From:北岡秀紀
「自分がやられたらイヤなことを人にやるな」
そんな風に親や先生に習いました。
それを拡大解釈して「自分がやってもらいたいことを人にやる」ことはいい事だと思っている人がいます。
私が子供の頃のある近所のおばちゃんが、まさにそうでした。
「コレ多めに作ったの」とちらし寿司をお裾分けしていただくのですが…
子供用(その家には私と歳の近い子供がいました)なのか、酢飯の酢が効いていません。
酢が効いた酢飯が大好きな私は、このおばちゃんがちらし寿司を持ってきてくれるたびにイラっとした記憶があります。
最近、ありがたいことにたくさんの方から贈り物をいただくのですが「こんなのだったらくれない方が印象いいよな」と思う事は少なくありません。
最近は、大人になったので(笑)、「まァ、好意だから」と解釈するようにしますが…
マーケティングも同様です。
「自分がやられたらイヤなことはお客さんにはやらない」
これは間違いありません。
しかし、それは「自分が欲しいと思うものをお客さんに提供すればいい」ということ意味するわけではありません。
自社の商品・サービスが良いと思っている人ほどその傾向が強いです。
もちろんその考え方でうまくいった人もいるでしょうが、それはたまたま、お客さんが欲しいものと合ったに過ぎません。
ですから
「お客さんの立場になって考えること」
これが重要です。
当たり前で陳腐な表現になりますが…マーケティングなんて、それが全てです。
お客さんが「欲しい」と思うものを提供し、それが「欲しい」ものであることをプレゼンテーションする。
それこそがマーケティングです。
マーケティングをいくら学んでも、成果が出せない人がいます。
その共通点は、たったひとつ。
このお客さんの立場になるということができない人です。
先日、ある整体院の先生とお会いしました。
で、ウェブサイトを作りSEOをしたけれど、全然、売上があがらないと悩んでいました。
「どんなキーワードでSEOしたのですか?」と質問すると、その整体院の名前や整体で使う技の名前でした(苦笑
お客さんは、その整体院を知らないわけですから、そんなキーワードでいくら上位表示できたとしても、来院がないのは当たり前ですね。
そうやって聞けば、「そうそう」とわかります。
でも、実際に自分がマーケティングをする側になると、この先生みたいになってしまいます。
では、どうすればいいのでしょうか?
まず第一に、自分はお客さんではない、ということを理解することです。
お客さんではないのだから、お客さんのことを知る必要がある、ということを腹に落とすことです。
そして、あとはひたすらお客さんのことを考えます。
ただし、お客さんのことを考えるといっても、客観的にお客さんのことを見るだけでは不足です。
実際にお客さんになりきってみます。
お客さんの背中にチャックがあって、その中に入ってみて、1日の生活をシミュレーションしてみる、というエクササイズも意外と有効です。
一旦、自分のことを捨ててみることがポイントです。
言ってしまえばカンタンなことですが、やるとなるとなかなか難しいものです。
慣れるまでできないのは当然です。
でも、慣れてしまえば、それほど難しいことではありません。
「北岡さんは色々な業種で、パっと答えを出せてスゴイですね」と言われることがあります。
これは別に凄いわけではなくこのお客さんに入るという訓練を繰り返してきたからです。
別に、業種や商品やサービスについて知らなくても、お客さんになりきることさえできれば、マーケティングの答えを出すことは実は難しいことではありません。
変なマーケティングのテクニックなんか勉強するより、こういう訓練をする方がよほど成果が出ます。
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