From:寺本隆裕
・なぜ、女の子向けアニメ「プリキュア」は大ヒットしたのか?
・マーケティング成功の秘訣
・売れる商品の作り方 2010
子供を持つ親なら、「プリキュア」のことは知っているでしょう。子供を持っていない人でも、常にマーケティングで頭がいっぱいのレスポンス読者なら、この大ヒットの話を聞いた事があるでしょう。
プリキュアは日曜の朝やっている、女の子向けアニメです。僕の子供は男の子(隆星・りゅうせい 3歳)ですが、日曜の朝の番組は、「戦隊もの」→「仮面ライダー」→「プリキュア」と流れていくので、その流れでなんとなく見ています。
内容は、普通の女の子が「プリキュア」に変身して、パンチやキックや武器(?)を使って悪者をやっつけていくという、戦隊ものの女の子バージョンみたいなもの。「女の子向け」のアニメといえば、それまで、学園モノのラブストーリーなどがイメージだったのに、このプリキュアは違います。男の子を悪者から助けるような、「強くて活発な」女の子が主役です。
その大ヒットアイディアのヒントはどこから来たのか?
プリキュアを見るターゲット層である、小さい女の子たちを調べる中にヒントがありました。彼女達を調べると、その頃の女の子は、体格も力も男の子とほとんど同じ。遊び方も、男の子にまじって走り回ったり、戦隊ものごっこをしてみたり。。。結果、「女の子版戦隊もの」がヒットする可能性が高い事がわかりました。そうして生まれた企画コンセプトは「女の子だって暴れたい」です。
更に、加えた工夫
女の子向け、ということで、工夫も加えました。例えば、顔面への攻撃はしない。攻撃の衝撃は、敵やプリキュアが大きく吹っ飛んだり、吹っ飛んでぶつかった壁が衝撃で崩れたりすることで表現する。などです。プリキュアのアニメを見せる親としては、娘がパンチやらキックやらを覚えたら大変ですからね。最終的にプリキュアに「お金を払う」親にもウケがいいように、そんな工夫が加えられているそうです。(余談ですが、オタクではなく、純粋に女の子に楽しんでもらうために、できるだけ水着姿などの絵は使わず、「レギンス」をはいて、激しい動きでも下着が見えないように考慮しているそうです。)
そうして子供にも親にも指示を得た結果、プリキュアがアニメの中で使っているアイテムや、なりきり衣装、キャラクターなど、多くの商品が売れています。こうして大ヒットとなり、2004年からスタートしたシリーズは今年で7年目。セーラームーンの放送期間5年を超えています。
「マーケティングって、こうやってやるのか!?」
by 神田昌典さん
神田昌典さんも、仮面ライダーはめちゃくちゃマーケティングの勉強になる、とCDか何かで言っていましたが、こういった子供向けのものから、マーケティングに関する学びがとってもたくさん得られる事に気づきます。例えば:
・新しい商品
プリキュアは、「ふたりはプリキュア」「ふたりはプリキュア Max Heart」「ふたりはプリキュア Splash Star」「Yes!プリキュア5」「Yes!プリキュア5 Go! Go!」「フレッシュプリキュア」「フレッシュプリキュア!」「ハートキャッチプリキュア」などなど、毎年タイトルが変わっているそうです。
「ふたりはプリキュア」の続編として「ふたりはプリキュア Max Heart」が制作されたのですが、その次の「Yes!プリキュア5」は、主人公を含む登場人物、シチュエーションなどが一新されています。さらに、「Yes!プリキュア5」レッシュプリキュア」「フレッシュプリキュア!」「ハートキャッチプリキュア」と変わるごとに、メインキャラクターや設定が全部新しくなっています。
プリキュアの人数も毎回バラバラ。変身するために使うアイテムや武器も、毎回変わります。そして、それに合わせて、販売されるおもちゃも変わります。
毎年毎年新しくなるので、ずっと女の子の興味を引き続け、欲求をわかせる事ができるわけです。ついでに言うと、物語の中で「新キャラクター」が登場すると、すかさずその新キャラに関する商品が発売されます。
新しい = 売れる!
あなたが「最近買ったもの」を思い出してみて欲しいのですが。。。
その最近買ったものの中で、2年以上前から販売されているものはどれくらいありますか?僕が買ったもので2年以上前から販売されているものは、、、本、日曜消耗品、、くらい?しばらく考えたけど、それくらいしか思いつきませんでした。あとは、ここ最近発売されたものばかり。トイストーリーのおもちゃ、新刊本、雑誌、服、靴、教材、など。
あなたも多分、似たような感じじゃないでしょうか?実際、マーケターである僕らとしては、長期間ずっと売れ続ける大ヒット商品を作りたい、という思いがありますよね。でも、実際それは相当困難です。
詳しい事は忘れましたが、ある大企業のデータでも、売上の95%はここ2年以内に開発された新商品だった。ということもあるようです。会社ややっているビジネスによって違いはあるでしょうが、「新しいもの」が売上を支えている、というケースは多いんじゃないでしょうか?
プリキュアはこの点で優れています。なぜなら毎年、キャラクターが入れ替わるため、それに合わせて開発される商品は当然「新しい」わけです。(ストーリーはほとんど同じ、であることに注目!)。ちなみにコレは、仮面ライダーだろうが戦隊ものであろうが、同じです。毎年新しいヒーローと、それに合わせた商品が売られるのです。
そしてこの戦略で、プリキュアの毎回(毎年)の玩具売上は、ほぼ100億円を超えています。
・見込み客からマーケティングをスタートする
商品があって、それを売ろうとしたというアプローチではありません。
まず、見込み客=女の子の関心事をリサーチして、番組(=コンテンツ)を作っています。そしてそれに合わせて商品を作っているというわけですね。
商品が先にあって、売り方が後にあるわけではありません。まず、買う人を探して、欲しがっているものを売っているのです。
また、「価値ある」コンテンツ(=番組)を見せること、そのものがマーケティングになっています。見込み客が番組を見れば見るほど、商品が欲しくなるのです。しかも、マーケティングに関わる事(=番組を見る事)そのものに価値があります。
これは見込み客が「自分から望んで、積極的にマーケティングに関わっている」ということですから、このやり方を自分のビジネスに使えないか、僕らももっともっと研究する価値がありそうですね。
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