From:ダン・ケネディ
From:ダン・ケネディ
前回と前々回で、カスタマー・コンタクト(顧客と接する際の)の5つのサクセス・ガイドラインを見てきました。今回は、それを踏まえて、顧客の苦情に対する対応について考えます。5つのガイドラインをあなたの一部にする
#1. 一般の人々にとっては、あなたが、
あなたの会社を代表しているのだということを忘れないようにすること。
#2. 一人一人の顧客に対して、
あなたが親友に対してするように接すること。
#3. カスタマー・ディプロマシーが、常に最優先事項だということ。
#4. 顧客こそが、あなたの将来を左右するのだということ。
#5. カスタマー・サービス・ディプロマシーでは、
常に、更なる「もうひとがんばり」の努力が求められるということ。
この5つの簡単なサクセス・ガイドラインは非常に重要です。これらはあなたを優れたカスタマー・サービス・ディプロマット(外交官)にするお手伝いをするからです。
でも、どうすればいいのでしょう?
これらを何度も復習することで、このガイドラインに合わせてあなたの頭をプログラミングするのです。
5つのガイドラインがあなたの態度や姿勢の一部になるまで、自らに覚え込ませるのです。
そうすれば、ついには自然にあなたの考えや行動に影響が現れます。そして、顧客に対するあなたの対応は変わっていくでしょう。
その結果は、あなたにとっても他の全ての人にとっても、プラスになるものです。
顧客の苦情対応に関して考えておきたいこと
さて、それでは、顧客からの苦情にどうやって上手く対応するかについて、今度は苦情対応についての5つのサクセス・ガイドラインを話しましょう。
サクセス・ガイドラインに入っていく前に、考えておきたい基本的なことが2点あります。
一つは、あなたやあなたの会社の誰か、あるいは、あなたの会社が販売する製品のメーカーが、何かの間違いを犯したとして、そのことであなたと顧客との関係が永遠に損なわれることは滅多に無いということです。間違いは起きるものなのです。
何年も前のことですが、国防省でゼロ・ディフェクト(欠陥ゼロ)・プログラムという言葉がさかんに使われたことがあります。
言葉としては響きの良いものですし、それを目指して努力することは無駄ではないでしょう。しかし、常にゼロ・ディフェクトを達成し続けることは不可能です。どうしても、何らかのエラーが起きてしまうのです。
判断のエラー、
行動のエラー、
サービスのエラー、
製品を製造する際のエラー、
組み立てる際のエラーなどなど。
誤解しないで欲しいのですが、私は、品質が劣悪でも仕方が無いといっているのではありません。優秀であることは素晴らしいことだと思いますが、ただ、優秀であることと完璧であることは別物だということも理解するべきなのです。
ですから、ミスは生じるものなのです。
そして、そのミスが誰のミスであろうと、そのミスによって不満を持つことになった顧客に対し、あなたが対応しなければならないことも起こります。
この時、そのミスを犯したのが誰かということは、顧客にとってはどうでも良いことなのです。
特にこの時点においては、これまでにお話ししたように、あなたが会社を代表しているのです。
ここで重要なことは、ミスそのものによって顧客が失われるわけではないということです。
顧客を失うかどうかは、顧客の苦情をどう扱うか次第で決まります。不満を持った顧客に対応するディプロマシー(外交)が成功するか失敗するかによって、顧客を維持できるか失うかが決まるのです。
実際、献身的で才能のあるカスタマー・サービス・ディプロマットが顧客の苦情に対応したことで、その顧客がその出来事以前よりもさらにお得意様になる事例が多くあります。
ですから、顧客の苦情処理については、単に義務であるとかビジネスや職務の一環だと捉えるだけではなく、むしろ顧客との関係をより良いものにするチャンスだと考える必要があるのです。
考えてもらいたいもう一つの基本的なこととは、顧客の怒りの激しさは、あなたやあなたの会社とほとんど関係が無いということです。
ほとんどの場合、それはイライラやフラストレーション、ストレスがどれだけ溜まっていたかを、反映しているのです。
あなたの会社との間のトラブルは、諺に言うところの「ラクダの背骨を折る最後の1本のワラ」に過ぎないのです。
これは、たとえ最後に載せるのがワラ1本であっても、限度を越えればラクダの背骨も折れるということから、我慢の限界を意味しています。
映画「心みだれて」の中で、ジャック・ニコルソンはメリル・ストリープに対して怒鳴り散らしています。メリル・ストリープはとうとう泣き出してしまい、涙ながらにジャック・ニコルソンにたずねるのです。
「どうして、私のことを怒鳴ってばかりいるの」と。
ニコルソンが演じる人物は、一瞬考えて、正直にこう答えます。
「なぜって、他に誰もいないじゃないか」と。
焦げすぎたトーストや交通渋滞、会社でのトラブル、駐車違反の切符を切られたとか、そんな怒りの矛先をあなたに向けている場合もあるのです。
あなたの会社との間のほんのささいなトラブルが、彼のストレスの許容レベルを超える最後の1本のワラになってしまったのです。
あなたは、自分が怒られていると思わないだけの知恵を持たなければなりません。
顧客の話を親身になって聞き、その怒りの本当の理由を理解し、十分に結果のことを考えて、顧客に反撃したりしないようにしなければならないのです。
カスタマー・サービス・ディプロマットとして成功するには?
「ライフ・イズ・トレメンダス(邦題:「成功おじさん」の最優先ルール)」の著者チャーリー・トレメンダス・ジョーンズは、ユーモアのある講演で聞く人の意欲を喚起するスピーカーです。
彼は、航空会社があまりにも頻繁に彼の荷物を紛失するので、とうとう荷物が無くなる前に、荷物が無くなることを考えるようになったと言います。
飛行機が離陸すると、荷物がなくなることを考えてイライラし始めます。
手荷物引渡所に向かう時には、どこかの馬鹿が間違って自分の荷物を持っていってしまうことを想像して激怒します。
手荷物引渡所に着く頃には、自分のスーツケースが無いことを急いで確かめ、航空会社の人間にたっぷりと文句を言ってやろうという気持ちになっています。
ところが、彼のスーツケースはちゃんとそこにあるのです。
すると彼は、本当に激怒してしまいます。
そもそも何の問題も無いのにこんなに腹を立てさせられたことに激怒するのです。
チャーリーの場合と同じように、あなたの顧客も最初はどちらかと言えばささいなトラブルだったはずなのに、あなたのところにやって来た時には、これまでに彼がさまざまな人と取引する中で経験したありとあらゆるトラブルを思い出して、激怒した状態になっているのかもしれません。
その顧客は、大喧嘩を始めるつもりでやって来ているのです。最初から喧嘩腰なのです。
この状況はフェアだと言えるでしょうか?
いいえ、道理に適っているとは言えません。
しかし、カスタマー・サービス・ディプロマットとして成功するには、正しい意見が通用しない状況や人々と対応しなければならないのです。
この2つのことを念頭に、次回では、苦情対応についての5つのサクセス・ガイドラインについて詳しく見ていくことにしましょう。
次回をお楽しみに。
ダン・ケネディ
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