「アメリカン・アイドル」というアメリカで大人気のオーディション番組があります。その番組のオーディションがクリーブランドのダウンタウンで行われ、オハイオ州はもちろん隣接する州からもたくさんの人がやってきて、野宿して会場の列に並ぶ人までいたそうです。

クリーブランドのダウンタウンにある「ロックの殿堂」は、この絶好の機会に大きなミスを犯しました。と言うのも、特別企画やイベントなど「アメリカン・アイドル」を利用したプロモーションを一切行わなかったのです。私の知る限り、レストラン、ホテル、ショップなども同じで、「アメリカン・アイドル」を利用した企画はまったく見られませんでした。

私は日頃から地元クリーブランドのAMラジオを聴き、新聞も読んでいますが、「アメリカン・アイドル」を利用したイベントを見聞きすることは一切ありませんでした。

また、「アメリカン・アイドル」のオーディションと同じ週に、ピーター・ロウ主催の「サクセス」のイベントが同じくクリーブランドのダウンタウンにあるガンド・アリーナで行われました。

約1万7000人も参加者があったので、朝の情報番組のレポーターがヘリコプターで周辺の大渋滞を中継していましたが、その渋滞の話をするだけで「サクセス」を話題にすることはありませんでした。1万7000人を動員するアメリカ最大のビジネスセミナーがクリーブランドにやってきたことは、このレポーターや報道局にはニュースにする価値のないものだったのでしょう。

本屋、オフィス用品店、ホテル、レストラン、車の販売店の誰一人としてこのイベントを利用している人はいませんでした。

「なぜ『アメリカン・アイドル』の週に何もしなかったのか？」
「なぜ『サクセス』がクリーブランドにやってくる週に何もしなかったのか？」

なぜなら、ほとんどの人は日常生活に忙殺され、チャンスを見過ごしているからです。
チャンスは目の前に転がっているのに、彼らはそれを知るよしもないのです。

もしあなたがレコードチェーン店やレストラン、バーなどを経営しているとしたら、数週間前に「アメリカン・アイドル」特別企画のプロモーションをできたはずです。もしあなたが高級車販売店や、高級服飾店、本屋などを経営しているとすれば、数週間前から「サクセス」イベントの入場券プレゼントなどのプロモーションを企画できたはずです。

これは、経営者たちがプロモーションをすることを思いつかなかったという話ではありません。それよりも最悪です。彼らは、このプロモーションのチャンスにすら気付いてないのです。自分たちの市場で今何が起こっているか、全く意識もしていないということなのです。