From:ダン・ケネディ
顧客のクレームに対して、うまく対応する方法についてお話ししましょう。クレームにうまく対応するための5つのガイドラインを実際に見ていく前に、目を通しておくべき基本的な考え方がいくつかあります。
その1つは、あなたや会社内の誰かによるミス、または会社が販売する商品の製造業者によるミスそのものは、顧客との関係にそれほどいつまでも悪影響を及ぼすわけではないということです。ミスは起こるものなのです。
何年も前、連邦政府の国防総省や業界でよく見かけた流行語は、「欠陥ゼロプログラム」でした。素晴らしい響きの言葉であり、やりがいはあるでしょうが、常に達成できることではありません。何らかのエラーは起こるものなのです…
判断ミス、行動のミス、サービスのミス、商品の製造や組み立て過程のミスなどです。
誤解しないでください。低品質を擁護しているわけではありません。高品質であるべきだと心から思っています。
ただ、それと同時に、私たちは「高品質と完璧の違い」を認識すべきだと思うのです。ミスは起こるもので、それが顧客の不満足を生み、誰がミスをしたかに関わらず、あなたはこの不満足な顧客に対応することになります。
ところで、この時点では、誰がミスをしたかということは顧客にとって関係ありません。特にこの時点では、以前の投稿で話したように、あなたが会社そのものなのです。
ここで重要な考え方は、ミス自体は会社に打撃を与えるものではなく、顧客のクレームにどのように対応したかが会社に影響を与えるのだということです。
言い換えれば、不満足な顧客に対応するという交渉術が成功するか失敗するかによって、その顧客を維持できるか失うかが変わってくるということです。
実際、多くの場合、クレームのある顧客に対して献身的で有能な顧客サービス交渉術者が見事に対応すれば、その後は好ましい顧客に変わります。
ですから、顧客のクレームに対応することは、仕事上の職責として捉えると同時に、顧客との関係を向上させる機会にもなるのだと捉える必要があります。
顧客のクレームに関する基本的な考え方について、2番目に考えてほしいことは、顧客が激怒するレベルは、たいてい、あなたや会社にほとんど関係ないということです。
通常、いらだちや欲求不満、ストレスの蓄積が反映されるものです。顧客とあなたの会社の間に起こった問題は、「最後のワラ1本がラクダの背骨を折る」ということわざにあるワラ1本に過ぎません。(訳注:ラクダに荷物を限界まで背負わせているときに、たとえ一本のワラのように軽い物でも載せてしまうと、ラクダの背骨が折れてしまい、結局はすべての荷物が運べなくなる、、、つまり、限界を超えた状況では、ほんの些細なことが大事故を引き起こす原因となるということ)
映画“Heartburn”(邦訳:心みだれて)では、ジャック・ニコルソンがメリル・ストリープに対して不満をぶちまけて怒鳴り散らし、メリル・ストリープはついに泣き始め、涙ぐみながら「なぜ私に怒鳴っているの?」と聞きます。ニコルソン演じる男性は一瞬考えてから、正直に答えます。「ここにいるのはきみだけだからだよ。」
焦げたトースト、交通渋滞、オフィスでの問題、駐車違反切符などに対する怒りの矛先を向けられることもあるでしょう。
顧客とあなたの会社の間で本当に些細なことが起こり、その顧客のストレス許容レベルが限界を超えてしまうのです。そのときは、あなた個人を攻撃しているわけではないと理解する必要があります。また、顧客の怒りの本質を理解して共感し、クレームの原因の矛先を顧客に向けない必要があります。
“Life Is Tremendous”(仮邦訳:人生は素晴らしい)という本の著者で、やる気を起こさせるのがうまくユーモアのあるスピーカー、チャールズ・“Tremendous”・ジョーンズは、航空会社が彼の手荷物をあまりにも頻繁に紛失するので、紛失は当たり前だと思うようになったという話をしていました。
彼は飛行機が着陸すると同時に、紛失した手荷物のことを考え始め、イライラし始めるそうです。そして、手荷物受取所に向かって歩きながら、また手荷物を紛失した無能な係員のことを考え、本気で怒り始め、、、手荷物受取所に着く頃には、スーツケースが出てこないことを確認しようと急ぎ足になったそうです。航空会社の係員に本気で文句を言ってやるために。
ところが、彼の荷物は受取所にありました。しかし、そもそも何も問題がないのに本気で怒らせたということに対して、本当に頭にきたと話をしていました。
チャーリーのように、あなたの顧客のクレームもどちらかといえば些細な問題から始まっている可能性があります。しかし、あなたに会うまでには、過去に起きた問題と、その問題に対応した人ひとりひとりの記憶を思い出しながらイライラし始めています。
顧客は大げんかに備えてやってきます。顧客はけんか腰なのです。
【ザ・レスポンス】の最新記事をお届けします