From:北岡秀紀
差別化。
マーケティングをやっていれば、一番悩みに悩み抜くところです。
実際、多くの社長が差別化のアイデアが出ないと悩んでいます。
もしあなたもそうなら…今回のエピソードが役に立つかもしれません。
最近、偶然にも数社で差別化のワークショップをさせていただくことがありました。
社長を含め社員を5〜6名ほど集め、差別化の要素になりそうなアイデア出しをする。そして、それを取捨選択し差別化のメッセージを考えるという、かなりオーソドックスなものです。
私がこのワークショップをするときに、意識していることが2つあります。
まずひとつめはその場での社長の影響力を落とすこと。
小さな会社の場合、社長が出したアイデアを否定できない、もしくは社長のアイデアを盛り立てていこうという雰囲気が生まれます。
これは本人たちが意図してではなく、普段の仕事やっていることなので、その延長として無意識にやってしまっているのです。
なので、私がファシリテーターとして参加し、社長のアイデアがどれかわからなくしたり、この場における社長はみんなと同じ立場であるという空気を作ったりします。
そして、もうひとつが「差別化」という言葉を使わないこと。
私は社長から依頼を受けて仕事をするわけですが、他の社員にワークショップを案内するときも「差別化のワークショップをします。」とは言いません。
ただ単に「研修」「アイデア出し」と言うだけだったり、「商品開発ワークショップ」などの別のタイトルにしたりします。
また、本来の目的は「差別化のアイデアを出すことである」と知っている社長に対しても、ワークショップの中で「差別化」「競合との違い」というような言葉を使うわないように強くお願いをします。
これ、なんでだと思いますか?
「差別化」という言葉を使った瞬間からガラっと雰囲気が悪くなるからです。
具体的に言うと、ワークショップではお客さんについて徹底的に考えていただくのですが、「差別化」という言葉を使った瞬間から目線がお客さんから競合に移ってしまいます。
結果、競合との機能競争に目がいったり、競合商品の隙間を探したりすることに必死になります。
お客さんがどうやれば喜んでくれるか?
お客さんにもっと価値を提供するには?
アイデアを出すときもお客さんにどう役立つかを考えているときの顔は、みんな楽しそう。
でも、競合のことが視点に入った瞬間眉間に皺が寄ります。
そりゃ出るアイデアも出てきません。
差別化ってなんのためにやるのか?
売上・利益をアップするためです。
その売上・利益をもたらしてくれるのは?
もちろんお客さんです。
お客さんの不在の差別化なんてありえません。
ホント当たり前のことなんですが…
差別化に必死になるほど差別化できない。
競合にも目をくれずお客さんのことを考えるほど、結果として差別化できてしまう。
皮肉なものですが。。
社長はやたらと競合を気にしがちです。
ここに向けているエネルギーをお客さんに向けてみてください。
大きくビジネスが変わること請け合いです。
-北岡秀紀
【ザ・レスポンス】の最新記事をお届けします