From:ダン・ケネディ
From:ダン・ケネディ
まずは、ダイレクト・レスポンス・マーケティングが他の広告、プロモーション、マーケティングとどう違うのかを理解する必要があります。
私が好む戦略と代理店が好む戦略の大きな違いとは?
最初に、ダイレクト・レスポンス・マーケティング以外の広告について少しお話しましょう。
「企業広告」というものがあります。このタイプの広告は、大企業が意図的に使い、中小企業がそれを真似するというケースがよく見られます。
この広告の基本的な役割は、消費者と株主に対して、「私たちはこんな会社です」、「私たちはこんなことをやっています」、「私たちは良い人間です」ということをアピールすることであって、誰かに何かを買ってもらったり、行動してもらうことが目的ではありません。イメージ構築のための広告です。
代表的な例としては、フットボールの試合中に上空を飛んでいるグッドイヤー社の飛行船や、日曜朝のニュース番組やスポーツ番組で流れるIBMのテレビコマーシャル、銀行の広告、空港にあるTime誌の看板などがあります。
これらはすべて完全な企業広告です。
広告代理店、コンサルタント、メディアは、このタイプの広告を売りたがります。効果を測定できる方法がないからです。
何かの役に立っているのか? 投資しただけの見返りがあるのか?
そんなことは誰にも分かりません。
効果があった広告を認識できていますか?
もう少し実際的なアプローチに、私が「測定不可能なレスポンス広告」と呼んでいるものがあります。
このタイプの広告では、何かを売ろうとはするのですが、それでも基本的にその成果を測定することができません。
特定ブランドの車のテレビコマーシャルがこれに当たります。
これらのコマーシャルの意図は、ショールームに足を運ぼうと思わせるだけの興味を引くことですが、今週ショールームに訪れた人の何人がコマーシャルの影響を受けたのかを知る手だては実際のところありません。
コマーシャルではなく、ディーラーが出した新聞広告を見ただけでショールームに来たのかもしれません。
多くの中小企業は、このタイプの広告の罠にはまってしまいます。
電器店、レコード店、衣料品店、デパートはすべてセール広告を出します。どんなセール商品があるのかを知らせる広告です。
しかし、その広告を見たから来たという人がどれだけいて、見なくても来たかもしれない人がどれだけいて、同じ広告でもどのメディアをどれだけの人が見たかということを知る手段はありません。
当て推量はできます。今週末の来客数が先週末より多かったのは広告のお陰だと思うわけですが、それで事態はさらに悪化します。
ニュースレター、2つのラジオ局、チラシでセールの開催を宣伝するとして、効果があったメディアとなかったメディアをどうやって知ることができるでしょう?
もう一度言いますが、広告代理店とメディアがこのタイプの広告を好む理由は、広告主がその成果を測定することが難しいからなのです。
ダイレクト・レスポンス・マーケティングを使う理由
もう1つ別のタイプのマーケティングに、PRとパブリシティがあります。
あなたの会社、商品あるいはサービスに関するプレスリリースや記事を作成してくれて、様々なメディアに流してくれる企業があります。
中にはインタビューやトークショーをセッティングしてくれる企業もあります。
これらの企業の評価は、あなたの会社の露出度をどれだけ高めてくれるかで判断できますが、その露出からどれだけの利益を上げられたのかを測定することは困難です。
F1やゴルフトーナメントなどのスポンサーシップもこのカテゴリに入ります。企業のマーケティングプランには、これら3つのタイプのマーケティングのいずれかが取り入れられているでしょう。
しかし、これらの方法はどれもいい加減で、結果を測定されたくないメディアや専門家が強引に売り込んでいるだけだと私は思っています。
また、これも個人的な意見ですが、中小企業の経営者、大企業の重役たちのほとんどが、こうした測定不可能なマーケティングに多額のお金を無駄に費やしています。
せっかくなら結果を明確かつ厳密に測定できるところに投資して欲しいと思います。そうすれば、費用対効果を上げるための変更を行うこともできます。そのためにダイレクト・レスポンス・マーケティングを利用するのです。
4つのダイレクト・レスポンス・マーケティング
ダイレクト・レスポンス・マーケティングには次のものがあります。
#1:ダイレクトレスポンスを要求するメディア広告。
例えば、切り取って使えるクーポンがこれです。発信者を特定できるコードをつけた電話番号や、商品の注文票などもそうです。
ダイレクトレスポンス広告は99%測定可能です。(残り1%の付加価値要因については次回説明します)
#2: ダイレクトレスポンスを要求するために利用されるメディア。
例えば、お店やディーラーで割引や景品などと交換してもらえるクーポンが考えられます。
あるいはEメールでセール開催を知らせるセールスレターを送り、閉店後に入店するには印刷して持ってこなくてはならない招待状を付けておきます。
他にも、一人分の値段で二人分のスペシャルディナーを楽しめるレストラン招待状や、無料パンフレットの請求先電話番号が書かれた手紙などがあります。
#3: ダイレクトレスポンスを要求する広告。
ラジオコマーシャルまたはTVコマーシャル。
電話やハガキ、来店などで視聴者が商品を購入するときに、ディスカウントや無料ギフトを受け取るためにコマーシャルに流れていたキーワードを伝えてもらうようにします。
どのような広告メディアでも、ダイレクトレスポンス型の広告に転換して結果を測定することができるのです。
#4: ダイレクトレスポンスを要求するテレマーケティング。
営業マンの訪問日を予約したり、電話口で注文をとったり、日にちを決めて来訪してもらったり、ディスカウントやギフトを受け取るためのコードを割り当てるといったことが考えられます。
あるガソリンスタンドの秀逸なマーケティング戦略
私が最近見てきたダイレクト・レスポンス・マーケティング戦略のなかで、スモールビジネスにとって最も効果的だと思う戦略の1つを紹介しましょう。
私が自宅にいるとき、玄関の呼び鈴が鳴りました。ドアを開けると、そこには清潔できちんとプレスされた、ガソリンスタンドの制服を着た若い男性がいました。
彼は私に、厚紙の入ったビニールのパスケースを手渡しました。厚紙には小さなクーポンがぎっしりと並んでいました。点検1回無料クーポン、フィルタ購入で注油1回無料クーポン、バッテリ充電無料クーポン、ガソリン3,000円割引クーポン、その他いろいろありました。
彼は慣れた調子で話を進め、最後には2,500円で24,000円分のクーポンブックを買えるがどうかと勧めてきました。
私は迷うことなく購入しました。かなりお得だと思いましたし、その商売のテクニックとアイデアに感嘆したからです。
それから数日間、周りにいろいろ聞いてみたところ、私の兄、事務所のスタッフ、隣人もそのクーポンブックを買っていたことが分かりました。
あの営業マンは、売上のほとんど、ひょっとしたら全額をもらっているのではないかと思います。ガソリンスタンドにしたら、新規顧客獲得ができるのですから安いものです。
このアイデアは、業種の違うビジネスでも使える素晴らしいアイデアです。
ダン・ケネディ
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