本日○月○日、ウォータークーラーが故障したため、すぐに修理を依頼いたしました。
お客様には、ご迷惑をおかけしますが、
しばらくお待ちください
健康増進のため週に2・3度通っているスポーツジムに貼られたお詫びの文章です。
このスポーツジムですが、
経営母体がホテルのためででしょうか、
ジムに通っている人の多くは、年齢層が高く、とても上品で礼儀正しい人が多いです。
また、従業員も、実にきめ細やかに対応してくれます。
たとえば、
冒頭にあるように、故障があれば、すぐにお詫びの文章が貼られますし、
ロッカーキーの受け渡しも実に丁寧です。
このお詫びの文章に目がいったのは、
実は、ウォータークーラーの水を飲んだ直後のことです。
あまりにも生ぬるかったので、「えっ」と思いました。
が、
顔を上げると目の前に、お詫びがありました。
そうすると、
“きちんとすぐに対応しているのだ”と思えるので、
“仕方がない”という結論になりました。
ポイントは、文章中にある具体的な日付です。
“本日”だけですと、
いつ故障したのかが、わかりませんので、
翌日以降に、文章を読む人にとってみれば、即座に対応したかどうかは、わからないですよね。
ですから、すぐに行動したとわかる実にすばらしい文章なので、あっさりと仕方ないと思えたのです。
2~3日後。
ウォータークーラー前のお詫び文は次のような感じに変わっていました。
ウォータークーラーの修理ができませんでした。ですので、本日、△月△日、新しいウォータークーラーを発注しました。
お客様には、ご迷惑をおかけしますが、もうしばらくお待ちください
これも、なかなかいいですよね。
「そうか、修理できなかったのだ。仕方ないよね。だけど、対応早いなぁ~。すぐに新しいものを注文したのだ。まぁ、新しいものが来るならもうしばらく我慢するか」
と、その時は、思えました。
しかし。。。
3日たっても、ウォータークーラーは変わりません。
1週間後も、水は生ぬるいまま。
2週間たっても、変わらぬ文章を睨めつけながら、
すばらしいと思えた文章の大きな欠点が見えてきました。
何かわかりますか???
この段階で、ウォータークーラーをなんとかしろよ。
と思っていたのは、実際、わたしだけでなく
年齢層が高く上品で礼儀正しいおじさんたちも、
お風呂の中やサウナ室の中
そして、生ぬるいままのウォータークーラーの水を飲みながら、
口々に不満を言いだし始めています。
いったい全体、新しいものが来るのは、いつなんや
人は我慢ができる生き物ですが、
いつまで我慢しなければならないのかがわからないことは、かなり苦痛です。
だから、1週間ぐらいなら我慢しても、
2週間たつと不満が吹きだすわけです。
ですので、冒頭のお詫びの文章には、いつ頃入荷予定なのかをきちんと明記すべきでした。
もし、予定が未定であれば、その旨をきちんと書くべきです。
たとえば、
本日、発注しました。ただ、販売店に在庫がないため、いつ入荷するかは未定です
という風に、理由をつけて、書けばよりよくなります。
さらに、入荷予定日がわかった時点で
□月□日に入荷予定です。長い間ご迷惑をおかけして本当に申し訳ございません。
もうしばらくお待ちください
と予定日を記載。
さらに、入荷の前日になれば、
明日、入荷します。ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした。
明日より、新しいウォータークーラーでより冷えた水をご堪能ください。
このような文章を読めば、不満がでるどころか、明日からは、新しい冷水器で飲める喜びにワクワクしてしまいます。
せっかくお詫びの文章を貼り出すのですから、
お客様のことを考えて、不平不満が出てくる前に、手を打つべきです。
同じことをしても、まったく受け取り方が変わってくるからです。
ここまで、ウォータークーラーの話をしてきましたが、
実は同じことをビジネスで実施している会社があります。
お詫びの文章ではありませんが、お客様が感じるであろう不平不満を未然に防ぐことによって強い安心感を与えてくれる会社です。
その会社とは、あなたもよく知っている通販会社
そう。
アマゾンです。
アマゾンで商品を購入すると、すぐに購入確認のメールが飛んできます。
そして、早ければその日のうちに、遅くても2日目以降に、
商品を実際に販売している会社から再度確認のメールがきます。
そして、商品を発送した後には、本日、商品を発送しました。2~3日後には着きます。
という連絡メールが。
そして、商品到着、1週間後ぐらいに、
今度は、アマゾンの方から、今回の対応について5段階で評価を促すメールが送られてきます。
お客様がどういうところで不安を感じ、
どういうところで、不満を感じるのかを
あらかじめ考えた上で連絡のメールが送られてきています。
だから、次の購入のときにも、安心して申し込むことができます。
その結果、何度も何度もアマゾンで商品を購入することにつながっていくわけです。
この方法を、ぜひとも、あなたのビジネスに適用してください。
購入してくれたお客様が
どういうところで不安に思うのか?どこで、不満を感じるのか?何が問題だと思っているのか?
そういう点を、1つずつつぶしていくと、お客さんの安心につながります。
そして、この安心感は、次のリピートにもつながっていきますので離脱率が減り、リピート客が増えていくことになります。
その結果、あなたのビジネスは、ますます安定したものになっていきます。
ー中森清久
※ウォータークーラーは、3週間後に設置完了しました。
今は、冷たい水を美味しくいただています。
しかし、その前に、フロントで一揉めあったといううわさがサウナ室で交わされていました。
残念なことです。
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