From:北岡秀紀
FROM:北岡秀紀
今回も引き続きチェックリストによるマネジメントのお話です。
前回お話ししたようなルーティン業務のチェックリストというのは、(やっているかやっていなかは別にして)割としっくりくると思いますし、中には今更?と思われた方もいるかもしれません。
一方で営業やマーケティングなどの業務は属人性が強くチェックリスト化がなじまない、と考えられています。
そのような仕事のチェックリスト化が今回のテーマです。
でも、実は、私から言わせればこういう仕事こそチェックリスト化するべきです。
これができたとき、パッシブワーカーがハイパフォーマーとなり、トラブルメイカーの数が激減するからです。
(ちなみに一定以上の人数がいる場合、トラブルメイカーはゼロには【絶対に】なりません。)
その結果、業績が飛躍的にアップします。
残り8割が成果が出せない理由
パッシブワーカーやトラブルメイカーが成果が出せなかったのには理由があります。
それは、成果を出す方法を知らない、ということ。
そこでハイパフォーマーから秘訣を学ぼうとするわけですが。。。
ハイパフォーマーの大半は論理的にではなく、感覚で成果のあがる行動を取っています。
だから、ハイパフォーマーはなぜ自分が成果があがっているか、という問いに対して明確に応えられる人はほとんどいません。
その結果「仕事に対する想いが強い」「つらいことがあっても逃げない」とか、わかったようなわからないような答えしか出てきません。
それでは当然パッシブワーカーやトラブルメイカーは動けるわけはありませんね(苦笑)
チェックシートで、ハイパフォーマーが成果を生み出すキーとなるアクションを反映させることができれば、誰もが成果をあげられるようになります。
例えば、私のクライアントでこんなことがありました。
飲食店のランチタイムのアルバイトでたった一人だけ食後のデザートを売りまくっている女性Sさんがいました。
理由を探ると他のアルバイトは注文を受ける際に「プラス200円になるのですが、デザートはいかがですか?」と聞いていただけですが、Sさんは食器を片付ける際にも「口の中こってりしたでしょう。デザートどうですか?サッパリしますよ」という風に言うようにしていました。
たった一言の違い、しかも、ついででできることで大きな差を生んでいたのです。
実際、これをチェックシートに反映し、他のアルバイトにも同様のことをさせることで、デザートの購入率が4倍になりました。
成果を生み出すキーアクションを入れたチェックリストはそれほど強力だ、ということです。
チェックシートの作り方
チェックリストを作るのはとても簡単です。
大まかに言えば、営業でお客さんにコンタクトしてからクロージングが完了するまでにどんなアクションをしているのか?という行動を付箋紙に書き出してもらいます。
そして、それを並べ替え体裁を整えてチェックシートにする。
ただそれだけです。
これをステップバイステップでもう少し詳細を解説しましょう。
ステップ1 ハイパフォーマーに時間を取ってもらう
ハイパフォーマーがどんなアクションを取っているのかを知るために、ハイパフォーマーに集まってもらいます。
経営者一人がハイパフォーマーということであれば、携帯電話を切って邪魔の入らないホテルの部屋などを準備します。
もし複数のハイパフォーマーがいる場合は、書記は別に用意して、ハイパフォーマーがリラックスしてアイデアを出せる環境を作ることが肝要です。
ステップ2 中項目を出す
営業を実行するためにどんな行動を取っているのでしょうか?
それを考えていく訳ですが、いきなりひとつめのアクションから順番に考えるというのは非常に難しいです。
ですので、まず大まかにプロセスを分解します。
営業であれば、テレアポ、初回訪問、フォローアップ、クロージング訪問などでしょうか。
これらはあくまでも暫定的なものです。
次以降のステップでもっとプロセスがあると気付けば、増やせばいいですし、これとこれは一緒にしたほうがいいと判断すれば合体してもOK。
とりあえずどんなプロセスで成果をあげているのか、大まかな流れを理解します。
これを中項目と呼びます。
ステップ3 中項目を分解する
ステップ2であげた各プロセスをアクションで分解します。
テレアポという中項目であれば、テレアポ先を選定する、テレアポ先のリサーチをする、電話をする、みたいな感じです。
ステップ4 ポイントを確認する
ステップ3であげたアクションのポイントを発見します。
例えば、
テレアポ先を選定するということであれば、何を基準に選定しているのか?
テレアポ先のリサーチをするということであれば、何をリサーチしているのか?
ポイントを確認します。
ステップ5 チェックリストに反映する
ステップ3であげたアクションを並べ替えチェックリストに反映します。
そして、そのアクションの右側に備考欄を設け、ステップ4であげたアクションの際のポイントを記載するようにします。
備考で書ききれないものは別途ツールとして、誰もが見れる状態にしておくのもいいです。
(下記の例を参照)
テレアポチェックシート | ||
チェック | アクション | 備考 |
テレアポ先を選定する | iタウンページのカテゴリから選出する | |
テレアポ先のリサーチをする | 共有フォルダ「テレアポリサーチシート」を使用する | |
電話をする | 共有フォルダ「テレアポスクリプト」通り話す |
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ステップ6 検証する
必ずチェックシートの一番下には、最終更新日を記載しておきます。
そして、実際に運用して2週間ごとに成果があがったかどうかを見直し、どれが成果が出るキーアクションなのかを探すという作業をします。
経験的には3回程度、つまり1.5ヶ月ほどあれば、ほぼ完成版のチェックシートが完成します。
完成したら、それ以降は必ずそのチェックシートを使って仕事をさせます。
実際の運用のなかでもっと変えた方いいところなどがあれば、それはどんどん反映しましょう。
(もちろん最終更新日を変更します。)
ステップ7 運用する
実際にチェックリストを使ってマネジメントしていきます。
この運用方法については次回以降お伝えします。
ここでは最も重要なポイントを。
それはチェックリストに完成版はない、ということ。
使っていくと、ここを追加したほうがいいとかいいうことは出てきます。
また、仕事も変化しますから、それに追いつかせる必要も出てきます。
その際は、コンセンサスを取ってから変更する、というのがポイントとなります。
やってみることが重要
ハイパフォーマーに集まってもらい話をしてもらう、行動を棚卸しすることで、今まで感覚で処理していたものを「見える化」することができるようになります。
初めは難しいと思われるかもしれません。
しかし、慣れてしまえば、かなり簡単にできます。
どうしても取り組めないという場合、私のようなコンサルタントと一緒に一度か二度やってみるのもいいです。
無理矢理チェックリストを作る時間を作らされることになりますし、一度体験すれば勘所がつかめるはずですので。
ぜひ、一度、時間を取ってやってみてください。
デキる人とデキない人ではこんなにやっていることが違うんだ、ということがわかるはずです。
ー 北岡秀紀
(お客様の声) 川島様この本は社長業の実際を書いています。 経営者と従業員の絶対に埋まらない溝とでも言えばいいのでしょうか。その存在に気付きながらもスタッフに笑顔で接しようとする自分にとって、深く教え諭される内容でした。 ↓ ダン・S・ケネディ「世界一シビアな『社長力』養成講座」 |
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