From:山田光彦
電車で騒いでいる子供を注意せずに放っておく、この父親。
あなたはどう思うか?ちょっとこの話を聞いて下さい。
1人の男性が子供たちを連れて、電車に乗り込んできました。そして、しばらくするとその子供たちは、電車の中で「ワァー、ワァー」と騒ぎ出してしまったんです。
どんな風に騒いでいたのかというと、、、大声を出したり、走り回ったり、物を投げたり。。。他の人が読んでいる新聞を、奪い取るようなことまでしていました。
その子供たちの騒ぎぶりに、周りの人たちもイライラし、迷惑そうにしている様子だったのです。
ですが、、、
それにもかかわらず、、、
子供たちを連れてきた父親だと思われる男性は何もせず、ただ座っているだけでした。。。
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さて、あなたは電車の中で、騒いでいる子供たちを叱らない父親に対して、どう思いますか?
今、感じている気持ちを、覚えてから、続きを読んで下さいね。
では、話の続きを。。。
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そして、ついに子供が騒いでいる状況に耐えられなくなった乗客の1人が子供たちの父親と思われる男性に、こう声をかけました。
「あなたのお子さんたちが、他の人の迷惑になっているようですよ。
もう少しおとなしくさせることは、できないでしょうか?」
それを聞いた父親は、そんな状況になっていることに、初めて気づいたかのような驚いた表情をしました。そして、静かな声でこう答えたのです。
「本当にそうですね・・・
1時間ほど前に妻が、、、
子供たちの母親が亡くなったものですから、、、
いったいどうすればいいか、、、
子供たちも混乱しているようで、、、」
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子供たちの母親が亡くなった、という父親の言葉を聞いたあと、、、あなたはこの父親に対して、どう思いましたか?
母親がなくなったことを聞く前と聞いた後では、気持ちに大きな変化があったんじゃないでしょうか?
この話は、世界的なベストセラー著書「7つの習慣」に出てくる話の1つです。
(少し要約しました)
僕は正直、子供たちの母親の死について聞く前は、この父親に対して、、、
「なんやねん、こいつ。注意しろよ」
と思っていました。
ですが、母親の死について知ると、注意しろという気持ちは一切なくなって、、、悲しい気持ちというか、注意しろと思っていた自分が恥ずかしいというか、、、なんとも言えない気持ちになりました。
きっとあなたも、似たような感じがしたのではないかな、と思います。
子供たちが騒いでいるのに注意をしない父親。
この父親の行動は、僕たちが「母親の死」を知る前と知った後で、なにも変わっていません。でも、僕たちの父親を見る目は「母親の死」を知っているか、知らないかで、まったく違うものになってしまいましたよね。
この話の教訓は、見ている側の視点が変われば、見ているモノが同じでも、見え方が180度変わってしまう、ということです。7つの習慣では、この見ている側の視点のことを「パラダイム」と呼んでいます。
このパラダイムというのは、心のメガネみたいなもの。常識や自分の価値観という心のメガネを通して、人は物事を見ている、というような感じです。
この父親の話でいうと「母親の死」を知る前は「他人が迷惑に感じていても気にしない。子供を注意しないダメな父親」という風に無意識で考えていたのでしょう。だから、注意しろよ、とかそういう印象になったわけです。実際はそういうことではなかったのですが、深く考えることなく、無意識にそう感じていたのです。
同じものを見ていても、まったく違うように見えてしまう。これがパラダイムの力です。
マーケター、セールスライターの仕事は商品を売ること。社長にとってのいちばん重要な仕事も商品を売ることだと、僕は思います。
ですが、とても残念なんですが、、、僕たち商品を売る人間は、普通、好かれていません。営業マンなら、1日に何度も断られる経験をしているのが普通でしょう。その原因のひとつに、、、
・営業マンは自分のためだけに、人に商品を売ろうとしているんじゃないか…
・忙しいときにもお構いなしで、時間を奪おうとしてくる。自分の利益のためだけに…
・質の悪いものでも、ムリヤリ売りつけようと思っている…
と、思われているということがあります。どうせ金儲けだけが目的でしょ、みたいなパラダイムで見られているという感じですね。(ちなみに、これは広告にも同じことがいえます。どうせ売るのが目的でしょ、という話ですね)
実際、売り込みを受けるときに、営業マンの話を親友からの話のように耳を傾けて聞き、内容を全面的に信頼していたら、時間がいくらあっても足りないですし、商品を買いまくってしまいお金がすぐになくなってしまうでしょう。なので、お客さんはこのパラダイムを持つことで、自分を守っているわけです。逆に言えば、もし、このパラダイムがなければ、セールスをすることがかなりカンタンになるわけですが、、、
僕たちが、お客さんにとって本当に役に立つ商品を売る時にも、このパラダイムは力を発揮します。つまり、基本、問答無用で邪魔モノ扱いされるわけです。なので、このパラダイムを乗り越えない限り、売るのはとても難しくなってしまいます。
じゃあ、お客さんが持っている「どうせ金儲けだけが目的でしょ」というパラダイムを変えたり、弱めたりするためには、どうすればいいのか?
