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怒られました…

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From:昌子幹

From:昌子 幹

「いいかげんにしなさいよ!」

ある日の夕方、僕が家でくつろぎならビールを飲んでいると、妻が突然怒り出しました。前回の記事で、僕がジムに行くたびに、ご褒美としてビールを自分にごちそうしていることをお話しました。ですが、当たり前の話ですが、そんなことを続けていると妻に白い目で見られるわけです。「いったい、あなたは何のためにジムに通っているのか?」と。

「それはビールをおいしく飲むためです」などと言えば火に油を注ぐことは明らかです。かといって、こちらとしてはビールをあきらめる気などさらさらないわけです。ビールの飲めないジム通いなど、僕にとっては単なる拷問でしかありませんからね。

ここは何としてでも妻を説得せねばセールスライターの名が泣きます。なんせ心理トリガーのセミナーの講師をやってるぐらいですからね。ど素人の妻を説得することなど赤子の手をひねるようなもんです。「頑張って毎日飲んでね」とは言わないまでも、「だったら、まぁ飲んでもいいよ」くらいは言わせてみようじゃありませんか!

そこで僕が使ったのがマーケティングやセールスコピーでよく使われる、とあるテクニックです。そのプロセスは、、、

ステップ1)相手は何に価値を感じるのか?

まずは敵、いえ相手のリサーチです。そもそも妻はアルコールをほとんど飲まないので、ジム終わりのビールのおいしさを知りません。ビールそのものに価値を感じていないどころか、彼女にとっては百害あって一利なしの無用の長物でしかないのです。これではあまりにも分が悪すぎます。

健康にいいとは言わないまでも、せめてジュースなどのソフトドリンクであれば敵、いえ妻もああまでうるさくは言わないはずです。では、彼女にとって許容範囲内のカテゴリー、あわよくば毎日勧めたくなる健康ドリンク的なカテゴリーにビールを入れることはできないか?

ステップ2)その商品の最大の特徴は何か?

そこで、次に行ったのが商品(つまりビール)のリサーチです。缶に表記された原材料を調べると、そのほとんどが麦芽とホップ、そして水からできていることがすぐに分かります。なるほど。麦芽は穀物、ホップは植物なのでそれ自体は健康に悪い印象を与えるものではありません。水については言わずもがなです。

では、それらの原材料はどんな製造プロセスを経てビールになるのか?ググってみたところ、ちょっと面白いことがわかりました。

簡単に言うと、ビールは原材料を煮詰めてから酵母を加えて発酵させるのですが、この発酵の過程で糖分がアルコールと二酸化炭素に分解されます。そして、ビールに限らず日本酒もこの発酵の過程で口に含むと炭酸を感じるそうなのです。日本酒が炭酸を感じないのでは、その後の過程で炭酸を抜くからで、ビールの場合は炭酸をそのまま、あるいはさらに炭酸を加えることによってあの泡だつおいしそうなビールが出来上がるわけですね。

このことから、ビールの最大の特徴はその原材料である麦やホップ、そして炭酸にあることが分かりました。つまり、言い方を変えればビールとは「麦からできた炭酸飲料」とも言えるわけです。

##ステップ3)同じ特徴を持つ別の何かに置き換える

炭酸飲料と言われて思い浮かぶのがコーラやサイダー、レモンスカッシュなどのソフトドリンクです。そうです、原材料が違うだけで、ビールだってこれらのソフトドリンクと同じであると言えなくもないのです。ここまでくるとゴールはもうすぐそこです。これを一言で表すインパクトのあるネーミングはないか?いくつか書き出したネーミングから僕が最終的に選んだのがこれです、、、

命名:『麦芽スカッシュ』

いかがでしょう?あたかもソフトドリンクのような響きを感じませんか??少なくとも、アルコールとは思わないですよね???しかも、麦芽という言葉によって、ひょっとすると健康的に感じる人さえいるかもしれません。。ま、出来はともかく、、、(汗)

実はこれマーケティングやセールスライティングでよく使われるテクニックのひとつで、「置換」とか「変質化」と呼ばれる方法です。ま、呼び方は何でもいいのですが、要はある商品を、同じ特徴を持つ別の何かに置き換えるわけです。

今回の例で言うなら、ビール→麦芽を原料とした炭酸飲料→麦芽スカッシュ、といった具合です。でも、なぜそんなことをする必要があるのか?

