From:山田光彦
「いい商品なのに、なんで売れないんだろう…」
「他で買うより絶対いいのに…」
「なぜ、商品がイマイチなあそこが、あんなに売れるんだろう…」
こんな声をたまに聞きます。そして、僕もこの気持ちはとてもよくわかります。実際、昔自分で事業をやっていた時はこう思っていました。ウチで買った方がいいのに、、、と。
でも、商品の質を上げれば、上げるほど売れなくなる。。。そんなことがあるとしたら、、、あなたはどう思いますか?
というのも、ハーバード大学の教授のクリステンセン氏が行った調査によると、、、
商品の質をどんどん上げることで、競合に顧客を奪われてしまうことがある、ということなんです。
イメージしやすいのは、液晶テレビとかの家電系。昔は、SHARPのAQUOSなど、日本の製品が売れていて、業績も好調でした。ですが、SHARPは業績が悪化して、台湾の鴻海(ホンハイ)に買収される状態にまで陥ってしまいました。ちなみに、うちの嫁は「SHARPの工場が近くにできるという話があって、いろいろ作ったり、人も集まって来たのに、中止になった。仕事が決まっていた人は、仕事がなくなり大変だったり、お金もめっちゃ無駄になったんじゃないか」ってよく言っています。
こういったことになってしまった原因のひとつが、商品の質を上げ過ぎたこと。
誤解を恐れず、簡単に言ってしまうと、お客さんが液晶テレビを見るときに、これぐらいキレイだったら十分だな、というのを超えるところまで、商品の質が上がてしまった。その結果、それ以上、画像の質を高めても、お客は価値を感じないようになってしまったのです。しかも、それに気づかず画像の質をさらに高め続けていたら、少し荒いけど十分キレイで、価格の安い他の液晶テレビをみんなが買うようになった。みたいな話です。(ちなみに、これは商品を購入するキモになる要素がキレイさから、別のものに変わった。という可能性が高いのですが、この話は長くなるので、また別の機会に)
他にも、美容室で肩たたきやシャンプーとかをやってくれますが、そういうことに価値を感じない人が、髪を切ることだけにフォーカスしたQBハウスに流れたり。テレビのリモコンみたいにわけのわからないボタンが大量についていたり、というのもこれに似た話ですね。
デスクトップパソコンからノートパソコンに需要が流れたり、ガラケーからスマホに需要が流れたり。今まで評価されていたことの延長線上で、商品の質を高めれば高めるほど、お客さんが求めるものと商品に差ができてしまって、競合・ライバルに需要を奪われる、というパターンです。
競合やライバルを見ていると「うちの商品の方が競合よりもいい商品だ」「俺らの方がスキルが高い」ということを考えがちです。ですが、僕らの商品価値を決めるのは、競合やライバルではなくお客さんです。
僕らもマニアックすぎるマーケティングやセールスライティングのテクニックを見つけると、めちゃ興奮しますw
自分がマーケター・セールスライターなので、そうなってしまうのですが、【ザ・レスポンス】を読んでるあなたも同じように価値を感じてくれるかどうかは、また別の話。まあ、マーケターやセールスライターの方が読んでくれていると思うので、そこまで大きな違いはないのかな、とも思いますが。
あと、時々セールスライターに仕事を依頼した社長さんから聞く話でいくと、納期になって「まだ、できていません。あと3日ほど時間をもらえるでしょうか?」といった納期が遅れるという話。
僕はセールスライターなので、納期を過ぎてしまう気持ちはすごく良くわかります。「ここをこうしたらもっと良くなる!」「ここがなんとなく納得できない」「もっといいセールスレターを書こう」そんな気持ちで一生懸命やっているうちに時間がどんどん過ぎてしまう。。。その気持ち、よくわかります。。。
でも、社長さんが求めているのは、そこそこのセールスレターだったとしても、納期にきちんと納品するセールスライターかもしれません。もちろん、まったくダメダメなものを納品するのはプロとしてダメですが。
もし、社長さんが求めているのが納期をきちんと守ってくれることだとすると、セールスライターのやるべき仕事は、セールスレターの質を高めることではなく、納期を守ること。そして、信頼してもらってから、納期をかなり長くとったセールスレターの仕事の依頼を受けて、質を最大限に高める仕事をするというのがいいですよね。
あなたが売っている商品・サービスが競合・ライバルよりもいいものだとしたら、、、しかも、あなたよりもたくさん売っている競合・ライバルがいるなら、、、それは今以上に商品・サービスの質を高めても、あまり意味がないサインかもしれません。
なぜなら、あなたの商品よりも質が低いものでお客さんは十分満足している可能性が高いからです。そうなると、あなたがめちゃくちゃがんばって、商品をもっともっと良くしたとしても、お客さんは全然評価をしてくれない、、、ということになってしまいます。
実際、ひと昔前までは、いい商品をたくさん作りさえすれば売れる時代でした。でも、今は、多くの会社がいい商品を作っているにもかかわらず、売れないことがよくあります。最近あったことでいうと、とても美味しい料理を出してくれるので、気に入っていたお店に久しぶりに行ったんです。が、、、そのお店はもうなくなっていたんです。一瞬、自分が場所を間違えただけかと思ったんですが、残念ながらなくなっていたので、超がっかりして、トボトボと歩いて帰りました。。。
あなたが競合・ライバルよりもいい商品・サービスを提供している。そして、お客さんが来てくれさえすれば、それを気に入ってくれるというのなら、、、あなたがやるべきことは商品・サービスの質を上げるのではなく、これかもしれません・・・
「社長の仕事はマーケティングだ」
By ダン・ケネディ
ー山田光彦
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