From:寺本隆裕
大阪のプライベートオフィスより、、、
少し前にネットで話題になった記事があります。
イギリスのカフェに入った一人の女性客が「1杯のお湯を頼んだら、こんなに請求された。ボッタクリだ!」と口コミサイトに怒りの投稿をしたところ、店長が「説明しましょう」と反論。するとネット上で「店長の切り返しが見事だ!」と話題になった、というものです。
経緯はこんな感じ。
ハンナという金欠の女性客が友人とカフェに入る
↓
1杯のお湯と1枚のレモンスライスを注文
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2ポンド(約330円)の請求を受ける
↓
もっと安いと思っていた彼女はウェイターに文句を言う
「何でただの水がこんなに高いのか!」
↓
ウェイターはイラついた態度で「レモンスライス1枚のコストは1人分のお茶(2ポンド)と同じだ」と回答
↓
ハンナ「ぼったくり!二度と行かない!」と口コミサイトに投稿
↓
カフェの店長が口コミサイトで反論
「あなたがカフェに入ると、ウェイターが席に案内し、メニューを渡し、
オーダーを受けて…(と店員の仕事を1つずつ説明)
さらにお店を経営する上で、
家賃、光熱費、銀行手数料などの諸経費がかかります(1時間あたり27.5ポンド)。
さらに、人件費もかかります。
従業員一人ひとりにはきちんと給料を支払わなければいけません。
有給休暇、保険料、開店閉店作業なども含めて、
人件費は1時間あたり12.5ポンドほどです」
↓
「レモンスライスの原価のほかに、
ハンナさんへの2~3分の接客には
1.6ポンド~2.4ポンド(約260~390円)必要です」
↓
「お店のサービスをタダで受けられて当然というあなたの厚かましい思い込みを感じて、
私たちの接客も失礼になったのでは」と反論を締めくくる。
というようなやりとりです。
あなたはこのやりとりについて、
どう思いましたか??
店長お見事!って思いました?
客が厚かましい!って思いました?
それとも、客が正しい!って思いました??
ネット上では「店長お見事!」の意見が多いようですが、、、
僕はこれを読んで、恐らくおおかたの人たちとは逆の意見でした。
つまり、この店長アホちゃうか?ってことです。
まぁ、計算上はわかりますよ。
こんくらいのコストがかかってるんだから、こんくらいの料金をチャージしてしかるべきだ。
ということですよね。
でも、顧客が支払うのは、本来、その商品にかかっているコストがいくらだ、ということとは全く関係なく、その商品に顧客が感じる価値がどれくらいか?ということについてだからです。
この店長のコスト中心のロジックだと、たとえば全100室のホテルがあったとして、今日は10室しか埋まってないから、その100室を維持するコストと人件費を、10室の顧客で賄おう。と言ってるのと同じこと。「だってそうしないと従業員は食っていけないでしょ?」ってことです。
逆で考えてみると、、、
たとえばセールスコビーライターが、クライアントにセールスレターを書いてあげる場合。
それにかかる「コスト」は微々たるものです。Macの電気代。ライティングの時に使ったスタバのコーヒー代。交通費。リサーチのために購入した本。くらいでしょう。たとえば5000円だとします。
だから、そのセールスレターは「7000円」
・・・とはならないはず。
そのセールスレターがどれくらいの売上や利益、顧客をクライアントにもたらすのか?その価値によって、価格は決まるはず。もしそのレターのおかげで+1億円の利益が上がるなら、100万円でも200万円でも安いわけです。一方、そのセールスレターが何の成果も上げなかったら、1000円でも高いわけです。
ライターがそのライティング作業にどれくらいの時間(つまり時給)がかかったのか、も、関係ありません。100時間かけようが、2時間かけようが、その価値はその成果物からどれくらいのリターンがあるのか?が全てです。
セールスライティングの世界には、
「顧客リストはあなたのセールスレターの鏡である」
という言葉があります。
つまり、顧客はあなたのセールスメッセージを見て、あなたの顧客になるかどうかを決めている。だから、顧客の「質が悪い」と言っているのは、自分の発信しているメッセージが悪い、ということを意味している、ということです。
このカフェの場合でも、そんな「厚かましい」利用をしてほしくなければ、店構えや価格設定、人材教育やマーケティングなど、あらゆる顧客から見える「メッセージ」を改善し、そういう客が寄り付かないようにすればいいだけの話。
・気軽に入って気軽にお湯を頼める大衆のカフェなのか?
・入るのもはばかられるような高級なカフェなのか?
・高級志向だけどアットホームな雰囲気もあって、気軽にお湯を頼んでもいいカフェなのか?
(その場でお湯にチャージしてコストを回収する代わりに「あのカフェとても親切だよ」という評判を「買う」こともできるはず)
結局それは、売り手の発するメッセージで決まるわけです。
このカフェの店長にはダン・ケネディを学ぶことを強く勧めたいですね。また次、同じようなことがあったら、同じようなことをして「客のせい」にするんでしょうか。
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