From:北岡秀紀
FROM:北岡秀紀
実は、新年早々、仕事始めの1月5日にあるスタッフをクビにしました。社員でもアルバイトでもなく、業務委託の形で仕事をしていましたから、正式には契約解除ですが。
私としては右腕として育てて、最終的には弊社の社長になってもらおうと思っていましたから、社内のスタッフにクビを宣告するよりも苦渋の決断でした。
ただ、私が彼をクビにしようと初めて思ったのは、昨年の8月末頃でした。つまり、4ヶ月間も悩んでいた事になります。
予兆ははじめから
しかし、振り返ってみると、彼に違和感を感じたのは、実は採用する時でした。
契約書に印鑑を押してもらうために、ある場所で待ち合わせをしていました。「電車の遅れで10分ほど遅れます」という事前連絡があり、実際に遅れてやってきたのです。
私はここに違和感を感じました。電車の遅れで、しかも事前連絡があったのだから仕方が無い、と思われるかもしれません。
しかし、印鑑を押す、つまり仕事の第一日目です。そんな大事な日は私なら、30分くらい余裕を持って家を出ます。
電車が止まって1時間も閉じ込められたのならともかく、ちょっと遅れたくらいで待ち合わせにも遅れてしまうようなギリギリで行動するというのは、私には信じられません。(ちなみに、この前に仕事があったわけでもなく、家から出発してやってきたことも確認しています。)
でも、彼にポテンシャルを感じていたこともあり、大目に見て軽く注意をするにとどめて、仕事をしてもらうようになりました。
やっぱり・・・
そして、実際に仕事をし始めると・・・案の定、設定した締め切りに仕事が遅れる、ということが頻発しました。
ただ、「期待しすぎて、多くの仕事をふりすぎた」「本人にとって初めての仕事が多い」「バイト以外では初めての仕事だから」「長く見守れば、何とかなる」と私自身に言い聞かせて、仕事を任せてきました。
しかし、3ヶ月経っても、そのクセは治りません。一度叱ると、1~2週間は持ちますが、またすぐに戻ります。その度に「次、遅れたら、やめてもらうから」と繰り返し、7回は大目に見ました。
そうこうしているうちに年末が来ました。
私は毎年年末になると「残しておきたい本」を読みます。その中の一冊、ダン・ケネディの本を再読して『従業員は熟考し精査し、ゆっくり雇うこと。解雇する時はためらわず、素早くクビにすること』という言葉を改めて思い出したのです。そして、そのタイミングでまた仕事に遅れたため「クビ」を宣告した、というわけです。
社内の業務管理や金銭管理も任せていたので、業務が混乱するかもと思いましたが、「また遅れるのでは・・・」と無駄な思考を働かせずに済むようになりました。私の業務時間は若干延びていますが、ストレスがない分かなり楽です。
また、クビになった彼自身も、もうひとつやっている仕事に集中できるということで、スッキリしていました。(少なくとも私から見た感じ、ですが。)
あなたはこの話から何を考えますか?
この一連の話から、あなたに伝えたい事が3つあります。
ひとつめ。知っていることと、できていることは違う、ということ。
私は、「働きの悪いスタッフは切るべきだ」と常々クライアントに言っています。その様に提案すると、「彼にも生活があるから」「もうちょっと様子を見れば」という回答が返ってきます。その回答にイラっとしている私が(笑)、それを実行できていませんでしたから。
ふたつめ。働きの悪いスタッフは、やっぱり切るべきだということ。
私のクライアントや今回の私のように「もうちょっと様子を見れば」と思うかもしれません。しかし、人はそう簡単に変わりません。ならば、早く見切りをつけるべきです。
そういうと「彼にも生活があるから」みたいなことをおっしゃるかもしれません。しかし、それはスタッフ本人のためでもあります。活き活きと働けていないということは、やりたくもない仕事を我慢してやっている、ということです。別の会社に移って別の業務をはじめた途端、活き活きと働き始めるという人は少なくありません。
働きが悪いのは、そのステージを与えられてない自社の責任であることも多いのです。ならば、早く他に行くように伝えるのは、スタッフ自身のためでもあるのです。
みっつめ。自分の決め事には従うこと。
私は・タバコを吸う人・時間にルーズな人・箸の持ち方が下手な人・食べ物の好き嫌いが多い人とは、一緒に仕事をしないと決めています。
タバコに関しては、ジョイントベンチャーの場合はOKとしていますが・・・社内ないしはそれに近いスタッフの場合は絶対です。
しかし、契約解除した彼はタバコも吸いました。
でも、契約前は、それなりに能力もあると感じていたため、「今回は例外」として契約をしました。その結果が、こうです。
自分で決めたルールですから、守るべきだったのです。
※上記の決め事が論理的に正しいかどうかは異論があると思います。ただ、あくまで自分の中の決め事であり、通常表に出すものではないですから、何でも構いません。
よっつめ。決め事は明示しておくこと
もし上記のような決め事を持っていないなら、ぜひ決めて書き出すことをお勧めします。
私が契約解除するのが遅れた原因のひとつに「こういう人とは一緒にしない」という自分の決め事を忘れてしまっていたことがあります。ケネディの『従業員は熟考し精査し、ゆっくり雇うこと。解雇する時はためらわず、素早くクビにすること』を読んで、それを思いだしたからこそ、クビにするという決断ができたのです。
自分でビジネスをしているくらいですから、きっと自分のポリシーやスタンスがあるはずです。それを、しっかりと文字化しておきましょう、ということです。
解釈は様々
実は、何人かの経営者の友人にこの話をしたのですが、全員がそれぞれ違う解釈をして、違う学びがあったようなのです。ですから、今回、私があげた4つだけでなく、あなたも何か感じるところがあったかもしれません。ぜひそれも大事にしてください。
ただし、1点だけ注意事項があります。スタッフをクビにするのは、法的な問題など様々な要素が絡みます。従って、専門家のアドバイスを受け、本人ともしっかりと向き合って話し合うことは、大前提であることはお伝えしておきます。
それにしても・・・また右腕になってくれるような人を探さないと・・・誰かご存知ありませんか?(笑)
ー 北岡秀紀
【邪魔の入らない週末こそ!社長のためのアクションプラン】
言い方を変えると、これは絶対にやらないこと、を明確にし、それをハッキリと分かる形で明示する、ということです。
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