From:藤岡将貴
先週、奥さんが手術のため入院しました。幸い、大きな問題もなく、一週間ほどで無事に退院できて、ほっと一安心。
手術前日から入院したんですが、全身麻酔をしたうえでの手術ということもあってか、前日の夕方から絶食。術後も、その日一日は水も飲めず、乾燥を防ぐためのうがいのみ。栄養と水分は点滴から入っているそうなので、身体的には栄養は問題ないとのことですが、とはいえ、喉が潤わない、喉越しがない、満たされない、と。
元料理学校の先生で、毎日、美味しい料理にお酒を合わせるのが生きがいと言っても過言ではない彼女にとって、それはかなりのストレスだったようで(そういった意味では、手術そのものよりも苦痛だったかもしれません笑)。
でも、手術の次の日には、流動食がもらえるとのこと。ようやく、喉を通せると。まぁ、そんな美味しいものではないだろうな、と思いつつも、少し楽しみにも感じられてきたようだったんです。
で、いざ、食事が運ばれてきました。食事が乗ったトレーが彼女のベッドの上のテーブルに置かれました。そのトレーの上には、、、小さな器に入った、ほぼ液状のおかゆと、うっすーーーいたまごスープ。それと、紙パックの牛乳とりんごジュースが乗せられていました。
彼女は一口食べて、味がない…薄い…美味しくない…結局、牛乳とりんごジュースだけ飲んで、おかゆとたまごスープは口をつけただけでほとんど残して、トレーを返却口に戻しました。自由に出歩けず、ほぼ、病室で寝てるか座ってるかで一日を過ごさなければいけない彼女にとっては、食事が唯一の楽しみだったようで。なので、かなりがっくりした様子でした。まぁ、流動食ですから、味が薄いのは仕方がない。ですが、口にする前に、彼女はこんな一言を言っていたんです。それが、、、
と。そうなんです。おかゆとたまごスープは、薄い青色の器。しかも、プラスチック製の器に入れられていたんです。青という色は食欲を減退させる色だと聞いたことがあります。また、プラスチック製のタッパーのような器というのも、なんとなく「食事を楽しむため」ではなく「ただ単に栄養をとるため」に出された、という感じだったようなんですね。
同じほぼ液状のおかゆと、うっすーーーいたまごスープでも、例えばそれが、青色のプラスチック製のタッパーではなく、白色の可愛い陶器の器に注がれていたら…それだけで、少なくとも美味しそうに見えたでしょう。食欲も沸いて食べる気持ちにもなったでしょう。もちろん薄い味は変わりませんが、食事の時間がもう少し楽しい時間になったかもしれません。
こんなふうに、同じものでも、それが何に入っているのか、によって、感じる価値が大きく変わる、ということがあります。これは「フレーミング」と呼ばれるものです。そして、それは、なにも料理の話だけではありません。
例えば、左はルーブル美術館。右は路上のセールス。もし同じ絵が売っていたら、どちらに高いお金を払うでしょうか?もちろんルーブル美術館に展示されている絵画に高いお金を払いますよね?その額はたぶん何千倍にもなるでしょう。これがフレーミングです。コンテンツ(絵)をどんなフレーム(枠)で飾るかによって、受け取る価値感がまったく変わってきます。要するにフレーミングとは「意味付け」のことなんですね。
そして、ビジネスでも、このフレーミングは重要です。例えば、2日間のセミナーを収録した動画を「DVD」と言ってしまえば、その価値は、せいぜい3000円とか5000円程度に感じられてしまうでしょう。なぜなら、普通、映画のDVDはそのくらいの価格で売られている、というフレーミングがされてしまっているからです。
例えば、Eメールはこのフレーミングがすべてだったりします。あなたのメールが、「どこの誰かも覚えていないスパマーから送られてきたメール」と意味付けられてしまったら、クリックがどれだけ多くても、売上にはつながらないでしょう。でも、「信頼出来るアドバイザーがオススメしてくれた貴重な情報」だと意味付けされれば、クリックの数は少なくても、売上につながる可能性は高いでしょう。
この「フレーミング」1つで、価値が大きく変わります。もし、あなたがこれまでにフレーム、意味付け、という観点を意識したことがなかったのなら、ぜひ、一度考えてみることをオススメします。
-藤岡将貴
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