From:北岡秀紀
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先週、3ヶ月に1度の経営計画合宿をしてきました。
毎度のごとく、2泊3日でホテルに缶詰になって、
ひたすら自分のビジネスのことを考えるというマッチョな合宿です。
50万円という高額にも関わらず全員がリピーター。
しかも、全員5回以上の参加ですから、
どれくらい費用対効果の高いものなのか、
お分かりいただけると思います。
参加者がただのドMなのかもしれませんが・・・
ここで大抵、何かドラマが起こるので、
3ヶ月に1度、経営計画合宿をするたびに、
この『ザ・レスポンス』で「経営計画合宿をしました」と
書いているような気がします。
実際、今回もドラマがありました。
経営計画合宿は、普段あまり泊まらないような
高級ホテルに全員泊まります。
非日常の空間で考えることで、
アイデアの出方が全く違うからです。
そこで私は、これにかこつけて
泊まったことがない高級ホテルをはしごしています。
今回も日本橋(東京の、です。)にある高級ホテルを会場にしました。
で、高級ホテルではターンダウンというサービスがあって、
夕方に就寝の準備をしにきてくれます。
ベッドを整えてくれ、夜に飲むお酒用の氷がセッティングされ、
ベッドサイドにミネラルウォーターとそれを飲むコップ、
そしてちょっとしたお菓子が置かれます。
このお菓子にドラマがありました。
砂糖の固まりみたいな丸っこい物体でした。
口に入れると空洞になっていて、
何ともいえない感触です。
味も酸味の中にほろ苦い何とも形容しがたいものでした。
今まで食べたことがない味でした。
たった4個しかベッドサイドに置かれていないのが
もどかしくてたまりません。
ゆっくり食べようと思っても、
口の中ですぐに溶けてしまいますから。
ただ、経営計画は2泊3日。
しかも、
私は講師特権で前入りしていますから、
3泊しています。
つまり、次の日もあのお菓子が食べられるわけです。
で、ウキウキしてターンダウンの時間を迎え、
ベッドサイドのお菓子の入れ物の蓋をあけると・・・
茶色の薄い板が入っていました。
「え!!昨日のと違う!?」
食べてみると、これまた美味しい。
チョコレート味のお菓子でした。
ほろほろ崩れてクッキーともチョコレートともいえない、
なんとも言えない不思議なお菓子でした。
今まで経営計画のたびに高級ホテルに泊まりましたが、
ターンダウン自体は当たり前のサービスでした。
ビジネスホテルしか泊まったことのない私は、
「準備に参りました」というスタッフの方に、
キョトンとしてしまった記憶があります。
しかし、いつの間にか
「ターンダウン」なんていう澄ました言葉を
当たり前のように使うようになりました。
そして、今回、ベッドサイドのお菓子が変わる、
という体験をしました。
この体験のせいで、
「今までのホテルは毎晩同じだったな・・・」
という風に思ってしまうようになりました。
しかも「ただのチョコレートやん」と。
つまり、新しい体験をさせられてしまったがために
「当たり前」の基準があがってしまったわけです。
当たり前の基準は一度あがると、
通常、元には戻りません。
知ってしまったが最後、不可逆的なものです。
当たり前のことですが、
お客さんはあなたのところからだけ
商品・サービスを買うわけではありません。
様々なところで買い物をしています。
競合に限らず全く他の業界や普段の買い物もそうです。
結果、
いつの間にか新しいサービスを受けて
当たり前の基準があがっている、
ということが起こりうるということです。
いわば当たり前のインフレが起こっているわけです。
特に日本はサービス過剰の国ですから、
それが頻繁に起こります。
3ヶ月前に同じことをお客さんにやったら喜んでくれても、
今やると喜んでくれない、ということがあり得るわけです。
あなたのお客さんの当たり前の基準はどこにあるでしょうか?
何か数値化できるわけではありません。
が、それがどこにあるかを意識するだけで、
お客さんとの接し方が変わってくるはずです。
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