その方法のひとつが、あなたがビジネスをやっている本当の理由をきちんと伝えること。子供を叱らなかった父親の話で言うところの「母親の死」にあたるようなことを、お客さんにきちんと伝えることです。もう少し詳しく説明すると、、、
きっとあなたはお金儲けだけが目的で、そのビジネスをしているわけではないと思います。数あるビジネスの中から、そのビジネスを選んだ理由がきっとありますよね。
たとえば、ちょっと前に聞いたことがあるのが、ある整体師の方の話。
その方は、確か昔スポーツをやっていたんですが、大きな怪我をしてしまったそうなんです。そして、その怪我が原因になって、泣く泣く現役を引退せざるをえなくなってしまった。でも、現役を引退した後、ある整体法に出会って、やってもらったら、怪我をしたところの調子がとてもよくなったそうなんです。
そのときに、この方はこう思ったんです。
「もし現役時代に、この整体法があることを知っていたら、引退せずに済んだかもしれない。自分のように、この方法を知らないばっかりに引退しないといけない人をこれ以上増やしたくない」
そんな気持ちで、整体師になったという話を聞いたんです。
あなたが、この整体師の方のお客さんや見込客だったとして、この方が「引退をしなければいけないとわかったときに、どんな気持ちだったのか?」ということや「今までどんな人たちをその整体法で救ってきたか?」といったことを詳しく聞けば聞くほど、単に金儲けだけが目的でやっているという風に感じることはなくなってきますよね。
理由はカンタン。
それが、本当の理由だからです。この方は、お金儲け以外の目的を持ってビジネスをやっているからです。
他にも、アメリカから日本に進出して約10年で全国1400店舗、60万人の会員を獲得した、フィットネスクラブのカーブス。この会社も創業者のゲイリー氏が幼いころに糖尿病で母親を亡くしています。そして「母のような人を助けたい」という想いから事業をスタートし、約10年で世界約80カ国に展開し、世界最大のフィットネス・チェーンにまで、急成長しました。
「母のような人を助けたい」という想いの通り、女性専用のフィットネスクラブ。手軽に通えるようにするためお風呂などがないシンプルな設備で、住宅街や商店街の外れなどの通いやすいところに小さな店舗を出す。そして、1日30分で健康を維持できるようなプログラムを提供しています。
こういう想いとそれをしっかりと実現しているということを見ると、お金儲けのためだけにビジネスをやってるわけじゃないんだな、ということがわかりますよね。
もちろん、お金を儲けることは大切です。生活していかなければいけないですし、ビジネスを続けていくためにもお金が必要です。商品やサービスをよりよくしていくためにもお金が必要になります。
でも、僕がたくさんの社長さんと話をさせてもらった経験からすると、純粋にお金だけが目的でビジネスをしている人は少ないんじゃないかな、と思います。多くの社長さんは売っている商品のことが好きだったり、この商品を使ってもらった方がお客さんにとっていいんじゃないか、といったことをよく聞くからです。
それに、あなたの商品やビジネスのファンになってくれる人は、こういう想いみたいなところに共感してくれる人が多いのではないでしょうか。もちろん、商品やサービスの質がいい、ということが大前提ですが。
・あなたが商品・サービスのことが好きなら、なぜ好きなのか?
・なんで、数あるビジネスの中で、そのビジネスを選んだのか?
・お金以外であなたがそのビジネスをやる理由は何なのか?
それをお客さんに伝えてください。ホームページとかで公開するとなると、ちょっと恥ずかしいかもしれないですけど。
でも、ひとつ注意があります。
これはとても強力な方法なのですが、嘘をついてはいけません。まあ、長い目で見れば間違いなくバレてしまって、信用を失う事になりますので。
恥ずかしいかもしれませんが、あなたの超個人的なこと、本当のことを話してみましょう。きっとあなたのお客さんには伝わるはずです。
PS.
ちなみに、僕たちマーケター、セールスライターは売上を上げ、お金を稼ぐことが仕事です。でも、当然ですが、お金を稼ぐことだけが目的ではありません。世の中にあるいい商品の魅力を伝えることで、たくさんの人に商品を使ってもらって、喜んでもらうこと。これが目的です。
なので、高い報酬を払うから、いい商品じゃないけど売ってくれ、、、という甘い儲け話(こういう話、よくあるみたいなので)には、気を付けて下さい。
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