From:ダン・ケネディ
From:ダン・ケネディ
前回から「カスタマー・サービス・ディプロマシー(顧客サービス外交)」について取り上げています。ビジネスにおけるクオリティの中で最も重要なのは、顧客との関係のクオリティでした。カスタマー・パーセプション(顧客の受け取り方)こそが現実
ここに一つ、重大な事実があります。
「不満を抱いた顧客の98%は、購入した商品やサービスのクオリティに不満を持ったわけでは無い」
ということです。
98%の人々は、店や企業の彼らへの対応に対して不満を感じたのです。彼らの不満は、店や企業の対応についての受け取り方に関わっていたのです。
もう一度言います。
彼らは、「どう扱われたのか」ではなく、彼らに対する「扱いを彼らがどのように受け取ったか」に関わっているということに注意して下さい。
このことは、極めて重要です。
顧客がこのように不満を感じたケースでも、おそらく、従業員はその顧客に対してきちんと対応をしていたと思われます。それにも関わらず、顧客は不満を感じたのです。
従業員はできる限りのことをしていたのです。
しかし、従業員の対応がどうだったかは問題では無いのです。
問題は、顧客がどう受け取ったかということなのです。
ビジネスが顧客を失う最大の原因とは?
カスタマー・サービス・ディプロマシー(顧客サービス外交)は、カスタマー・パーセプション(顧客の受け取り方)をコントロールするものです。
語弊を恐れず言うと、顧客との関係をうまく作ることの方が、対応そのものの質よりも重要だということです。
このことから分かるのは、ビジネスが顧客を失う最大の原因は、その会社の従業員の対応が無礼だとか不当なものだからではなく、無礼だとか不当なものだと顧客が受け取ったことによるものだと、いうことです。
ですから、この問題に焦点を当てて取り組むことによって、顧客維持の実績を大幅に改善できることは明らかです。
顧客は従業員と会社を同一視しているのです。
道理にかなっていないかも知れませんが、これが現実なのです。
企業の命運を握っている人とは?
私がこのメールを書いていたころ、メディアが航空業界を大々的に批判していました。
乗客の航空業界に対する苦情が飛躍的に増えていたのです。
飛行機に乗った誰もが、フライトがキャンセルになったり、遅れが生じたり、荷物が紛失したり、サービスのクオリティが明らかに落ちているといった問題に遭遇していたのです。
航空会社で働くゲート係員が私にこう言ったことがあります。
「怒りと不満を持った多くの人に対応しなければならないことが分かっている中で、毎朝出勤するのがどれだけ大変か、想像してみて下さい。」
そして、彼女は、続けてこう言いました。
「私たちにその人たちに対する落ち度があるというわけではなく、私たちが航空会社だと見られているのです。」
全く彼女の言うとおりです。
乗客にとっては、彼女たち、つまり、客室乗務員らが航空会社なのです。
航空会社の重役たちはあまりにも遠く離れた存在なので、乗客には実感がわかないのです。
航空会社の従業員の多くが、カスタマー・サービス・ディプロマット(顧客サービス外交官)として多大な貢献を行なっているのです。
彼らは、航空会社が問題解決のために費やすお金を節約し、その過程で顧客を失うことが無いように努めているのです。
航空会社だけではありません。
小売店でも、レストランでも、あるいは、オンライン・ビジネスでも同じことです。
電話を取る人、Eメールに返信する人、顧客と一対一で対応する人こそが、実際には企業の「命運」を握っているのです。
ほとんどの企業において決定的に重要なこととは?
敢えて「命運」という言葉を使いました。
なぜこの言葉を使ったのかというと、ほとんどの企業においてリピーターを獲得することこそが決定的に重要だからです。
新規の顧客を獲得するには、それ相当のコストがかかります。
新しい顧客を店に来させたり、新しい顧客に最初の電話をかけさせるためには、広告やパブリシティー、看板などに相当の費用を投じなければなりません。
そうして投入した費用は、多くの企業の場合、新規顧客が最初に商品を購入した時点では、まだ回収できていないのです。
企業が存続し成長するための利益は、同じ顧客が2回、3回、4回と商品を購入し続けることによって生じるのです。
このようなリピーターの存在なしにビジネスが成長する企業は、ほとんどありません。
そして、リピーターの獲得は、他の何よりもカスタマー・サービス・ディプロマシーに関わっているのです。商品やサービス自体以上に、です。
このことは、しっかりと理解しなければならない重要なテーマです。
次回のメールでは、ある企業の素晴らしい事例について述べたいと思います。
その企業は、カスタマー・サービス・ディプロマシーの重要性とメリットを良く分かっているのです。
次回のメールをお楽しみに。
ダン・ケネディ
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