From:北岡秀紀
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先日、会社近くの食堂に遅めの昼食を食べに行ったところ、小学生の男の子がお手伝いをしていました。家族経営の店では珍しくもない光景ですから、ボケーっと「これって児童労働って言われたりしないのかかなぁ?」とかどうでもいいことを考えてメシを待っていました。
でも、ちょっと気がついたことがあり、その子供に質問しました。
「今日、台風で学校休みなん??」
「今日、終業式で明日から夏休みです。」
と小二の子供がまさかの敬語で回答。
(商売人の子供は大人あしらいを早くに身につけます。)
終業式といえば通知表ですが、通知表ってなんのためにあるんでしょうか?「通知」と名がつくくらいですから成績を親に見てもらうものと昔は思っていたのですが…ある教育のプロによれば、本来の目的は「自分の学力の得意不得意を知って、その後の学習計画に役立てるもの」だそうです。
でも、そんな風に役立てている学生なんて見たことないですよね?
その理由はシンプル。あの通知表を見て、科目の得意不得意はわかっても、何を改善していいか具体的にわからないからです。小学校のころは教科ごとに「ハッキリと読み書きができる」「豊かに表現出来る」というような項目はあったと思いますが、それに○や×が付いていても「で、どうすりゃいいの?」って感じでしょう。
通知表と財務諸表の相似性
この通知表と似たような話、どこかで聞いたことありませんか?そうあなたの会社のPLとBSです。毎月、税理士さんに作ってもらっていても、売上が上がった下がった、利益がどうこう、原価がどうたらはわかりますが、結局、何をすればいいかわかっていないんじゃないでしょうか?(場合によっては、PL、BSを見てすらいない、年一回しか作っていなかったりします。)
もちろんPL、BSにも重要な指標はあるわけですが、ビジネスをする上でそれらの数字だけでは当然足りませんし、数字が出てくるスピードも遅すぎます。大きな戦略を作るのには使えますが、日々の改善には使いにくいのもまた事実。
小さな会社の社長が見るべき3つの数字
では、どんな数字を見ると、あなたのビジネスは変わるのでしょうか?見るべき数字はビジネスや今のあなたの方針によっても違います。
が、ここでは「マーケッターは数字が苦手」ということで、今までほとんど数字を追いかけていない人が、まず追いかけるといい数字を3つだけ紹介します。
①1週間あたりの新規客の獲得数
この1週間で新規客をどれくらい獲得できたでしょうか?
その数の合計です。
②新規客1件あたりの獲得単価
上記新規客を獲得するのにかかった費用を件数で割り算します。
DRMで獲得している会社は、「広告費 ÷ 件数」
営業で獲得している会社は、「(広告費+営業の人件費) ÷ 件数」
で計算することを推奨しています。
なお、週に1、2件しか決まらない業態の場合は、1ヶ月単位で獲得単価を計算します。
③2ヶ月の顧客価値
購入して2ヶ月以内のお客が使った金額(粗利)の平均金額です。
2ヶ月以内のお客の粗利合計 ÷ 2ヶ月以内のお客の数
という計算式になります。
この金額と獲得単価を比較して顧客価値が上回れば獲得にかかったお金は2ヶ月以内に回収できている、という計算になります。ですから、3ヶ月目以降の施策での粗利は、純粋に黒字になる、ということです。
顧客価値 > 獲得単価
ただ、ひたすらこの不等式になるようにビジネスを作り変えていく。その作り変えができたあとは、顧客価値を引き上げるもしくは獲得単価を引き下げることで差(=黒字)を大きくしていく。
こうなると新規獲得ができた段階で2ヶ月以内に回収できるわけですから、相当、気持ちが楽にビジネスがやりやすくなります。
ちなみに2ヶ月といったのはあくまで標準です。
なので、自分なりの期間を出す必要があります。
これらの数字を出すべきタイミングは?
これらの数字を出すときには、先週1週間の数字が遅くても火曜日には出ていることが重要です。でなければ、「今、どうなっているか?」を知ることができませんから、打つべき手も出てきません。
とはいえ、毎週月曜日、火曜日にこの数字を出すのは面倒です。少なくとも数字嫌いの社長が毎週出すとは思えません。
ですから、誰かがこれらの数字をまとめて出してくれるようにしてしまいましょう。見るべき数値を見て、数字を入力するだけですから、高校生でもできる仕事ですから。
たった3つの数字ですが、小さな会社の命である新規客獲得の状況をかなり追いかけることができます。新規客は欲しいという社長はたくさんいますが、この数字を定点観測し続けている社長と私はほとんど出会ったことがありません。
そう、この数字を見るだけで「その他大勢の社長」から抜け出せるわけです。
いつまで「数字は面倒」「口座にお金があればいい」とうそぶきますか?それとも、これをきっかけに数字を追いかけてみますか?
後者を選んだあなたは、半年後、驚くほどビジネスが変わっていますよ。
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