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どの顧客を切り捨てるべきか

2017.2.5 | ,
  •  

From:ダン・ケネディ

今日は、「どの顧客を切り捨てるべきか?」の話をしたいと思います。
でもその前に1つ大事なことを聞いておきましょう。

あなたのビジネスにとって、顧客1人にどれだけの価値があるかご存知ですか?
私のトップ・クライアントとセッションを開いていたときのことです。参加していた頭の切れる女性実業家が、自身が所有する3つのビジネスのうち唯一利益を上げていない事業について話してくれました。その事業の顧客は平均するとそれぞれ年間1万8000ドル(180万円)ほどの価値があるとのこと。

私は言いました。そんなのどの顧客も価値がありませんよ、と。

ドナルド・トランプがこんな話をしていました。経営破綻に陥り借金まみれになっていた頃、元妻のマーラと並んでマンハッタンの通りを歩いていたら、ある建物の前でホームレスが鉛筆を売っていたそうです。トランプは彼を指差してマーラにこう言いました。「私はこの男より7000万ドル(70億円)も価値が低いんだ」。厳密に資産価値だけを考えると正しい発言と言えますね。もちろん、スキルや知識、野心、立ち直る力、可能性は考慮に入れていませんよ。しかし、その時点ではホームレス男性のほうがトランプより価値があったのは事実です。

私が女性実業家に言ったことはでたらめなどではありませんよ。純利益が出ていないのであれば、その顧客に価値なんてないのです。そのビジネスにおいては、ですよ。以前、私が所有する会社が同じ状況に陥ったときには、抱えていた顧客を競合他社に高額で売却しました。私にとっては価値がなくても、相手にとっては価値のあるものだったわけです。競合を追い払うことができるという点では価値がありましたけどね。でも彼女の事業は手放さないでおくといいでしょう。しかし今後もそのビジネスを続けていくのであれば、問題を掘り下げ、深く研究・分析する必要があるといえますね。

潤沢な利益をもたらす顧客がいれば、多大な時間と資源をかけてもわずかな利益しかもたらさない救いようのない顧客もいます。利益を生むサービスもあれば、ともすると損失を生むものもあります。利益につながらない顧客を切ることで、あるいは離れてしまう顧客もいるとわかっていながらサービスの値段を上げることで、純利益を増やすことも可能です。粗利益率を低くすることで、純利益を増やすこともできるでしょう。そう、高くするのではなく「低く」するのです。

起業家のほとんどは、「もっと」何かしたいと常に考えていますよね。「もっと」何かをするのは自由ですが、それが純利益の増加につながらないのであれば意味がないということを忘れずに覚えておきましょう。

私はセールスを全面的に応援していますし、自分でモノを売るのも大好きです。しかし、より売りやすいモノと売ろうとするだけ無駄なモノがあることに、かなり早い段階で気づいたのです。また、最初の仕事では「誰彼構わず広告を出すようなビジネスは、在庫回転率と追加注文率に関して言えば最悪なビジネスである」ということを悟りました。だから私はこういった顧客を相手にするのはやめて、もっといい顧客を相手にセールスする道を模索したのです。

講演の仕事を始めて2年目には、参加者が私のバックエンドセールスに不向きな場合には、たとえ約束された報酬があったとしても断るようにしていましたよ。

過去に開いた医者を対象としたセミナーで、出席した女性の獣医ほぼ全員にセールスできるだろうと即座に見込んだものの、ほとんどの出席者にセミナー料金を返金する羽目になったことがあります。

誰彼かまわず売ることはないんです。私もセールスは大好きですけど、闇雲には売らないことです。

ダン・ケネディ

ダン・ケネディは、毎年100万人以上の中小企業、大企業のビジネスオーナーや起業家に影響を与え、世界一多くの億万長者を生みだしている。そんな彼のことを、アメリカで最も億万長者を生んだ人として、「億万長者メーカー」と呼ぶ人もいれば、「21世紀のナポレオンヒル」と呼ぶ人もいる。 「日本一のマーケッター」にも選ばれた神田昌典氏も、彼の著書を監修し、絶賛のコメントを寄せている。

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