで話すと「マニュアルがいいのはわかる。でも、オレ(私)は従業員を機械のように扱いたくない!」という反論をよくいただきます。
私から言わせれば、「従業員のことを第一に考えろ」みたいなマネジメント上のキレイゴトとか社長(マネージャー)の勘のほうがよほど悪です。
それで成果が、あがっていないんですから。
(「私は成果をあげました」と言う方もいらっしゃいますが、そもそもキレイゴトとか勘とかで成果をあげられるほどマネジメントの才能にあふれた方に今回の話を伝えようとは思っていない訳で。)
一方で、マニュアルというのは、(一部の本当にどうしようもない人を除き)どんな人間でも60点70点を取れるようにできるものなのです。
そうでなければ、マニュアルとは言いません。
従業員のモチベーションが下がる大きな理由に、成果があげられないということがあります。
成果があげられないから、(周りがどう思っているかに関係なく)居心地が悪い。その結果モチベーションが下がります。
でも、マニュアルによって早く成果をあげられるようになれば、モチベーションがアップする可能性はかなり大きい。
それでもマニュアルは機械のように扱っている、と言えるでしょうか?
実は、ハイパフォーマーを育てる
そして、マニュアルはハイパフォーマーを型にはめてダメにするのでは?という反論もあります。
しかし、それも間違いです。
つまり、マニュアルによって、最速で60点70点を取れるようになります。
その結果、ハイパフォーマーの素養を持っている人は、最速でハイパフォーマーになることができます。
要するに、マニュアルだけで仕事をし続けることを求めるのではなく、マニュアルを使って業務を完璧にこなせるようになれば、マニュアルを仕事のモレのチェックリストとして使うことを推奨します。
そうすることで、独自の仕事の仕方を生み出してくれるようになります。
そして、その独自の仕事の仕方の中でいいところは、どんどんマニュアルに追加できるというオマケ付き。
守破離と言いますが、チェックリストがあることで「今、守は超えたかな?」という基準が分かりやすくなるのです。
パッシブワーカーがハイパフォーマーになる理由
またマニュアルがあることで「これをやればいい」ということが明確になります。
やっていることがチェックで消えていくという感覚を持てるので、できたことに視点が向くようになります。
さらに業務の全体像の中から「この仕事をやっている」という意識が向きやすい。
マニュアル化されている部分には頭を使わず、それ以外のところで頭を使えることとなります。
その結果、パッシブワーカーがハイパフォーマーになるようになります。
トラブルメイカーへの対処法
このシリーズの第一回目で、どうしようもないヤツもいるということをお伝えしました。
それは間違いありません。
その対処法は2つ。
まずひとつめは、最低でも10%はそんな人は混ざるものだ、とあきらめること。
「そういうもんだ」と思えると、受け流せるようになるものです。
(ちなみに、7名以下の組織の場合は去ってもらいましょう。
トラブルメーカーがゼロでも動く組織の大きさですから。)
そして、2つめは、採用を慎重にすること。
人が足りないからと適当に人を入れないことです。
いい人が見つかるまで、辛抱強く探し続けることです。
いい人が見つかるポイントはただひとつ。
どんな人が欲しいのか?ということを紙に書いて明確にし、周りに言いまくることです。
いい人が来ないと言っている人は、どんな人が欲しいのかがあいまいですし、周りに言って回っていないことが大半です。
いかがでしょうか?
マネジメントのお話はとりあえず一旦おしまいです。
このマニュアル(チェックリスト)の話は、相当奥が深くて私も大好きです。
なので、1週間泊まり込みの合宿をしてもお話しできるくらいです。
とはいえ、それはキリがないので(苦笑)
質問があれば、ぜひコメントをいただければと思います。
ー 北岡秀紀
追伸
次回からどんな話が聞きたいですか?
もしリクエストがあれば、こちらもコメントをお願いします。
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