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この商品、売る勇気ある?

2016.4.4 | ,
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From:寺本隆裕

大阪のプライベートオフィスより、、、

ある会社の役員会議にて。

新商品の企画が担当者から発表されました。
その場にいた役員は全部で15人。

うち14人が「こんな商品、誰が買うんだ」とあっさり反対。企画は絶望的と思われました。

というのもこの商品。
折りたたみ式のキーボードにモノクロの液晶画面がついただけのもので、ネットにつながる機能もなければ、ソフトやアプリをインストールすることもできない。

できるのは単にテキストを入力することのみ。

多くのビジネスパーソンが軽くて高性能なノートPCを持ち歩いているこの時代において、あまりにも時代遅れに思われたからです。

でも、15人中たった1人の役員が「素晴らしい。これは待ちに待っていた商品だ!」と大絶賛。
結局その商品は議論の末、開発&発売が決まりました。

実際に発売されると、、、
すぐにライターや記者など、テキストを書く仕事をしている人たちの間で大人気になったのです!
その商品。文具メーカーの「キングジム」が開発した「ポメラ」という電子メモ帳。

「ポケット・メモ・ライター」の頭文字をとってポメラです。
その名のとお りテキストのライティング以外の機能は一切なし。
そのかわり、単4電池2本で動き、2秒で起動して20時間以上の連続使用ができる。

ポメラは結局、1年間に10万台以上が売れる異例の大ヒット商品になりました、、、
誰にでも好かれるような商品ではなく、ごく一部の人にしか必要とされないけど、でも一方で、その一部の人には熱狂的に支持されるようなものを作り出したこと。

これがポメラヒットの理由だと言えるでしょう。

まさに、「誰に」「何を」売るのか?を考え、既存のものの組み合わせで新しい価値を生み出した、マーケティングの成功事例です。

誰に、何を売るのか?

どこに需要があるのか?その需要をどんな商品やサービスなら満たせるのか?
我々マーケッターは常に、このことを考え続けなければいけません。

たとえばハイチオールCという飲み薬。
今はCMとかでも「シミ」に効くということで有名ですが、これは元々、中高年のおじさん向けの二日酔いに効く薬として販売されていたものです。

肝臓に作用する成分が実は二日酔いだけじゃなくシミにも効くということで、「誰に」「何を」の部分の「何を」は変えず、「誰に」を二日酔いのおじさんから、シミを消したい女性に変更して大ヒットとなりました。

また、自分が市場を正しく捉えられているかということも、頻繁にチェックと振り返りが必要です。

たとえば今までうまく行っていたものがうまくいかなくなる…ということがあれば、それはマーケッターとしての自分の市場認識が実態とずれてきている、ということを意味しますし、、、

逆に、なぜかわからないけどうまくいった、とか、意外なものが反響を読んでる…
ということがあれば、またそれも自分が捉えきれていなかった市場の変化だということを意味します、、、

たまに「ウチの商品、買った人がこっちの売り手の意思とは違う使い方をしちゃってて…」みたいなことがありますが、まさにこれが新たなビジネスチャンスの種だということです。

どんな商品も、どんな業界も、今、売れてるものがずーっと売れ続けるなんてことはありえません。
だからこそいつも市場の動向に目を配り、自分の認識とのズレに気を配らないといけません。

高収入の職業の代名詞でもある「弁護士」(そしてかつては実際に弁護士=高収入であった)ですら、コモディティ化しています。

高いお金と時間を投資し猛勉強して「資格」を手にしても、、、
周りを見ると同じような「猛勉強した資格保持者」がゴロゴロいるわけです。

そんな状況で「困ったことは何でも相談してください」なんて何も考えないマーケティングをやっちゃった日にゃ、、、問い合わせなんて全然来ないか、相見積もりされて安いところに取られて終わりです。。。

「誰に」「何を」売るのか?を考えず、その他大勢の人や同業者がやっていることと同じことをやっている限り、価格が下がり続けるコモディティにしかなりません。

士業だけでなく、整体師や歯医者などの治療業界など、顧客や患者さんから「先生」と呼ばれるような人たちでも、コモディティ化が深刻です。

そのような状況で、つまり売り物も売り先も同業者と同じで、セールスコピーライティングの「文章」だけを頑張っても、まぁ結果の差は大して出ないでしょう。

出たとしても、 その本当の理由は競合が弱いことによる「ラッキー」に過ぎません。
当然のことながら、その差は遅かれ早かれなくなってきます。
(なのでその状態で下手に 「値上げ」なんてしてしまったら、、、近い将来、恐ろしいことになりますね…)

マーケッターとしてのあなたの勇気は?

右に倣えで同業者と同じように、同じものを、同じような人に売る、というのは、心理学的には非常に安心感のあることです。

真っ暗なトンネルの中で爆発音がして、みんなが左に逃げてるのに、自分だけ右に逃げるのは相当な「恐怖」を伴います。

でも、人と同じことをして、人と違う結果を得ることはできません…

であればマーケッターは、、、
特にこのレスポンスを読んでいるあなたのようなマーケッターは、、、

人と違う、同業者とは違う、どこか別の道を進むと決めなければいけません。

もちろん、先のことなど100%の確証は持てません。

できることといえば、先にどこにどんな落とし穴(リスク)が隠れているか?を出来る限り調べておくことと、そのリスクのマネジメントをすることくらい。

それが成功するかしないかは、確率の問題です。
でも、最大のリスクは、周りの人や同業者がやっていることと同じことをやって、同業者と一緒に沈んでしまうことだということは忘れてはいけません、、、

我々マーケッターは、「決める勇気」を持たなければいけません、、、

寺本 隆裕

ダイレクト出版取締役。セールスライター兼マーケター。クライアントのためにセールスライティングを請け負う場合、プロジェクト1件で、一流企業のエリートサラリーマンの年収を軽く超える額をチャージ。さらにそこから売上からのロイヤリティがかかる。これほど日本で最高クラスの料金設定にもかかわらず「書いてください」という人が後を絶たない。著書には『ウェブセールスライティング習得ハンドブック』『ダン・ケネディから学ぶ「稼ぐ社長」の作り方』(集英社)がある。

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