From:ダン・ケネディ
ぼくが借りてるプライベートオフィスの隣には、謎の洋服屋さんがある。そんなに人通りの多くない、めっちゃ住宅街だから、ぶっちゃけ、開店したその日に「絶対つぶれるだろうな…」と思っていたんだけど、、、さっき散歩してたら、
閉店セール
をやってた。どうやら10月いっぱいで閉店にするみたいだ。しかし、ずいぶんと長い事やっていたなぁーと思う。なんてたって、お客さんが入ってるところをほとんど見た事がないにも関わらず、3年くらいは営業してたはずだ。
ここはもしや、店舗に見せかけて、裏でネット通販をしてて、それで儲けてるんじゃないか???と疑ったくらいだ。
しかし、どうやらその疑いも晴れた。単純に、がんばっていた…という事なんだろう。
しかし残念な事に、閉店セールをしても、お客は全く来る様子がない。(いやそれくらいの場所なんだってば、、、このへん、小学生しかいねぇーし)ってか、開店する時に、しっかりと調査したのかね???と疑問に思う。
昔、有名なセールスライターがセミナーでこんな事を話していた、
もし、どんな条件でも可能だとして、ハンバーガー屋を作るならどんな条件が欲しい?
参加者からはいろんな答えが出た。「最高の肉」「秘伝のソース」「巨額の資本」「きれいな内装」「最高のコック」などなど。その答えに対して、彼は言った。
「いま、上がった条件をすべてあなた方に提供しよう。全て、提供したとしても、たった1つもらえれば、絶対におれの店の方が繁盛する。」たった一つ、必要な条件はなんだと思う?
「腹をすかした群衆だ」
これは、ダイレクト・レスポンス界隈ではとても有名な話で、あなたももしかしたら一度や二度は聞いたことがあるかもしれない。
つまり、どんな事業でも、事業に必要なのは、「顧客」であって、それ以上に重要なものなんかないってこと。それは、極論すれば「資金」よりも重要。
だって、顧客がいなければ、資金があっても食いつぶして終わり。顧客がたくさんいれば、その顧客に新しい商品を売れば資金を作ることはできる。
それだけじゃない、実際問題、顧客がいれば、お金を貸してもらったり、出資してもらったりすることがとても簡単になる。(いわゆるシリコンバレーのネットベンチャーなんてのは、儲かってなくても、顧客がいたからお金をいくらでも手に入れることができた)
隣の店だけじゃなく、潰れる店は、ほとんど同じ理由で潰れている。お客さんが来ない。もし、隣の店舗が空いたら、もしかしたら、また別の店舗が出店するかもしれない。でも、商品が変わっても、運営する人間が変わっても、おそらくまた潰れると思う。そんな例を、今までもたくさん見てきた。
残念ながら、起業する人のほとんどは商品中心思考で、商品さえよければ、サービスさえよければ、、、なんとかなる。と思って起業してしまうが(社長の新規事業も同じ)現実にはなんともならない。事業は顧客が中心で成り立っているのであって、商品じゃない。
マーケティングを勉強しているあなたにとっては、こんな事は、釈迦に説法かもしれない。
でも、このことを忘れちゃいけないよ。勉強すれば、するほど、「自分はわかってる」と思って、目が見えなくなるから。そんなところに出しても、誰もこねーだろとかいうのは、はたから見たら一目瞭然なわけ。でも、本人には見えないのよ。
だってテンション上がってるから。
人間には確証バイアスってのがあって、「これは売れる!」と思ったら、それに対する反対意見は、とても見えづらくなる。そして、そのアイディアを間違い無いと後押ししてくれるような情報ばかりを集めてしまう。結果的に「やっぱりイケる」という結論になって行動する。
店舗を出店するとか、そう言った事業の判断を簡単にやってはいけない。というより、「素早く」やってはいけない。
「素早い判断」は成功者の特徴だと、あなたは教わってきたかもしれないが、実はそんなことはない。大きな事業を成功させた人は、あえて「ゆっくり判断」している。スティーブジョブズが重要な判断をするときは、「素早く判断」するのではなく、散歩をして考えたり、人と話したりしながら、「ゆっくり判断」した。
ゆっくり時間をかけて、衝動じゃなくて、論理的に考えて、判断したわけだ。
お客さんがいないところに出店しようなんて考えるバカはいないと思うだろう。けどね、人のふり見て我がふり直せ、でもないけど、市場のないところに新規事業なんかやったりしない?商品がとってもいいからってんで、本当にそれを買う顧客がいるのか?って市場調査しないで、エイやで新規事業始めたりしてない???
そういうミスは誰だってやってしまいがちなもの。
基本に戻って肝に銘じよう。事業の中心は顧客であることを。
ーおがわ
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