From:山田光彦
「一度、使ってもらえれば、商品の良さがわかってもらえるんですが…」
これはセミナーに参加してくれた方から、たまに聞く言葉。
そして、もっといい商品にしていけば、自然とお客さんは付いて来る、、、という方が結構おられます。
本当に、いい商品を作れば、自然と商品が売れていくなら、商品を改良したり、自分の技術を上げることで、商品が徐々に売れるようになっていくでしょう。
ですが、、、
実際には、革命的といえるぐらいすごい商品であっても、全く売れずに何十年も日の目を見ることがなかった、、、というのは結構、よくある話。なので、商品が売れないからといって、商品をもっと良くしようという方向に行ってしまうと、結構、危険なんです。
なので、今日はそういった事例をいくつか紹介します。
ある研究所の特許部門で働いていたカールソン。彼は、仕事で何枚も同じ図面を書かなければいけませんでした。その手間と退屈さを何とかしたいと思った彼は、空いている時間に研究を重ねていき、1937年に世界初の写真複写方法を発明(コピー機の元になる技術)。特許を取りました。
今のビジネスには欠かせない、この技術。22年間もの間、商品化されることはありませんでした。というのも、彼はすごい発明があると「IBM」「コダックス」「ゼネラル・エレクトリック」など、20社以上に、この技術を売り込んだんですが、、、まったくうまくいかなったんです。
その後、ハロイドという会社が彼の技術に基づいたコピー機を売り出し、これだけ世界中にコピー機が大量にある状況になったんです(ハロイドというのは、今のゼロックスです)。
つまり、彼の企業への売り込みがうまくいかなかったことが原因で、この革命的な技術は22年も日の目を見ることがありましたでした。
ノーベル物理学賞を受賞したキルビー。彼が発明したのは、コンピューターチップの先駆けとなる初の集積回路です。今、コンピューターや携帯電話などに使われているICチップの元になるようなものですね。
ポケットサイズのデジタル計算機に使われたことをキッカケに、さまざまな電子機器に使われるようになりました。ですが、発明から10年間はこの技術もほとんど使われることがなかったんです…
今をときめくAppleの代名詞のような存在のスティーブ・ジョブス。彼もApple創業時ですら、商品を作ることはほとんどやっていなかったようなのです。
実際、Appleの創業当時、商品を作っていたのは、共同創業者のスティーブ・ウォズニアック。そして、僕がジョブスの自伝を読んで思ったのは、ジョブスは、商品を売るという仕事をメインにやっていた、ということです。
つまり、いい商品を作るだけでは、売れるようになるならない、もしくは、売れるようになるまで気が遠くなるような時間が必要になることがよくあるということ(10年間売上ゼロだったら、会社潰れますよね)。
そして、上で紹介したコピー機やパソコンに使われているICチップがなかったら、、、今めちゃくちゃ困りますよね。なので、いい商品が売れて、世の中に出回らなければ、その商品を使うはずだった人たちは、その恩恵を受けることができなくなってしまうということです。
商品を売るとか、営業とか、売り込みという言葉を聞くと、相手に迷惑でもかまわず押し売りしたり、時には騙したり、、、というイメージを持つ人もいます。ですが、売るというのは、押し売りをすることでも、騙したりすることでもありません。もちろん、顧客にお願いして買ってもらうことでもありません。
商品の価値を伝えること。商品を使うことでお客さんの生活の質が上がる、ということを伝えることです。コピー機やICチップの事例でざっくりいうと、企業の売上が上がることや、その企業から商品を買った顧客が喜ぶことなどになるでしょう。
そして、あなたが売っている商品がいい商品であればあるほど、商品を売らずにいることは、あなたのお客さんが生活の質を上げるチャンスを失っているということにもなります。
お客さんの生活の質を向上させるチャンスを増やす。商品を使って、生活の質が上がって喜ぶ人を増やす。それが、僕たちマーケター、セールスライターの仕事です。もちろん、社長・起業家の仕事でもあります。なぜなら、、、
「社長の仕事はマーケティング」
By ダン・ケネディ
ですから。
いい商品をガンガン、売っていきましょう。
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