From:ダン・ケネディ
From:ダン・ケネディ
難しい人々を相手にする場合のステップ#1
一つ目は次の通りです。
#1: 決して顧客と喧嘩しないこと。
こんな古い諺があります。
お客と喧嘩しても勝ち目はない。
お客には「今後永遠に他の店で買い物する」という究極の最後の台詞があるのだから。
さらに、お客はたとえそのクレームが理屈に合わないものだとしても、
ベター・ビジネス・ビューロー(消費者市民団体)、
カスタマー・アクション・ライン・サービス(顧客支援サービス)、
地元新聞社やテレビ局と提携した団体、
さらには、検事当局に訴えることもできるのです。
それがたとえ根拠の無いクレームであっても、その対応には時間とお金がかかり、あなたの会社の体面を傷つけます。そのようなコントロールできない状況に関わることは、あなたにとって何の得にもなりません。
顧客と喧嘩をすれば、必ずと言っていいほど顧客の怒りは大きくなってしまいます。
喧嘩腰で議論しても、お互いの敵意がエスカレートするだけです。そして、そのように憎しみをエスカレートさせたら、結局あなたが損をすることになるのです。
子供を相手に、大声で怒鳴っているお母さんを見たことがあるでしょうか?
子供を相手に、大声で怒鳴ってしまったらすでに母親の負けです。子供のレベルまで、自分を引き下げてしまったのですから。
権威という優位性、
成熟という優位性、
母親としての役割の持つ優位性、
さらには、
沈着な態度という究極の優位性、
これらを全てかなぐり捨ててしまっているのです。
顧客を、感情的な議論に追い込んではいけません。
あなたには役割の優位性があり、また、沈着な態度という優位性も持てるのですから。
難しい人々を相手にする場合のステップ#2
#2: 正しさを分からせることよりも、成功することの方がずっと重要です。
何よりも、望ましい結果を引き出すことを最優先しなければなりません。
特に、プライドとか自尊心などといったものにかまうべきではありません。
苦情への対応における望ましい結果とは、顧客の怒りをしずめ、問題を解決し、その顧客を失わないことです。
馬鹿げた苦情を言って顧客に悪かったと思わせても、このような望ましい結果にはちっとも繋がりません。顧客より知識が豊富なことをひけらかしても、このような望ましい結果は得られないのです。
苦情への対応において成功したかどうかは、「ちゃんと教えてやった」かどうかで判断するのではなく、このような望ましい結果が得られたかどうかで判断する必要があるのです。
サクセス・ガイドライン#1、#2について、ちょっとしたヒントを教えましょう。
効果的な台詞はこれです。
「お客様の苦情の内容は良く分かりました。できるだけ迅速にこの問題を解決できるよう、精一杯お手伝いをさせていただきます。」
注目して欲しい点は、お客の苦情に「賛成です」とは言っていないことです。単に「良く分かった」と言っているだけです。
喧嘩をするには2人の人間が必要です。こちらが相手にしなければ、お客もいつまでも怒り続けるわけにはいきません。怒鳴ったり文句を言ったりするうちに、次第に怒りが収まっていくのです。
多くの場合、お客は実際の問題に対して怒っているというよりも、苦情を言うことで喧嘩をしなければならないという強迫観念を持ってしまい、怒りを増幅させているのです。
お客が予想していた抵抗をあなたが示さなければ、お客の怒りは消え去ってしまうはずです。
難しい人々を相手にする場合のステップ#3
#3: アクティブ・リスナー(積極的な聞き手)になること。
理由は2つあります。
一つ目の理由は、苦情対応においては、話すことよりも聞くことの方がずっと重要だからです。
お客としては、途中で話の腰を折られることなく、自分の話を最後まで聞いて欲しいと思っています。
苦情を聞かされる方としては、1分がまるで永遠のように感じられるかもしれませんが、それを我慢するのです。
二つ目の理由は、アクティブ・リスニング(積極的に聞くこと)によって、お客の話に関心を持っていることをお客に分からせることができるからです。
お客の話に心から関心を持ったアクティブ・リスナーとなることで、お客に敬意を持っていることが示せるのです。
お客は自分が大切にされていると感じ、そして、あなたが問題に対処すると約束した時、その約束は信用できると感じるのです。
アクティブ・リスナーになるためにできることはいくつもあります。
有効なボディー・ランゲージ(身振り)を使うこと。背筋を伸ばして座るか、あるいは、身を乗り出しても良いでしょう。時には、うなずいたり、相づちを打ったりして、お客の話を促します。「続けて下さい」とか「良く分かります」などと言うのです。さらには、メモを取るのも有効です。
次回は、サクセス・ガイドライン#4、#5を話します。
次回をお楽しみに。
ダン・ケネディ
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