平凡な商品を他とは違う魅力的な商品にする置換テクニック

人間の脳には「無条件整理」という機能があります。これは、人が「今までに見たことがある」というように感じると、無条件でその情報を同じようなカテゴリーに入れて、それ以上注意を払わなくなるということです。なぜそんな機能があるかというと、情報過多の今の時代に、それらをいちいち気に留めていたら脳がパンクしてしまうからです。

例えば、世の中に投資情報というのはあふれかえっていますよね。とりわけ投資に興味のある人なら、あの株を買った方がいい、この株が狙い目といったことを毎日にように聞かされています。そんな人たちに「新しい投資情報がありますよ」と言ったところで脳の無条件整理によって誰も見向きもしてくれません。

そこで活躍するのが置換テクニックです。置換テクニックを使って、別の何かに置き換えることで、どこにでもある平凡な商品を他とは違うと思ってもらえるだけでなく、さらに魅力的に感じてもらうことさえできてしまうのです。

このテクニックはとても効果的で、実際、世界のトップライター達も好んで使っています。特に、見込客がある言葉を聞き慣れてしまって、誰の注目も集められなくなってしまった時に効果的です。(見込客が聞き慣れてしまっているものというのは、たとえば、インターネットでよくあるものでいうと「主婦が片手間で、、、」とか「せどりで、、、」とかです)

配当金=印税収入?

例えば、あるセールスライターが書いた投資のセールスレター。このときにこのセールスライターは誰の注意も集められなくなった「配当金」という言葉を「印税収入」に置き換えることで多くの見込客の注意を引くことに成功しました。

ポイントは配当金ではなく「印税収入」と言っているところにあります。配当金というのは、投資家が投資したお金を使って起業家が事業を起こし、その結果上がった利益の一部を投資家に分配することです。が、これは見方を変えれば本やCDなどの売上から入る印税と同じ特徴を持っていると言えます。

投資家にとって「配当金」は聞き飽きた言葉でしかありませんが、「印税収入」という言葉は新鮮で、しかも自動的にお金が入ってくるような魅力的な響きがあります。その結果、多くの人がこの広告に反応したというわけです。これがもし、「500倍のリターンを得る投資方法」だったら、この広告はそれほど成功したでしょうか?

このように、平凡な商品でさえも他とは違う魅力的な商品に見せてしまうのがこのテクニックの最大の効果です。さて、このテクニックを使って、あなたの商品をお客さんにとって新鮮で、より価値を感じる商品に見せることはできませんか?一度考えてみるのもいいかもしれませんね。

-昌子 幹

P.S. 
後日、『麦芽スカッシュ』を実際に使ってみました、、、


「またビール飲んでる…」


「いや、実はこれビールじゃないんだよね」


「じゃあ何なのよ?」


「これはね、、、”麦芽スカッシュ”だよ(どどん!)」


「はぁ!???(怒)」

・・・その後しばらく妻に説教されたのは言うまでもありません。どうやら使い方を間違っていたようです。。テクニックを使うときは正しい場面で、正しい目的で使うようにしましょう。

昌子 幹

BtoBからBtoC、国内から海外に至るまで15年以上にわたって営業とマーケティングの経験を積む中、ある時ダイレクト・レスポンス・マーケティングとセールスコピーの重要性に気づく。独学で勉強を進める一方、当時たまたま募集をしていた小川忠洋主宰のセールスライターを養成するコーチングプログラム「パートナー養成講座」に参加。その4カ月後にはセールスライターとして最初の仕事を獲得し、会社に勤める傍ら副業で活動を開始。間もなくセールスライターとしての仕事が急増し、収入も本業を大きく超えたためセールスライターへと完全に転身。現在は【ザ・レスポンス】でプロモーションの企画とセールスライティングを担当。

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