From:北岡秀紀
From:北岡秀紀
先日、内々だけやっているワークショップにて・・・やたらと暗い表情をしている社長がひとり。ワークショップの参加者の中でも一,二を争うくらい儲かっている社長、のはずでしたがポツリと一言。
「思ったより利益が少ない」
この社長に限らず、利益率が高いビジネスをしていて相当売上があがっている。だから理屈上はかなり利益が残っているはず・・・でも、銀行口座を見るとからっぽという会社は少なくありません。
というより、ほとんどの「儲かっているアピール」をしている会社が、そうと思ってもいいくらいです。
この理由は簡単。
たいていが経費の使い過ぎです。
ビジネスが急成長すると、どんな人でも気が大きくなります。結果、知らず知らずのうちに出費が大きくなります。
新幹線が普通車からグリーンになる。今まで1泊1万円だった出張のホテルが一泊3万円になっている。移動が電車でなくタクシーになる。会食の店のグレードがあがる。はじめはほんの少しの贅沢のつもりが、いつの間にか当たり前になってしまう・・・
ひとつひとつは小さいことですが、これらが積み重なってボディブローのように効いてきます。(年収1000万円くらいの人が一番貯金がないのは同じ理屈です。)
もちろんこれらが全てダメというつもりはありません。そうやってやりたいことをやっていくというのも自分で会社をやっている醍醐味ですし、頑張る活力にもなります。
私自身もそういうちょっとした贅沢をアチコチで勧めています。
しかし、その贅沢の中身が問題です。例えば、冒頭の社長は、1日のタクシー代が4万円でした。
おかしいと思い少し追求してみると、泊まっている品川のホテルから新宿に移動(約4000円)。で、新宿から東京に移動(約2000円)、そこから恵比寿へ(約2800円)こまごまと移動があって恵比寿に戻り、また新宿に移動。1日に同じところに何度も行く、という愚を犯しているわけです。
傍目から見れば「おかしい」のは簡単にわかりますが、本人はこの移動を聞かれてはじめて気付いたわけです(笑)ドンと大きい金額のものは印象に残りますが、タクシー代などは細々と払いますから意外と無駄遣いしていることに気付きません。
それが積み重なりとんでもない金額になっていることは少なくありません。実際この社長の会社のムダを細かくチェックしていくと、移動や宿泊費だけで800万円くらいありました。
つまり、これを使わなければ税金を取られても400万円強はキャッシュが余計に残ったという計算になります。
「ザ・レスポンス」や私のところでマーケティングを学ぶ社長というのは、基本、攻めのタイプです。
攻めのタイプの社長は「使う以上に稼げばいい!」と考え、経費を減らすというと後ろ向きの業務と捉えがちです。ですから、経費の削減というのは、どうしても後回しになってしまいます。
でも、800万円の利益をあげるためにはいくら売らないといけないのでしょうか?そう考えれば、経費削減も費用対効果の高い前向きな仕事であることがわかるはずです。
私は財務、会計の専門家ではありません。そんな私でも「おかしい」と思えるような経費はかなり多いです。
おかしい経費を調べるのは簡単、たった2ステップです。
ステップ1 去年の決算書を見て、最も大きい販管費ベスト3をチェック
ステップ2 その項目の先月の中身を見て「本当に必要?」と考えながら見てみる
ただそれだけです。
経費を使い過ぎている社長は、たいてい売上ばかりに目がいっていて、経費の中身を改めて見ていません。しかし、それを見さえすれば。。。「ヤバい!」と気付けます。冒頭の社長も利益が思ったより残っていないと気付いたのは、ワークショップで問題を直視せざるを得ないように私が誘導したからでした(笑)
「ヤバイ!」と気付きさえすれば、社長という生き物は優秀ですからすぐに対策を考えるはずです。この社長も早速、具体的なアクションプランを立てていました。
経費は知らず知らずのうちに増えていきます。
ですから、定期的なチェックが必要です。
私が推奨しているのは半年に一回程度、2時間だけ取ってチェックすることです。自分の時給以上の利益が湧いてくることは間違いありません。
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