From: ダン・ケネディ

「良い商品を提供しているのに、売りに出す相手が間違っている」
「せっかく顧客を獲得しても、提供する商品が間違っている」

「The Apprentice」という番組のあるエピソードを知っている方はいらっしゃるでしょうか？

各チームに空き店舗のレストランとシェフが与えられ、一日で開店準備をし客を集め、食事を提供し、ミシュランに並ぶレストランガイドであるザガット・サーベイに掲載されるようなレストランをオープンするのを競う、というものでした。

（訳注：Apprentice＝アプレンティスとは見習いのことで、ドナルド・トランプ氏をホストに、彼の右腕として働く人材を発掘する番組。※今は終了しています。）

負けたチームを率いていた女性のレストランは、内装も料理も素晴らしいものでした。

しかし、何度か問題点を指摘されたのに、それを理解することのないままクビになってしまいました。

美しく洗練された雰囲気と独創的なアジア料理。上品な黒のロングドレスを着た女性たちが迎えてくれるこのレストランは、全てが完璧に見えました。

しかし残念なことに、トランプ氏のアシスタントも述べたように、彼女たちは顧客の求めているものを理解しておらず、彼女らと顧客との間に完全なミスマッチが生じていたのです。

実際に外に出てどのような人が住んでいるのかその地域を1時間でも観察すれば、ミスマッチに気づいたはずです。

しかしそのチームは、周りのことは無視し、自分のやりたいことだけを優先したのです。顧客に合った商品を作るのではなく、先に商品を作り、それに合った顧客が現れることを望んだのです。

彼女が行ったことが間違いだったわけではありません。
ただ、場所が間違っていたのです。

トランプ氏ですら、似たようなミスを犯しています。

トランプ氏が以前にテレビショッピング専門チャンネルであるQVCに出演した時のことです。彼はこの番組で「Think Like A Billionaire（億万長者思考）」という自分の本を売っていました。

３０分で数千冊ほど売れたそうですが、QVCを見るような人が欲しいと思う商品だったとは思えず、商品と顧客の間にミスマッチが生じていたのです。驚くべきことにトランプ氏も司会者も気がついていなかったようですが、こうすればおそらく1万冊は売れたと思います。

この本を、「あなたの周りのビジネスマンへの最高のプレゼント」として売り出すべきだったのです。そして、本の内容を長々と説明するのではなく、どんな人がこの本に興味があってこの本をもらったら喜んでくれるかに時間を割くべきだったのです。

私が「市場に合った商品を売ることの大切さ」として人々に教えていることは、全然難しいことではありません。

にも関わらず、多くの企業や、広告キャンペーンなどはこれらの法則を無視しています。

不思議ですよね？