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起業家社長の苦手なもの-だから利益が出ない

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From:小川忠洋

From:小川忠洋

西宮のオフィスより、、、

「この商品をPPCで広告したら売れると思うんですよ」

 先日、ある主力商品の一部を、別商品化して(低価格のフロントエンド商品化した)売ってみようという企画が出たときの話・・・

 その主力商品はそこそこの価格で原価も低く、しかもコンバージョンも高くよく売れる、、、だが、高額商品なのでフロントエンドには向かない、、、というケースだった。なので、今までは、別の商品のバックエンドとして、販売していたのだが、その商品を直接広告して売ることができれば、、、めちゃめちゃ売上上がるんちゃうか・・・との事で、四苦八苦していた・・・

 そこで、その商品の一部を別商品にしてフロントエンド化して売ってみようと・・・いう事になったのだが、、、果たしてこの施策、あなたは上手くいったと思うだろうか?

 施策の方向性としては間違っていない。むしろ、本当にそれが上手くいけば、売上が文字通り倍以上になっただろう。。。しかし、その時点ではその施策は必ずしも正しいものとは言えなかった・・・理由は簡単だ

 なぜなら、その商品の一部をフロントエンド化してPPC広告で販売するというのは、2つの新しい取り組みが入っているからである。つまり、、、

1.その商品の一部をFE化して販売する(これにはFE化された商品のセールスレターや広告も必要になる)

2.その商品をPPC広告という今まで使った事のない媒体で販売する(これにはどんなキーワードが反応が高いのか、どんな媒体規制があるか、どんなサイトが反応が高いのか、などたくさんの仕事がある)

 どういう事かというと、要するに「新しい取り組み」が複数あるということだ。新しい取り組みが複数あると、例えばこの施策が上手くいかなかったとしたら、どれが原因なのか、どこを改善すればいいのかが複雑になる。そして、さらには、読み返してもらえば分かるが、新しい仕事がたくさん出てくる・・・

 施策自体は間違ってはない。方向性は正しい。しかし、それが「今」やるべきなのか?と言うと話は違ってくる。その施策をやるためには、それなりのエネルギーと人材、まとまった時間が必要になる。果たしてそれを本当に「今」やるべきなのか?「今」できるのか?と考える必要がある・・・

 「今」やるべきなのは、現状、既存商品のバックエンドとしてそれなりに売れているのだから、そこの道筋を「改善」することではないだろうか。既存商品から、その主力商品につながる道筋を改善するには、例えば、、、

  • 既存商品のサンキューページのアップセルにそれを入れる
  • 既存商品のサンキューメールにその主力商品の告知を入れる
  • 既存商品の購入者へステップメールでその主力商品の告知を入れる
  • 既存商品の商品に同梱として主力商品のセールスレターetcを入れる
  • そして、それらのクリエイティブを改善する
  • などなど

 やれることは他にもたくさんある。そして、ここに挙げた施策のほとんどは簡単にできて、新しい事が1つしかない。だから、それが上手くいかなかったら、新しくやった施策が原因なのでそれを止めればいい。上手くいけばそれをスタンダードの施策にすればいい。という「カイゼン」を繰り返すことができる・・・

リスクの甘い見積もり

 たいていの人は、ぼくも含め、新しい取り組みに対する”リスク”を低く見積もりがちである。新しい施策が上手くいったら、、、、というリターンの方ばかりに目が行って、それを実行するためのリスク(かかる時間)は、ほとんど考えないばかりか、異常に低く見積もる(簡単にできるだろう・・・と考えてしまいがち)ところが実際にやってみると、思った以上に時間とエネルギーがかかる・・・

 これはマーケティングの施策だけでなく、新規事業などでも全く同じように言える。当初の見積もりよりも、よっぽど時間がかかり、よっぽど人手が必要になる、、、なんてのはごく普通のビジネスあるあるじゃないか。(ちなみにシステム開発なんかは当初の見積もり金額よりだいだい3割増しになると考えろと教わった事があるが、経験上まさにその通りだ) 

 なので、マーケティング施策でも新規事業でも、基本原則として「まずは保守的にカイゼンする」という事を守ったほうがいい。保守的にカイゼンしてカイゼンしてカイゼンしまくって、、、もうやることがない、、、あるいは次のカイゼンはかなり時間とエネルギーがかかる、、、という状況になったら、「カイゼン」から「カイカク」に移る。

 カイカク(改革)とは、たいそうな言葉ではあるが要するにイノベーションである。上記の主力商品の一部をフロントエンド化してPPCなどで外部に広告を出して販売する、、、という方法は、今までの、「既存商品のバックエンドとして売る」という方法から見たら、十分なセールスプロセスのイノベーションと言える・・・

起業家社長はカイゼンが苦手

 そして起業家はこのカイゼンが苦手でカイカクが得意である。きっとあなたもそうじゃないだろうか?カイカクのアイディアを出すのが得意で、みんなが思いつかなかったような素晴らしいアイディアを出せる。しかし、一方で、既存のものを少しカイゼンするというような”地味”な仕事にはあまりモチベーションを感じられない、、、身に覚えある?

 だとしたら、とても大損している事になる。カイカクはハイリスク・ハイリターンだが、カイゼンはローリスク・積み重ねればハイリターンなのである。なので、スグに新しいアイディア、カイカクのアイディアに飛びついてはいけない。その前にカイゼンを十分にやったか?という事が大切なのだ・・・

 覚えておこう。まずはカイゼン。次にカイカク。

 スグにカイカクしてはいけない。急成長にはカイカクが必要かもしれないが、利益を出すのにはカイカクよりもカイゼンの方が確実だ。急成長はとても素晴らしいものだと一般的には思われているが、内部は大混乱で利益も大して出ないのが急成長の特徴で、その後に安定してきたら利益が出だすもの。だから、カイカク信者になるのは考え物ではないだろうか。

***

 さて、冒頭の「主力商品をFE商品化してPPC広告で販売」は上手くいっただろうか?

 5月26日の現時点では全く売れてない。上手くいかなかった?いやいや、「そりゃ当たり前だろ」と担当者に言ってしまった。最初から大ヒットになると期待する方が間違い。最初は大した反応が取れず、ABテスト、オファーやクリエイティブのカイゼンを繰り返してだんだんと反応が取れるようになるのが、ダイレクト・マーケティングの基本じゃないか。。。

 となると、この施策を軌道に乗せるにはまだまだ時間と人手がかかる。果たしてこれは「今」の時点で正しい施策だったんだろうか???他、もっと簡単に出来ることがたくさんあったのに・・・

ーおがわ

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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