From:ダン・ケネディ
競合商品との差別化、USP(ユニーク・セールス・プロポジション)、顧客に語るべきストーリーは、広告内容を読者に響かせるためにはとても重要な要素です。
しかし、まれに「自分のビジネスはあまりにもありふれていて、語るべきストーリーもないし、USPもないし、競争で優位に立つこともできない。だから、一番安い価格を付けたり、消費者が適当に選んでくれるのを待つしかないんだ。これは避けられない運命なんだ」と言って譲らない人たちがいます。
本当にありふれた商品は価格勝負か、適当に選んでもらうのを待つしかないのでしょうか。
こんなふうに言う人たちには「通信販売の広告をマネしてみましょう」と言いたいと思います。ここで、「枕」の通信販売の広告を紹介します。
「枕」です。これ以上に平凡でありふれた、どこにでもある商品はなかなかないでしょう。枕なんて、スーパーマーケットでも売っていますし、「よく眠れる」タイプの枕だって、どこのショッピングモールでも売っています。
この広告は、この枕の発明者、マイケル・ロンデルの一人称で、読み手に向かって話しているかのように書かれています。この広告は「問題を提示する、問題をかき立てる、解決する」という実にシンプルな三段構造になっています。
コピーの約75%が「問題」についての文言ですが、その理由は、おそらく商品についてのユニークさについてあまり書くことがないからでしょう。
「排他性」も使っています。店では売っていないし、特許取得済みです。
また、マイケルがこの枕をあまりにも好きすぎて、枕をハグしている姿が写真で出ています。
以下に、広告文だけ、抜粋してみましょう。
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今まであなたが持っていたどの枕よりも快適な眠りをお約束します!
こんにちは。私は「マイピロー」を発明したマイケル・J・リンデルです。
何年か前、私もあなたと同じように、枕がペチャンコになるとものすごくイライラしていました。たいていの枕はそういうふうに形が崩れるようにできています。そのころは、朝起きると腕はズキズキするし、首は痛むし、指はしびれていました。私は理由もわからず、一晩中、寝返りを打っていました。出回っているいろいろな枕を試してみましたが、どれを使っても改善されませんでした。
そこで私は、枕のリサーチと睡眠障害についての研究を始めました。世界で一番健康的で、寝心地がよく、形が崩れにくい枕を作ろうと決心したのです。
「マイピロー」は当社だけで売っている特許取得済みの医学的な詰め物を使っています。熱もこもりません。この詰め物は眠っている時の体制に関係なく、あなたのニーズをしっかり満たすだけでなく、10年間効果が続く保証つきです。
家ダニがつかず、アレルギーの方でも安心してご利用いただけます。さらに、お洗濯も簡単。お気に入りのジーンズと同じように洗濯して干すことができます。
「マイピロー」はお店では販売していません。
私は7年前から、フェアやエキスポ、イベントなどで、お客さまに直接「マイピロー」を販売してきました。数百人ものカイロプラクターや医師の方々が、患者さんたちにもこの枕を勧めています。
これまでにこの枕を数十万個売り、数千人のお客さまから「『マイピロー』のおかげでいかに人生が変わったか」「睡眠障害が改善されたか」について、喜びの声をいただいております(ホームページでお読みください)。
例えば、以下の睡眠障害に改善が見られたそうです。
●いびきや睡眠時無呼吸症候群
●線維筋痛症や顎関節症
●レストレッグ症候群
●偏頭痛、頭痛
●首や背中の痛み
●喘息や、アレルギー
●不安症、不眠症
私のように、心地よく眠れる枕を探している人はたくさんいます。
あなたは夜眠っている間に、頭の下に腕を入れて支えにしたり、左右に寝返りを打ったり、熱くなりすぎた枕を裏返しにしたりしていませんか?
もしそうであれば、体のためにすばらしい効果のあるREM睡眠が妨げられていますよ。一晩中眠っているとしても、脊髄がきちんとサポートされていなければ、疲労回復の助けとなる質の高い眠りは、ほんの数分しかとれていないのです。
「マイピロー」をお使いいただければ必ずご満足いただけるものと思っていますので、今回は初めて、通常の10年保証に加え、60日間の返金保証もお付けいたします。最高のカスタマーサービスもご提供いたします。
私の会社は、ビジネス改善協会の会員で、A+の評価を受けています。「マイピロー」は合衆国特許××××号を取得済みです。すべて自社製造で、現材料も100%アメリカ製です。
私は心の底から「マイピロー」が世界で最高の枕であること、そしてこの枕を使ってよりよい睡眠を手に入れることで、世界がいまよりももっとすばらしい場所になることを信じています。神の御加護を!
今すぐご注文を! プロモーションコード「今日」で25%割引になります。ウェブサイトまたは、お電話で。
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人々の敵意を生み出すシンプルな方法
反対に、ダメな広告についてもご紹介しましょう。
私が受け取った手書きの封筒(いいですね)の中には、セールス担当者からの小さなサンキューレター(いいですね)と、名刺と紹介カード(いいですね)、そして25ドル相当のピザ引換券1枚(いいですね)と、そのピザチェーンのミニメニュー(いいですね)が入っていました。
メニューの表紙を見ると、このピザチェーンは3つの町に支店があるとのこと。この3つのうちの1つは、私の家族が住んでいる町ですが、そこでは最近、新しいエアコンを設置した(仕事ができそうでプロフェッショナルな感じ。いいですね)そうです。
ところが、引換券には「ハドソン店のみ有効」と書いてあって、黄色いマーカーが引いてありました。
ここで問題が一つ、私たちが住んでいるのはハドソンではありません。メニューには「私たちの住んでいるところに、このピザチェーンのレストランがある」と書いてあるのに、引換券はこの町では無効なのです(これはひどい。かなりひどい)。
これでは何の意味もありません。
私はカンカンに怒っています。私の心の中に育ったこの会社に対する「善意」は、あっという間に「敵意」に変わりました。せっかく手間と費用をかけたというのに。
私はこのあと数日間にわたって、この会社がどんなダメなことをしたかについて、いろいろな人たちに言って回ることになってしまったのです。
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