From:小川忠洋
赤坂のスタバより、、、
だいぶ前にマーケティング講座の参加者限定で勉強会を行ったときの話。こんな質問を受けた・・・
「1-2万円のフロンドエンド商品を買ってもらったお客さんに30万円〜100万円のバックエンド商品を売るんだけど、お客さんとのやりとりをするうちに、金銭的に厳しいかな?と思って、オファーするのをためらってしまう・・・」
というような話。まぁ、これってよくある話でもある。要するに高い商品売るのに尻込みしてしまう…と。しかし高額商品を売ることにはダンケネディも言うようにさまざまなメリットがある・・・
などなど高額商品を売るメリットを挙げていったらめちゃめちゃ出てくる。だからいかに高額商品を売るか?というのは、社長、起業家にとってはとても重要なテーマでもある。が、、、
しかし、冒頭の質問のように「尻込み」する気持ちがあって当然。日本人は思いやりがあるし、米国人のように価値観としてカネ至上主義ではない。なので、相手がどうだろうな?とか心配になったり、気になって尻込みしてしまうのはフツーだろう…
この問題を克服する方法は2つある。1つは自分で高額商品を買うという経験をすること。ぼくも含め、たいていの人がそうだが、自分が買った金額以上のものを売る事はなかなかできない。自分が100万円の商品を買ったことがないのに、100万円の商品を売る事は、とっっっても難しい。
セミナーやコンサルティングが良い例だが、セミナーってのは3000円のもあれば、250万円のもある。自分が3000円とか5000円とかのセミナーしか出たことがないのに、250万円のセミナーを売る事は、まぁできない。ぶっちゃけた話、ぼくも、50万円とか100万円とかのセミナーに自分が参加するまでは、それくらいの価格レンジのものを売ることには、とてつもない抵抗と、恐怖があった。
しかし実際に自分がそれくらいの価格帯の商品を買ってしまえば、たとえばそのセミナーの「価値対価格」のバランスが分かるので、これくらいの価値で、これくらいの金額か、、、という「感覚」ができる。その感覚があれば、次の方法にいくことができる。
もう1つの方法は、もっともっと重要で、これこそが本質的な方法であるが、、、今、言った「価値対価格」のバランスで、価値を価格よりも断然、高めることである。当たり前だろ!と思うかもしれないが、当たり前の事は実行するのがとても難しい・・・
ここを外して「高額商品を売る」という事を考えているなら止めた方がいい。いっそ売らないほうが、顧客のため、世の中のため、何より本人のためである。セールスやマーケティングの技術をたくさん勉強すると、人をコントロールして、売る事が、ある程度はできるようになる。それはまるで魔法使いになったような気分だ。
どんな魔法使いもそうだが、魔法の腕を試したくなるものである。つまり、価値の低い商品を高い価格で売る。これができれば、その魔法の腕はものすごいという事になる。(ぼくらの身内ではこれを「ダークサイドに落ちる」と言う。スターウォーズのダースベーダーみたいなイメージ)
たとえばダンケネディなどは、ある意味、この魔法をあなたに教えてくれる。中には魔法の力に取り憑かれて、ダークサイドに落ちる人もいる。こないだ中谷さんに聞いた話だが、あるクライアントが相場価格の3倍以上の値段で売っていて、それで儲かっていると中谷さんに自慢した事があると…内心「アホか」と思ったらしいが、これがダークサイドに落ちている典型的なパターンである、、、
そのクライアントは残念ながらダークサイドに落ちている「先生」にそいういうやり方を教わったため、その方法が正しくて、それがデキてる自分は凄いという理屈らしい(ダークサイドに落ちてる先生はたくさんいるのでご注意をーその人たちから学ぶ時は技術だけを盗んで、考え方は影響されないように)
このケースはつまり「価値」以上の「価格」で売っていることがスゴいと思っちゃってるわけだ。
もちろんそんな事はスゴくない。前回の邪道の話でも言ったかもしれないが、邪道やダークサイドの方法は「短期的には」とても効果がある。しかし長期的には効果が全然ない。当たり前だ。価値より高い価格で買った顧客はふつーに考えてリピートしない。(ちなみにそのクライアントも悩みはリピート率が低いことだった。リピートで売上を上げる典型的な商品であるにもかかわらず、、、)だからそれがスゴいと思っちゃう時もある。。。
勉強会で質問してきた人は、その「気後れ」は自分のメンタルが弱いからで、それを克服しなければいけない・・・と考えているようだった。いやいや、それはメンタルの問題ではなく、メンタルはいたって健全である。問題は、商品にある。
「これちょっと高いかな?」と自分自身が思っていたら、一度は、エイや!で売れたとしても、継続的に売り続けることは難しい。それにエネルギーをかけて売り続けることは難しい。きっと、さまざまな言い訳が出てきて「今週は忙しい」「今は別の商品を売るタイミングだ」などなど、その仕事を無意識に後回しにするだろう。本来、商品を売り続けるためには、テスト、テスト、改善、改善をくり返さないといけないのだが、そこにエネルギーをかけなくなるだろう…結果的には、短期では売上が大きかったとしても、長期ではその商品を殺してしまうことになる。
ぼくだって落ちる。落ちそうになる時が今でもある。魔法使いは魔法を使うのが楽しくて仕方ないのだ。ウチの会社でも以前「その商品の価格設定は高すぎる」と言って下げさせたこともある。(実際には下げるか価値を上げるか、どっちかにしろ。という話をした。担当者は下げることを選んだ)その商品はそこそこ売れてる商品だったので、差額を返金することになった。800万円くらいの出費で痛かったが、その方がその商品を長期的にがんばって売ろうという気持ちになる。
いや高い価格で売ることが悪いと言ってるわけではない。自分が提供する価値より高い価格で売ることが悪いと言っている。つまり、価値が高ければ、価格も高くなって当然だし、競合より価格を高くしたければ、競合より高い価値、あるいは競合が提供してない、できないような価値を提供すればよい。
マイケルポーターという競争戦略の世界的権威も
「戦略とは競合より高い価格を請求できる状態をつくること」だと言っている。
なので高い価格をチャージする事は、目指さなければならない目標ではある。たとえば、今コレをスタバで書いてるが、スタバのコーヒーは302円、トールのソイラテとかは420円。これマクドナルドに行けば100円。スタバはダークサイドに落ちてるのか?
実にスタバは競合の3倍の値段でコーヒーを売っている。なぜそんな事ができるか?答えは言うまでもなく、スタバは競合が提供できない価値を提供しているからだ。強い会社というのはたいてい競合よりも高い価格で商品を売っている。
しかしそれは魔法で売っているのではなく、価値で売っている。(ぼくらからすれば、ちょっと魔法が足らないくらいだと思ってしまうが(笑)
なので価値が提供できない。自分の提供している価値に納得ができないのであれば、無理に高額で売る必要はない。しかし同時に大抵の社長、起業家はこの気持ちから価格よりも、価値の方が大きくなっているケースが多いのも事実。
まぁ要はバランスだわな。あなたはどっちかに偏ってないか?
ーおがわ
PS:
セールス、マーケティングとは価値を伝える魔法である。
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